事業活動報告No.3

平成30年度 FDのための情報技術研究講習会
開催報告

1.はじめに

 私立大学情報教育協会が主催する本講習会は、大学・短大教員の教育技術力向上のための学外FD活動の一つとして毎年開催されている。今年度の講習会は、アクティブ・ラーニングを実現するために、分野共通で必要と思われるICTの活用方法および教育改善手法の習得を目的として、事前・事後学修を徹底するためのLMS、教員と学生・学生同士による対話環境を支援するツール、動画などの視覚教材、並びにICTを活用した授業マネジメントなどの知識・理解と情報技術の獲得を目指し、平成31年2月26日〜27日(2日間)にかけて、追手門学院大学(大阪府茨木市)において実施された。既に周知のように参加者数の減少傾向を受け、昨年度は内容等の抜本的な見直しを図った結果、大きなV字回復をみせた。そのため本年度も昨年度の改善点を踏襲して「開催時期を2月末」に置き「開催期間を2日間」とし、そして内容も、全体会(共通講義)から始まり、その後に9つのワークショップを設置し、参加者に自由に選んでもらうアラカルト方式を採用した。参加者数は昨年度に一歩及ばなかったが、ほぼ昨年度並みの実績(64名(52大学、1短期大学))となった。
 ワークショップの具体的なテーマとして、本年度は① Google Classroomの基本と活用を2コース、② LMSの基礎と活用が2コース、③ 動画教材の作成を2コース、④ アクティブ・ラーニングのマネジメントが1コース、⑤ ルーブリックの作成を1コース、E ICTツール入門が1コース、以上の合計9コースを配置した。

2.講習内容と結果

2−1.全体会(共通講義)

(1)体験:「ICTを用いた授業の支援」

及川 義道 氏(東海大学教育開発研究センター次長、理学部教授)

 学生の側に立ってICTを活用して事前・事後学修、教室外での学修、教室内での資料提示、アンケートによる理解度把握、掲示板を活用した意見の共有・討議などの体験イメージを得る模擬授業を実施した。

(2)講演:「ICT活用と著作権の基礎知識」

中村 壽宏 氏(神奈川大学大学院法務研究科教授)

 著作権の基礎から実際に授業で直面する著作権法に絡む問題や今後の法改正のポイントなどの情報提供を行った。
 全体会を通して、参加された教員から「実際の手順を追ってICT体験ができたのは良かった」、「授業はICTの進化とともに改訂していかなくてはならないと感じた」、「著作権の認識が甘かったことがよく分かった」、「著作権は学内の講習会よりも分かりやすく参考になった」など、高い評価の感想が寄せられた。

2−2.ワークショップ

(1)ワークショップ1、4

「Google Classroomの基本と活用」

 Google Classroomが一般のGmail利用者に開放されWeb上で誰でもクラスを作って教えたり、学修者として学べたりすることが可能となった。機能は限られているがシンプルなので使い勝手もよく、教員だけでなく学生がクラスを作って自由に利用することも可能である。このClassroomを紹介し各自の授業での活用方法を検討する講習を行うことは、LMSを身近に感じてもらうとともに、学内ですでに導入されているLMSを活用する入口にもなると考えた。
 Google Classroomを学修者と教授者の両面の立場から理解してもらうために、2コースに分けてワークショップを実施した。ワークショップ1では「授業を受けてみる」、ワークショップ4では「授業を始めてみる」とした。
 「授業を受けてみる」では、Classroomを使った模擬授業実施し様々な活用場面を体験してもらった。授業の形態はLMSを使えば大人数の授業でも複数クラスに分割して授業が同時進行することが可能なことを理解してもらうために2クラスに分割して行った。さらに座席近くの学修者で3名程度の対面型の班も作った。授業のテーマは、受講者の専門に偏らないように「一筆書きを考える」を扱い、問題解決型の授業を展開した。授業では教授者は最後まで正解を与えることなく、学修者はLMS上の他者の意見と対面のグループメンバーの意見を参考に、自分で考え問題解決を図るという学習スタイルにした。
 「授業を始めてみる」では、教授者の立場で実際に授業を行うクラスを作成し、3名のグループを構成してグループ員に学修者になってもらい、教授者と学修者間のデータの流れや関連性を確かめ合うことができるようにした。また、時間の関係で登録するコンテンツの内容はあらかじめ準備し配布した。紹介したコンテンツの種類は、お知らせ、トピック、資料、質問、課題の作成で、採点や成績一覧の体験も加えた。なお、今年度から新たに新機能として加わったGoogle Formsと連携したテスト付きの課題は、ワークショップ9の「講義に生かすICTツール入門」で紹介することにした。

