事業活動報告No.3
平成30年度
ICT利用による教育改善研究発表会開催報告
本発表会は、全国の国公立大学・短期大学教員を対象に、教育改善のためのICT利用によるFD活動の振興普及を促進・奨励し、その成果の公表を通じて大学教育の質的向上を図ることを目的としている。今年度は平成30年8月9日(木)に東京理科大学(森戸記念館)において開催した。台風による交通機関混乱のなか、一般参加者は102名(61大学、2短大、賛助会員2社)で、発表会は第1次選考も兼ねて45件の研究発表が行われた。当日の発表内容は以下の通りである。その後、第2次選考を9月22日(土)に実施し、11月26日(月)の本協会の第23回臨時総会冒頭に表彰式を行った(詳細は次号に掲載)。
※以下の発表者名は発表代表者のみ掲載
Aグループ
A-1 |
商業者との連携による体験型授業におけるSNS活用の試み |
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大学近隣の商店との連携によるPRシートと改善提案レポートの作成を課題としたPBL体験型演習授業において、学習効果を高めることを目的に連携団体のSNSページに学生が活動内容を投稿する形の情報発信を行っている。結果のアンケート調査からは、地域社会や商業への関心が高まるとともにフィールドワークのおもしろさを実感する等キャリア形成の観点からの学習効果が確認された旨の報告があった。
A-2 |
ICTを用いた授業関連私語の許容タイミング可視化が講義の双方向化に及ぼす効果 |
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授業関連私語まで厳しく禁止してしまうと、学修意欲や学生間の自発的な学びを抑制することにもつながる。そこで、講義スライドのワク内に授業関連私語の3段階の許容タイミングを可視化するシステムを導入している。その結果、学生による授業の静粛度評価や満足度評価が向上し、また、双方向型授業を行う機会が増加し、適切なタイミングで授業関連私語が生起したことが示唆された旨の報告があった。
A-3 |
相互評価支援システム(PEAS)によるプレゼンテーション技術の向上のための教育実践 |
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デザイン工学部科目「プレゼンテーション技術」から誕生したICT活用の相互評価支援システム(PEAS)による教育実践の報告である。本授業はビデオ撮影と相互評価により、理工系学生の総合的なプレゼンテーション能力の向上と自ら主体的に学び考える力の養成を目標としている。PEASの導入により相互評価の即時性、正確性、利便性が担保され、学修成果の可視化が可能になり、その結果、学生のプレゼンテーション技術の向上とアクティブ・ラーニングの実現が確認できた旨の報告があった。
A-4 |
PBLにおける学生の相互評価によるルーブリック活用とその教育効果 |
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多用されているPBLは、その評価方法や教員の負担の大きさも課題となっている。そこで学生数48名のゼミで、Google Formsのアンケートを利用して学生グループごとの相互評価にJIKOTAKO(自己他己)を利用することで、教員の負担を増やすことなく、年次ごとに学生の様々な能力の成長が定量的に確認でき、教員との面接で補完することにより、次の具体的目標を個別指導することができるようになった旨の報告があった。
SkypeやグーグルドライブといったICTを活用することによって、東京の企業と福岡県の西南学院大学との遠隔地間で、新製品の共同開発と本PBLを実施することによって、学生たちの「専門知識への探究心」と「社会人基礎力」という2つの能力を向上させている。このように、距離的ハンデのある地方大学でも東京の企業と産学連携型のPBLを行うことが可能なことを証明した旨の報告があった。
A-6 |
4キャンパス同期型の遠隔授業における対話の試み |
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教養教育で、ICTを活用しての対話構築の試み。複数キャンパス同期型の多人数授業で、内的対話の実現に寄与しているレスポンスシートのフィードバック時に視聴覚的な改善を施すことで、受講生は遠隔授業で出逢う多様な他者との対話が可能となり、彼らの内面はより多層的なものへ深化を遂げている。また「教員不在」という問題も、ルーブリックの運用方法に手を加えることで「存在感」の構築が可能となり、受講生間での協働につながった旨の報告があった。
A-7 |
LMSを活用したグローバルな視野育成のための授業改善への取り組み |
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ICTを利用した「グローバルな視野」を育成する授業の改善報告である。「グローバルな視野」中心要素の体系的な学び不足、評価手法の未整備、学修活動実施の時間的制約に対処するため、その説明テキストと音声をLMSに実装し反転授業のメディア教材として活用している。プリ・ポストテスト、アンケート等から、学びの効果・効率・魅力の点で改善が図られた旨の報告があった。
