賛助会員だより

日本システム技術株式会社(JAST)

内部質保証体制の構築と
UNIVERSAL PASSPORT RX
学習ポートフォリオの導入
〜甲南大学様での取り組み事例〜

■甲南大学様の紹介

 2019年に創立100周年を迎えられる甲南学園様は「人格の修養と健康の増進を重んじ、個性を尊重して天賦の特性を伸張させる」という建学の精神を礎に人物教育の率先を掲げ、これまでに延べ10万人を超える卒業生を輩出されています。
 2015年には、学生の成長をこれまで以上に支援するために、FD/IR/教育支援/ラーニングコモンズの運営を中心業務とする教育学習支援センターを発足され、同時に発足された学長室や、学内各部局と連携し、内部質保証体制の構築などへの取り組みを加速しておられます。

■内部質保証への取り組み

 甲南大学様では、内部質保証への取り組みそのものを、学生の成長・満足を目標とするうえでの、重要な手段と位置付けておられます。その取り組みにおいて欠かせない要素としてIR活動があり、当該業務は教育学習支援センターの職務分掌に記載されている「教学に関する学内外の情報の収集及び分析並びに学内外への情報の発信」という文言によって、その活動内容を定義しておられます。
 意図したIR活動を実現されるために、授業評価アンケートや学生調査などの教育情報を収集・集約するだけでなく、学籍番号に紐づいた情報資源として関係各署に提供できる体制を構築されました。
 また、2020年の認証評価の受審に向け、2017年度には内部質保証体制の構築を実施され、2018〜2019年度にはPDCAに則した各種施策を実行された上で、自己点検・評価報告書の作成に臨むという計画を進めておられます。
 各種施策とは具体的に

というものであり、この一連の施策を通じて内部質保証規程を整備されておられます。

■学修ポートフォリオの運用と、システム導入の経緯

 甲南大学様にとって、学修成果の可視化は内部質保証を実現する施策の1つであり、また一方で、教育改革を目的とした現状分析や効果測定を担う、IR活動の一環という側面も持ち合わせておられます。
 学修成果を測定・評価し、質保証の根拠とするためには、「学修成果」を明確に定義する必要があるとのお考えから、甲南大学様では建学の精神に基づいた「人物教育の率先」という考え方のもと、日常を含めた大学生活全体を通して得られるものと定義されました。授業や資格の情報では捉えられない、学生活動のデータを可視化する手段として2016年度より学修ポートフォリオの運用を開始されました。
 学生個々人の学修ポートフォリオを作成する上で、具体的な到達度を測定するためには、ゴールとなる到達目標を設定し、計算可能な状態にする必要があります。甲南大学様では「教育目標」「ディプロマポリシー」「カリキュラムポリシー」から各科目の到達目標を決定され、全科目を最良の評価で取得した際の値を100%とした上で、実際の単位数と成績評価から算出された数値をレーダーチャート上にプロットする方法をとられました。ここに表れる到達度を「学修度」とされています。
 甲南大学様の学修ポートフォリオは、専門/共通教育に関する学修度、GPAの推移、体力テストの結果、学生自身の振り返りや次期目標、指導教員からのコメントなどで構成されています。これらを一覧化することで、個々人の成長、履修上の立ち位置、学内/外活動やその総括など、“学生としての行動”を総合的に記録し、可視化・データ化することが可能となりました。ただし、全学生の自発的な記録のみに依存しては、ポートフォリオが空白の学生が生じ、運用そのものの障壁となることを考慮し、学生自身の入力以外の、大学として収集している情報が反映できる項目を設定されておられます。
 これまで実際の運用では、Excelのマクロ機能を用いて、データの読み込み/PDF化を行われ、出力結果をポータルシステムで配布されておられました。ところがこの方法は、即時性に欠け、日々更新される学生の活動に後れをとってしまうという運用目的として致命的な課題が内包されておられたため、その克服を狙いとしたシステム化を検討されることになりました。

■選定されたポイント

 甲南大学様からは「現在の学修ポートフォリオと同等のものを実現する」「学生自身の手で即時的に入力できる」「大学で管理している情報をスムーズに反映する」「入力の状況が大学側で把握できる」という4条件が提示されました。また、人員や期間の事情から、開発内容を精査するなどのスクラッチ開発が困難という理由で、パッケージシステムの必要機能を使用する方針となりました。
 最終的に、運用している学修ポートフォリオのサンプルと作成に必要な情報が提示され、運用目的の理解度と会社としての製品開発目的、製品プレゼンテーションの内容から、弊社が選定されました。

■期待と展望

 弊社はこの学修ポートフォリオシステムを、学生が自身の所属する学位プログラムで得られる能力と、その進捗状況を把握することで、次に何を学ぶべきかを自発的に考える機会となるよう開発しました。加えて、学修簿や成績証明書には表現されない、学生の卒業までの足取りを示すことができる仕組みとなることを目指します。
 今後、UNIVERSAL PASSPORT製品群で構築された学内の教務関連システムとの連携を強化し、履修登録に際して、自らの学修ポートフォリオを入口として活用することで、曜日・時限や試験の有無などではなく、学位プログラムの到達目標を基準とした、自発的な履修判断をしてもらうことを中期的な展開目標としています。
 大学運営上の役割としては、単にポートフォリオの枠組みの中で運用されるのではなく、取得した情報を他のIR活動による様々なデータとかけ合わせることで、ポリシーの検証材料として活かし、内部質保証体制の構築に寄与するエビデンスとなるよう、全学的な取り組みの中で活用いただきます。
 甲南大学様では、具体的な施行案として、学修度の伸展具合から、大学・学部・学科の設定したポリシーに則って学生が学んでいるかを確認し、加えて、別途実施している学生調査結果から、学生の自己評価として能力の伸長を確認することで、多面的な材料から、学部学科の教育活動を自己点検・評価すべく、活動を開始しておられます。

■導入システム概要

学生/教職員向けWebサービスシステム
(UNIVERSAL PASSPORT RX)
Base、教務、学生、マイステップ、学修ポートフォリオ

 「教育の質的転換」を背景に、内部質保証体制の確立や学修成果の可視化を目的として開発されたシステムです。
 ディプロマポリシーと授業科目を結び付けた学修の到達目標を大学独自で設定することができる。学生のポータルシステム、教務システムと完全に連動することで「成績評価や単位数から到達度を演算し、レーダーチャートとして可視化する」「履修登録時、伸ばしたい能力を選択すると該当する授業を一覧で確認できる」などの機能を実現しました。
 履修計画→学修記録→確認→面談/コメントによる教職員からのフィードバックといったPDCAサイクルのスムーズな実践を支援します。

PDCAサイクルイメージ図
問い合わせ先
日本システム技術株式会社(通称:JAST)
(西日本地区)GAKUEN事業部 TEL:06-4560-1030
E-mail:g−sales@jast.co.jp
(アドレスは全角文字で表示しています)
(東日本地区)文教事業部 TEL:03-6718-2790
E-mail:g−bun_sales@jast.co.jp
(アドレスは全角文字で表示しています)
URL:http://www.jast-gakuen.com

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