 受講者は「授業を受けてみる」は31名、「授業を始めてみる」では27名であり27名が両コースを受講した。受講者の感想をアンケート結果からみてみると、「授業を受けてみる」では、「是非活用したいと思った、特に、質問の作り方と授業での使い方が参考になった」、「大変わかりやすく、実践的で良かった」、「具体的にどのような理念を、どう形にするかというのが分かりためになった」、「アクティブ・ラーニングについて日々考えていた中、本日の講義は一節の光のように感じた」など単に機能の紹介でなく実際に模擬授業をとおして各機能の使用例を紹介したのは意味があったと考えられる。反面、「課題が難しく、ICTに注意を向けられなかった」のような授業のテーマが難しかったという意見も一部あった。
 「授業を始めてみる」では、「昨日のワークショップの積み重ねとなって段階的に学べてよかった」、「具体的な使用方法がわかった、新年度に向けたメドが立てられた」、「活用の仕方を詳しく学べた、実際に使って作って理解することができた」、「3人でグループを作り、お互いに先生役、学生役をやって動作を確認するのはとても効果的な授業の進め方だと思う」など肯定的な意見が大多数であった。
 両コースを通じて感じたことは、昨年度に比べて、Classroomの認知度が高くなっているように感じた。また、講習会への前向きな姿勢が感じられ、協働作業や、積極的な発言など能動的な受講生が多いと感じられたので、今後、受講生同士が共に高まり合えるような講習会の仕組みを考えていくべきであろう。

(2)ワークショップ2、5

「LMSの基礎と活用」

 LMS(Learning Management System)は、学修支援に活用できるツールの一つである。特に、学生の主体的な学修の必要性が謳われる現在、その利用価値はますます高くなっている。また、授業の効率的、効果的な展開、学生の到達度に応じた学修を提供できる上でも、その利用価値は高いと言える。ワークショップ2およびワークショップ5では、このLMSを授業および事前、事後学修の支援に利用するための基礎的な操作方法の習得を目指し、講義、実習を行った。なお、受講者の所属する大学におけるLMSの導入状況が多様であることに鑑み、本ワークショップでは、無料で入手可能なオープンソースLMSの中から、利用者の多いMoodleを用いた。
 本ワークショップは、LMSの利用経験が浅い教員を対象とした基礎編(ワークショップ2)と、より高度な利用方法を習得する活用編(ワークショップ5)の2つのワークショップで構成した。基礎編では、LMSの種類にできるだけ依存しないような基本機能の利用を中心に、学修の支援を「事前学修」、「授業」、「事後学修」の3つの状況に分け、それぞれの状況でLMSがどのように利用可能かについて講義、実習を行った。なお、実習は、LMS上に準備された実習用サンプルを用い、学修の流れに沿ってこのサンプルに情報の追加、改変を行うことで、LMSの一連の機能を習得できるようにした。基礎編では、LMSを用いたコミュニケーション、教材や資料などの情報の提供と共有方法など、多くの授業で利用可能な基礎的な機能を扱った。また、教員−学生間、学生−学生間の双方向のやり取りを支援するための、アンケート機能、掲示板機能の活用方法についても実習を行った。活用編では、学修支援として有用であるものの、LMSの種類により機能や操作方法が異なる場合が多く、また操作も煩雑であることから基礎編では扱いにくい「レッスン」や「小テスト」の作成方法を中心に講義、実習を行った。なお、「レッスン」は学修用の情報をあたかもページを捲るように閲覧し、要所で問題に答えながら理解度を確認しつつ学修を進める電子教材、「小テスト」は電子的にテストを行う機能である。活用編の実習では、「レッスン」および「小テスト」で利用する問題の作成方法についてまず解説、実習を行い、その後これらの問題を「レッスン」や「小テスト」に組み込んで利用する方法に関する実習を行った。