A-8 |
ICTを活用したアクティブ・ラーニングにおける音読の効果 |
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知識の定着を図るため、音読を取り入れICTを活用した授業の実施報告である。教科書を音読させ、インターネットによる用語検索、Googleフォームによる小テスト実施とミニレポート収集を行っている。前年度および類似科目との成績の比較では有意差は見られなかったが、受講者アンケートから教科書通読に対する積極的な姿勢が育っていることを確認した旨の報告があった。
A-9 |
経営者インタビュービデオを使った傾聴力と発言力を高めるトレーニング・プログラム |
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コミュニケーション力を高めるためのトレーニング型授業の実施報告である。経営者インタビュービデオを要としたグループワーク型の授業であり、「繰り返しの型」と「新鮮な体験」の両立、「傾聴力」と「発言力」の向上を目標として構成している。傾聴力・発言力の評価、振り返りレポート、授業評価アンケートからは学生のコミュニケーション力向上が伺えた旨の報告があった。
A-10 |
検索連動型広告を使ったインターネットマーケティングによる教育改善 |
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卒業論文執筆のためのインターネットマーケティング・プロジェクトの実施報告である。プロジェクトの目標は学内博物館と連携しての入館者増大。事前学習としてITパスポート等をe-learningにより取得させ、スコープ管理・タイム管理・コミュニケーション管理の観点から指導している。その評価と効果を学生アンケートとARCSモデルにより分析した旨の報告があった。
A-12 |
eポートフォリオを活用したレポート作成能力向上の試み |
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eポートフォリオを活用したレポート作成能力向上のための授業改善報告である。eポートフォリオによる文献発表の評価や質問をスレッドにあげディスカッションを行っている。また、各人の作成ファイルをeポートフォリオで共有化し、グループワークによるレポート作成を効率化している。その教育効果をeポートフォリオのアクセス数と振り返りシートにより分析した旨の報告があった。
A-13 |
ICTを活用した世代間交流による協働学習〜表現教育とキャリア教育の接点での試み |
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学生がICTを活用しながら世代の異なる児童、子育て世代、事業運営者と協働する正課外プログラムに関する報告である。これは、同質性の高い学習者間では得られないメタ学習の誘発を目指し、世代間交流によるワークショップ「“働く”の教室」を中心とする越境型の協働学習としてデザインされ、キャリア教育、表現教育、ICTスキルの向上も内包したものである。タブレット端末の持つ特性とWeb会議の活用においてメリットが確認でき、学生の多面的な学びを醸成することができたとの報告がなされた。
A-14 |
グローバル人材育成科目開発・アクティブラーニング型授業としての反転授業の実施 |
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グローバル人材育成を目指し、学部横断型アクティブラーニングの反転授業科目の開発と実践に関する報告である。これは、学内教学改革プログラムとして開発され、教材配信・課題提出のプラットフォームとして学習者が日常的に使用する機器からアクセスが容易なアプリをLMSとして利用し、アクティブラーニング型授業としての反転授業の実施の必須要素である予習先行型の学習活動を促進する学習環境を整えたものである。この教育改善の実施概要と効果について報告がなされた。
A-15 |
地域伝統産品のブランド価値向上を図るICTを活用したPBL活動 |
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高等教育機関が地域と連携し実施するPBL活動が全国的に見られるようになっていることを踏まえ、その活動に関してICTを利用し、その活動状況を、活動中に広く学外の人々に伝えることが、社会的な課題の解決に迫ることができる点を考察した報告である。テーマと関連して広がっていく活動の様子に一種のストーリー性を感じさせるものもあること、またこのような仕組み作りは、リンクなどでさらにそのテーマを拡大させる意味を持つことなど、PBL的な活動の情報伝達とICTに相性の良さが認められたとの報告がなされた。
A-16 |
グローバルマインドを培う海外大学との連携授業プログラム |