 本年度のLMSの受講者数は少なく、基礎編が10名、活用編が8名であった。事後アンケートの結果から、基礎編、活用編とも課題の達成に対して全員が「達成できた」あるいは「見通しがたった」と回答しており、ワークショップの設計は適当であったと考えている。ただし、活用編では「達成できた」とする受講生は2名にとどまった。難易度に関しては、基礎編、活用編とも「普通」と回答した受講者が多く、「難しい」と回答した受講者は0名であり、適切であったと思われる。
 より高度な機能に関する実習を取り入れれば、支援できる状況も広がるが、操作も煩雑になり、LMSに依存する部分も多くなる。事後アンケートの自由記述欄からも、受講者の大学で導入されているLMSとワークショップで利用したLMSが異なることから、活用編で扱った機能を自身の授業で応用するのが困難であるとの意見も見受けられた。このようなことからも、活用編については、基本設計の変更も含めた検討が必要と思われる。

(3)ワークショップ3、6

「動画教材の作成」

 講義ビデオなどの動画教材は、反転授業の事前学習、演習問題の解説、実習方法の説明など、様々な場面で活用できることから、昨年度に引き続き、動画教材の作成をテーマとしたワークショップを企画した。
 ワークショップ3「モバイルによる教材作成」では、iPhoneやiPadを用いたモバイル環境での動画教材の作成を対象とした。最初に講義ビデオの活用に関して、講義授業やアクティブ・ラーニング授業などの授業形態に応じた活用場面、講義ビデオ作成のポイント、活用する動画の種類などについて講義形式で解説を行った。その後、受講者のグループごとにアイスブレークの活動を行って実習に入った。実習では、iPhoneやiPadを用いて、スクリーンの動画と音声を収録してビデオを作成する方法、作成した動画を編集する方法、そしてYouTubeを用いて配信する方法の操作実習を行った。動画の作成はiPhoneとiPadに内蔵されている動画収録の機能を利用した。メモに書き込みながら講義をする場合、PDFやKeynoteのスライドを表示しながら講義をする場合を想定して収録実習を行った。これらの実習は受講者が持参したデバイスを会場の無線LANに接続して行った。また、グループ内で進捗の確認や操作の教え合いなどのコミュニケーションをとりながらグループのペースで進めたため、情報交換も活発に行われていた。
 一方、ワークショップ6「動画教材作成」では、PC環境での動画教材の作成を対象とした。よく利用されているプレゼンテーションソフトのPowerPointは、マイクを接続してパワーポイント表示に合せて自らのナレーションを付加できる。また、このナレーション付きの動画ファイルを生成できるため、この方法を解説、実習した。また別の収録方法として、ブラウザのGoogle Chromeを用いる方法を紹介した。Google ChromeにScreencastifyという機能をアドオンすることで、PC画面やブラウザ画面を収録できる。また、Webカメラを接続すればカメラの動画も収録できる。教員の顔を写しても良いし、教材を撮影することもできる。この方法を解説、実習した。ChromeからYouTubeにアップロードする場合はファイル形式を変換すること無く可能である。YouTubeにアップロードするのでは無く、LMSにアップロードする場合を想定して、動画ファイルの形式を変換するソフトの使用方法も解説、実習した。ファイル変換は、AnyVideoConverter-Freeを利用したが、ブラウザ上のサービスを利用する方法もある。PowerPointでもWebカメラの画像で教員の顔を収録できる。この実習はPowerPointのバージョンの都合で叶わなかった。補足資料として用意したWindows10のGameDVRを用いた収録方法も紹介した。

 アンケート結果からは、動画教材に関するこれら2つのワークショップでは4割程度の受講者が「達成できた」、7割の受講者が「見通しがたった」としていた。また、「思っていたより手軽に作れるので早速試してみたいと思う」、動画アップロードまでの疑問点が解決できた」、「動画の編集方法をもう少し知りたかった」といった意見があった。