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関西大学の海外大学との連携授業プログラム「オンライン国際連携学習(Collaborative Online International Learning:COIL」の取り組みに関する報告である。これは、異文化対応能力、英語をはじめとする外国語によるコミュニケーション能力そして異文化背景を持つ構成メンバーの集団での課題解決を遂行する3つの能力を統合的に適用する試みがなされており、従来型の議事コンテキスト・疑似課題を基本とする教育・学習スタイルの改善に向けた提案が報告された。
Bグループ
B-2 |
ICTを活用した反転授業導入による成績評価および学習意欲の定量的変化 |
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物理学科の専門教育においてICTを活用した反転授業を導入し、テスト得点分布や学習状況の変化について6年間のデータに基づいた解析結果に関する報告である。通常授業の実施年度におけるテストの得点分布は、ピーク位置の異なる2つの分布の重ね合わせとなったのに対し、反転授業実施年度では得点の低い側のピークが消え、成績下位者の減少が確認できたこと。また家庭学習時間が大幅に増加したことが報告された。
B-3 |
実践的ものづくり・メカトロ創造教育におけるPBLの取り組み |
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機械、電気電子、情報通信などのメカトロ要素技術の擦り合わせ教育の確立を図るため、ICTを利用して柔らかいロボット製作を体験する実習システムインテグレート型授業の報告である。機械設計研究室のゼミ生を対象に実施したメカトロ創造教育の取り組み状況と学生へのアンケート結果より、ロボット製作を通して実務を短期間で体験的に学びながら異分野の技術に触れることがシステムインテグレータ人材の育成に効果的であることが報告された。
B-4 |
YouTubeをプラットフォームとしたカスタムメイド動画による事後学修 |
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化学の専門科目の授業後、履修生に対して授業内容に関する自作のYouTube動画を任意に提供したときの教育効果について検証した結果に関する報告である。YouTubeのアナリティクス機能による視聴回数、使用端末あるいは再生率の情報から、演習の事前学修では「すきま時間」に知識を得たいとの要求からスマートフォンなどの携帯端末が使用され、授業の事後学修では「落ち着いた環境」で学習したいとの要求からPCが使用されている特徴が見られることが報告された。
B-5 |
実験科目を核とした総合的な教育システムの構築の試み |
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農学・生物系の分野で必須の実験科目において、Moodleを中心とするICTを導入した教材の可視化、随時学習システム、習熟度の自動評価システムの導入効果に関する報告である。レベルの多様化した学生を相手にした多人数教育で、多くの学生をある一定以上の水準に導く時間が大幅に短縮されるとともに、実験で習得した技術を利用して未知なものに挑戦するという能動的学習スタイルに重点を置いた高い教育効果が見られたことが報告された。
B-6 |
Team-Based Learning(チーム基盤型学習)の学習効果の評価 |
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看護学部の臨床実習において、知識の定着、対象者とその看護のイメージ化、チーム力の3つのスキルを確実に向上させることを目的として「周産期看護学」の科目にTeam-Based Learningを導入した結果に関する報告である。学習教材呈示の工夫や繰り返しの小テストとフィードバックにより知識の定着が図られ、多様な事例や臨床の一場面を教員が演じるなどにより看護のイメージ化が向上し、チーム内・チーム同士のディスカッションとピュア評価によりチーム力の向上が認められたことが報告された。
B-7 |
聴覚障がい対応をクラスの全学生の主体的学修支援へと発展させるICT活用の実践 |
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聴覚障がいの学生に対する学修支援ツールとして導入したモバイル対応の発話・テキスト変換システム(ノートテイク支援システム)を、心理科学部の基礎統計学、情報処理演習等の科目において健常学生の学修支援に活用しているた。この試みによって学生の能動的学修時間の増加と成績中位層の知識定着率が向上したことが報告された。
B-8 |
LMSを活用した新たな読書法と質問づくりの実践 |
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LMSを支援ツールとし、参加・分担型読書法(ABD)とクエスチョンフォーメーション技法(QFT)を組み合わせた学修戦略を薬学部の授業に導入しているた。学生が自己の担当した読書内容を相互に説明しあうとともに学生各自が質問を出してポイントとなる質問を合議で選ぶ協同学修によって知識定着率と学修意欲が向上したことが報告された。
B-9 |
反転授業を利用した事前学習および小テスト繰り返し受験の教育効果 |
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建築学科の専門科目の講義に、まず、反転授業を導入し、その実践結果にもとづいて、反転授業とLMSを活用した小テスト繰り返し受験とを組み合わせているた。この試みによって学生・教員の到達度把握が明確になることによって定期試験の成績が向上することを明らかにし、この手法が学生の知識定着度の向上に資することが報告された。
はり師、きゅう師養成学科3学年次の国家試験を睨んだ総合演習科目に、学生の主体的学修姿勢をできるだけ早期に獲得することを支援するため、LMSを支援ツールに用いたチーム基盤型学修(TBL)を導入した試みである。TBLをどのように有効活用するのが最善かについて、見直しを重ねながら改善を図っていることが報告された。
B-11 |
理系文章作成能力の向上を目的としたピアフィードバックの多様化と効率化 |
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理工系学部の学生実習科目(ソフトウエア開発)におけるレポート作成、成果発表、レビューに、LMSを活用したルーブリックに基づいたピアフィードバックを導入し、SNSも併用して学生の文章作成能力の向上・定着を企図した試みである。学生の相互評価と教員からの評価に高相関があり、相互評価の結果が信頼性を有することが報告された。
B-13 |
ICTを活用した遺伝子組換え技術の体系的習得 |
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学生に遺伝子組換え技術を体系的に習得させるため、ICT上の遺伝子データベースや解析ソフトウェアを活用した専門性の高いアクティブ・ラーニングを導入した授業を実施している。授業内容がどのような場面で必要とされるものなのかを理解した上で、学生自らに修学を進めさせた結果、学生の授業に対する熱意や予習・復習にかける時間の増加をもたらすとともに、受講学生の単位取得率と成績の大幅な向上につながった旨の報告があった。
B-14 |
栄養士養成課程におけるICT活用とオンデマンド動画配信による事後学修支援 |
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栄養士教育の根幹となる科目「栄養学」に対して、ICTを活用した双方向授業を実施している。講義において、学生の視覚的理解を促進するためにパワーポイントおよび電子板書を、学生の理解度を把握しながら講義を進めるためにクリッカーを活用している。さらに、講義内容を録画してオンデマンド配信することにより、事後学習を促進している。これらの取り組みにより、学生の理解力、問題発見・解決力が向上し、結果として成績の向上という教育改善効果が得られた旨の報告があった。
B-15 |
電子ジャーナルシステムの導入による、研究会履修者の学修動機増進の試み |
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授業科目「研究会」は研究中心のカリキュラムであり、卒業までに学会発表することを目標に、履修者各人が研究テーマを持って研究に取り組んでいる。2012年度から、より実践的な体験と履修者間の議論の活性化を目的として、本格的な電子ジャーナルシステムを導入し、学期末に提出するタームペーパーのピアレビューを実施している。この取り組みにより、履修者の学会発表数が増加傾向を示し、アーカイブ化された過去12年分のタームペーパーを学生が自主的に活用するなど、学生の学修動機を高める教育効果につながった旨の報告があった。
B-16 |
実験力向上を目的とした応用化学実習の企画とOh-o! Meijiの活用 |
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応用化学では、「基礎化学実験」、「応用化学実験」、「化学情報実験」の履修で化学の基本から最先端まで幅広い化学実験を経験させている。これら実験に取り組むには、高い主体性、計画力、実行力が必要となるが、これらの基礎的能力を身に付けるため、学部1年時の「応用化学実習2」において、Oh-o! Meijiシステムを利用した事前・事後学習、実験室でのアクティブ・ラーニングを実施している。この講義により、学生の知識・技能の定着、思考力・考察力の向上が得られた旨の報告があった。
Cグループ
C-1 |
LMSの活用による初年次コンピュータ・情報リテラシー教育の改善 |
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初年次必修科目において、学生の授業理解度や情報スキルの習熟度を把握することが困難であり、授業運営上の大きな問題となっていた。また成績評価方法を教員の裁量に任せていたため、一部の学生から成績認定について異議がでることもあった。このような現状をふまえ、LMSを活用することにより、授業理解度の把握、成績評価基準の明確化、学修過程及び成果の可視化等の改善が実現できたが、有効に活用できなかったクラスがあるなどの課題がある旨の報告があった。