(4)ワークショップ7

「アクティブ・ラーニングのマネジメント」

 本年度は、アクティブ・ラーニングのマネジメントをテーマとして「アクティブ・ラーニングで授業を進める」と題したワークショップ7を設置した。アクティブ・ラーニングは、授業方法の改革として重要なメソッドとして指摘されている。先行してきた欧米に比べ大学等の授業時間・方法の相違もあり、我が国においては対応できる方法を一工夫しておく必要がある。しかし、アクティブ・ラーニングの手法をのみ適応した場合、様々な弊害が出現する。反転学修からディスカッションを経てティーチィングへの過程は、多くの人が指摘する通り有効であるが、教員個々と科目の特性に合った方法の工夫が必要になり、さらなる大きな効果を生む出すことになる。
 ワークショップでは、時間的都合もあり全般的に概要の説明であったが、反転だけでなく、受講者個々がアブダクションによる教育の変遷にまで展開できれば満足感も含めた最高の効果があげられたかもしれない。この部分は、後半の各時の問題点のディスカッションから、改善方法を見出す工夫への道筋を確認できたことが有意義であった。
 様々に試みている授業事例の説明から質疑も多く各自が問題点・問題意識を示しながら、自らの授業に展開するときの疑問や再工夫の在り方につて同一グループ内での論議が活性化した。特定の目標(国試)対応授業でも、意欲や将来有効になるであろう知識の獲得への工夫は深刻な問題を含んでいた。基本的知識の獲得のみならず知識の整理と展開はアクティブ・ラーニングにおいても一工夫することによってきわめて有効な手法であることが理解でき、また実施できること、そして実施を工夫することへの道筋がたったとの議論から有効な授業方法が確立できたと考える。この中においても授業のコマ数と時間幅によって一般的に言われているディスカッションメインではなく、同等な反転授業を含んだ希望に満ちた手法であるとの意見から、多くの参加者から実施希望があり本来の有効性が議論できた。参加者の多くが自ら授業方法を考える手段と道筋を確認できたことは、前向きな授業ができるものであろう。
 このワークショップの基本スタンスは、決められたの手法を身に付けるだけでなく、自ら考え工夫し展開できる道筋を理解し展開することにあって、かつすべて同一な方法でないこと、工夫と展開の道筋であること、自ら考え多くの意見をもとに確立していくことであり、これが正解であるものではないという立場である。一方においては各校においても創造的教育方法のリーダを生み出していくことは、これからの私立大学の存立にとって効果的なものである。

 参加者からの感想は総じて、「グループでの議論が良かった」、「たくさんのヒントをいただいた」、「大変参考になった」、「今後の講義の材料となった」などの肯定的な意見であった。

(5)ワークショップ8

「LMS活用編:ルーブリックの作成」

 近年、ルーブリックの活用が広まっていることから、昨年度に引き続き、ICTを活用したルーブリックの作成をテーマとしたワークショップを企画した。昨年度のワークショップで達成できたとする受講者が3割弱であったことから、ルーブリックの基本とLMSでのルーブリック活用にフォーカスして、Googleフォームを利用した学生の自己評価集計方法についてはオプションとした。
 ワークショップでは最初に、ルーブリックとは何か、どのような場面で活用できるのか、どのように作成するのかといったルーブリックの基礎について講義形式で解説した。講義の時間帯枠では、具体例を示し、特にルーブリックが教員と学生のコミュニケーションツールとしての役割を持つことの意味を解説した。また、ルーブリックを作成する際に参考となる「ICEモデル」を紹介した。
 次に受講者のグループで協力しながら実習を進めるために、アイスブレークの活動を行った。実習では、手順書を見ながら実際に操作を行ったり、自分の授業で使うルーブリックを作成してみたりした。それらの過程でわからない点や考えたこと・思いついたことなどをグループ内あるいはファシリテータとディスカッションする形式をとった。実習はLMSのMoodleに備わっているルーブリック機能でルーブリックを作成し、学生が提出した課題をルーブリックで評価するまでの操作を体験した。オプションではGoogleフォームを使って学生がルーブリックを使った自己評価を行うためのフォームを作成し、回答結果がスプレッドシートに格納されるまでの操作を体験した。
 実習時間の後に、グループ活動の時間をとって実習をして考えたことや自分が実践していることをグループ内で紹介し合った。最後に各グループからグループ内の主な話題を発表して頂き、全体でシェアをした。