C-2 |
Web3D技術を活用した大学の大規模授業における協働学修 |
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大規模授業で3DCGを扱う場合、学生間でモデルを簡単に共有・比較することができないという問題がある。この問題に対応するために、Web3D技術を用いて一般的なWebブラウザで複数の素材を比較表示する仕組みを開発し、授業に活用している。その結果、他グループの活動が把握しやすくなり、学生同士のコミュニケーションも促進され、自グループのオリジナリティ向上を意識することで作品の質の向上が図られる可能性が見えてきた旨の報告があった。
C-3 |
医療通訳ブレンド学習プログラムの開発と活用 |
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英文学部における医療通訳の授業で反転授業とアクティブ・ラーニングによる教育改善を行っている。反転授業の自己学習教材には、Moodleを用いた双方向型の通訳教材を加え、事前学習として医療英単語クイズ、音声による模擬通訳、異文化理解の動画視聴などを行っている。この時、受講者の発話を録音して後で確認することができる。改善効果の検証として通訳結果のエラー分析を行い、エラー数が減少しているという結果が得られた旨の報告があった。
C-4 |
留学生と日本語系教師希望学生の双方で作成する日本語教育教材開発の取り組みについて |
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moodleを利用した日本語e-ラーニングの構築を起案し、現在はゼミ生が中心となって取り組んでいる。当該学生は日本語教師・国語教諭を目指す日本人学生と日本語能力がN3以下の留学生であり、LMSにて教材評価等のコミュニケーションを図っている。当初は日本語教育教材に限定していたが、国語教育教材の開発にも派生しており、今まで以上に自ら研鑽し習得することの必要性を理解しているように見える旨の報告があった。
基礎的ICT能力を養う科目である「情報リテラシー」の再構築を行っている。アクティブ・ラーニングは到達目標と成績評価が不明瞭になり、同一科目でも教員により学修内容や成績評価に偏りが生じるなどの問題がある。これらを解決するため、学修内容の再検討を行ってテキストを作成して、ルーブリックを導入し、学生に対し学修目標を明確化している。以上の改善により一定の効果が得られる事が確認できた旨の報告があった。
C-6 |
反転授業の改善と学生の自己調整力向上を目指したICT活用の取組 |
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授業時間外学習を支援するシステムを導入し、予習コンテンツ受講の改善状況を検討している。具体的には、受講計画の登録期間の設定を変更した複数授業において駆け込み受講と受講忘れの状況を比較している。その結果、計画登録可能期間と受講可能期間の重複度合いが低下するにしたがって、駆け込み受講が減り、計画の登録忘れも減る傾向がみとめられる一方で、受講忘れに関する課題も明らかになっており、今後は原因をより深く探ってさらに改善していく旨の報告があった。
C-7 |
対面授業からICT活用授業への移行の実践〜コンピュータ系授業 |
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平成28年度に担当した講義において旧来型の対面授業を行った結果、受講者全員には十分な学修環境を提供できないという問題点があり。平成29年度には、教員提供課題に沿って受講者主導の授業進行に設計し直し、グループワークによる協働学習活動を取り入れ、学習成果物(新聞記事・広告動画作成)を発表かつ相互評価(優劣投票、ルーブリック評価)させるICT活用型授業に移行し、評点平均の検定で有意であることが分析できた旨の報告があった。
C-8 |
スマートフォンを駆使した学生の自己表現映像技術の習得 |
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全ての学生が持っているスマートフォンのビデオカメラ機能を使い、映像と音声で様々な表現に挑戦するアクティブ・ラーニングを実施している。映像作成の基本を短期間で学ぶことで、学生が優れた潜在能力を発揮し、向学心、研究意欲が前向きに育っていくことが感じられる旨の報告があった。
C-9 |
CBTを活用した学科必修の情報スキル系教育での反転学習の実践 |
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アクティブ・ラーニングにおいて学習者の知識の定着度にばらつきが大きいと、協働的な学習の際に議論が活性化せず形骸化する。この問題を解決するため、CBTを活用した予習を通じて知識定着を図り、協働的な対面授業を通じて深い学びを誘引する反転授業の実践を行っている。CBTを活用した授業デザインを活用することで、基本的な知識の定着や活用の促進などが図られることが確認できた旨の報告があった。
C-10 |
理論とエビデンスに基づいた科学的に効果のある診断的リスニング指導法 |
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本発表は理論とエビデンスに基づいた科学的に効果のある診断的リスニング指導法に関する研究成果を示すものであり、学習者がどの段階でなぜ理解に至らなかったのか、リスニングにおける自身の弱点を可視化し、その原因や対処法をピンポイトで指導することを可能にしている。実際に大学講義にもこの指導法が取り入れられ、教育改善の目的や目標が達成されている旨の報告があった。
C-11 |
講義ノートの取り方を修得するためのICTを活用した演習 |
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学士には専門知識だけでなく、専門分野によらない広範な能力が求められ、汎用的能力を獲得できない学生は成績が振るわないことが考えられる。そのためNHKの科学番組を題材にICTを活用したアクティブ・ラーニングの授業を実施し、ノートの取り方についてチェックシートなども用いて学生の汎用的能力を含む多角的な能力向上を図っている旨の報告があった。
C-12 |
スマートフォンアプリ及びLMS等の活用による教育改善とその効果検証について |
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学士課程教育改革の一環として平成29年度から規格化した1年前期の全学必修科目「スタートアップセミナー」を通じて、大学生に必要な4つの技術(文献・資料調査、課題発見、口頭発表、論述)を修得させるためのグループ学習にLMSの活用した事例および独自に開発したスマートフォンアプリ「YU Portal」(直接評価の実施や出席管理システム)を通じて収集した情報を分析した結果を紹介し、教育改善や勉学意欲の低下等を早期に発見または予知する仕組みとなり得る旨の報告があった。
C-13 |
フィリピン人学生とのスカイプ交流を舞台としたカタカナ英語発音脱却への取り組み |
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具体的には、英語によるスカイプ交流を通して、日本人学生たちのプレゼンテーションをフィリピン人学生たちに聞かせ、その反応や評価を通して日本人学生に発音の不備を気づかせ修正させようという試みを行っている。実際にフィリピン人学生の反応が止まる場面などをもとに、日本人学生一人ひとりに発音指導を通じてフィリピン人学生の理解を得られるように指導が行われ、英語の発話およびさらなる学習意欲が増す結果を得られた旨の報告があった。
C-14 |
承認欲求をモーチベーションとするプロジェクト授業の活性化に関する質的考察 |
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少人数プロジェクト指向科目は、テーマに関し調査して内部発表を行い単位を取ることで終わらせがちであるが、学生たちの成果を具体的に外部にビジブルに残すことにより、取り組みへのモチベーションを高めて教育効果を高めることをめざしている。先輩の活動を写真・動画で見せ、学生に産官学連携で外部発表の場を用意したり学内広報にも取材を依頼したりして、学生の承認欲求を刺激してプロジェクト型授業のモチベーションを高めることができた旨の報告があった。
C-15 |
e-learning ホルダーを利用した初歩的ICT利用の横断的研究 |
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ICT教育の教育的効果を確かめるため、教育の情報化、ぺーパーレス化の実施、e-learningによる双方化の試行などの検証を行っている。これはICT教育への学生の認知度の検証と対策、ICT教育のあるべき目標確認、全学科目での各担当者の取り組みの在り方を模索するためであり、担当教員ホルダー、担当講義別ホルダー、配布専用ホルダー、課題提出ホルダー等を作成した結果を報告している。
C-16 |
オンライン英会話を導入したアクティブラーニングの英語コミュニケーション授業 |
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次の3つの目標を定めて授業改善を行っている。1.英語の口頭コミュニケーションを集中的・多量に経験し、一人ひとりが話す機会を多く持つこと。2.学生の経験する英語のスピーキングの質を高め意識を変革するために自律的に英語を学び・使う意欲を伸ばすこと。3.共通語としての英語を実践的に使う基礎力を育むこと。オンライン英会話では、学生の英語レベルと興味にあわせた個人レベルの学びを実現し、「自分がこれから取り組む課題が分かった」など学生に変化を与えられる学びの機会を提供したが、この方法に合わない学生が、一定数いる課題への配慮が必要である旨の報告があった。
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