 アンケート結果からは、36%の参加者が「達成できた」、64%の参加者が「見通しがたった」としていた。自由記述では「チームを組んだ先生とのディスカッションで良い知見を得られた」、「ルーブリック評価の基点を教員として、どのように設定するのか、他大学の先生とも話をさせていただきヒントも得られたが悩みも増えました」といったコメントがあった。ルーブリックの作成はルーブリックの知識だけではなかなか上手くいかず、他の教員とディスカッションすることで理解が深まったり、より良い作成方法を見いだせたりできるものである。参加者の間でのディスカッションを取り入れたことが有益であったと思われる。

(6)ワークショップ9

「ICTツール入門」

 ICT(Information and Communication Technology)は学生の学びをサポートする有力なツールの一つである。グループ学修におけるSNS(Social Networking Service)の利用、LMS(Learning Management System)を用いた課題の提供と回収、反転授業用映像教材の配信、クリッカーによる双方向授業の展開など、その活用範囲も広がってきている。また、利用できるアプリケーションやサービスも年々増加しており、魅力的な授業の展開が期待できる。その一方で、実際にどのようなツールがあり、どのような場面で利用できるのかがわからず、使用することに二の足を踏んでいる教員も少なくない。本ワークショップでは、LMS以外で授業に役立ちそうな様々なICTについて、講義、実習を行った。
 ワークショップ冒頭で実施した講義では、「講義とICT」と題して、授業やその準備として利用可能な様々なICTを紹介するとともに、どのようなICTがどのような場面で利用可能かについて解説を行った。実習では投票・アンケート手法として「Google Forms」、双方向授業を展開するためのゲームライクなクイズを実施可能とする「Kahoot!」、共同作業が可能なマインドマップ作成ツール「Coggle」などの学生に授業中使用させるツールやサービスについて、サービスへの登録方法、準備方法、実施方法の一連の流れを取り上げた。実習はまず各アプリケーションおよびサービスの利用方法を解説後、それぞれの受講者に使い方を練習していただいた。その後演習時間内で、各人の目的に応じて自由に練習していただくことにし、なるべく個人の利用目的に即した実習ができるよう配慮した。これらアプリケーションやサービス以外にも、授業の展開に役立つような、無線環境を用いたプレゼンテーション方法、タイマー、共有ホワイトボード、電子付箋サービスなどについてもデモンストレーションを行い、希望する受講者には、個別に対応して利用していただいた。

 事後アンケートからは、35名中、34名の受講生が課題の達成に関する質問に対し「達成できた」あるいは「見通しはたった」と回答しており、概ねワークショップの内容が受講者にとって適切であったと考えている。ただし、本ワークショップが初回目であることもあり、内容、展開方法の検討が不十分であった点は否めず、「達成できなかった」と回答した1名を含め、内容が難しいと感じていた受講者が8名存在した。また、自由演習の時間よりも、より多くのICTの説明と練習に重点を置いてもらいたい旨の意見も見られ、この点については、次回の課題として検討し、今後のワークショップの運営に生かしたいと考えている。

3.おわりに

 本講習会に対する参加者のアンケートの集計によれば、参加者個人が抱えている課題の達成について、「見通しがたった」との回答がほとんどであることから、本講習会の目的は達成されていると見られる。参考までに、ワークショップの達成度(アンケートの集計)を以下に掲載する。

ワークショップの分類 達成できた 見通しがたった 達成できなかった
① Google Classroomの基本と活用 3割 7割  
② LMSの基礎と活用 4割 6割  
③ 動画教材の作成 3割強 6割 1人
④ アクティブ・ラーニングのマネジメント 3割 7割  
⑤ ルーブリックの作成 4割 6割  
E ICTツール入門 3割 7割弱 1人

 参加者にはリピーターも多く、彼らの声を聞くと、本講習会の開催がいかに有意義であるかを窺い知ることができた。
 今後も、アクティブ・ラーニングのICT支援教育をテーマとした先導的取り組みである本事業を、これまで私情協が永年実践し積み上げてきたノウハウと、教育界の趨勢・最新のニーズを見極めつつ、立案・推進していかなければならない。次回も、今回の実績を精査し、より実りある講習会の開催を期待する。

文責:FD情報技術講習会運営委員会


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