賛助会員だより
青山学院大学の学生は、学部によって内容は異なるものの、全員がpreとpost、すなわち入学直後と英語科目履修後の2回、英語力を測るテストを受ける。
学生一人ひとりがコンピューター端末を使って英語の授業を受けられるCALL(Computer Assisted Language Learning)教室が充実しているのも青山学院大学の特長である。青山キャンパスに13教室、相模原キャンパスに8教室あり、その管理・運営は同大の外国語ラボラトリーが行っている。
ICTを活用した英語教育の専門家で、外国語ラボラトリー所長でもある小張敬之(おばり・ひろゆき)教授(Ph.D.)は「学部によって、平均するとTOEICで50点から100点ほどは伸びますから、かなり成果が上がっていると言えるのではないでしょうか。」と自信をのぞかせる。
同大ではCALL教室をどのように活用しているのか、小張教授に話を聞いた。
小張「青山学院大学で使用しているのは、チエル社の『CaLabo EX』というCALLシステムです。大学の授業では学生に課題を出しますが、私の場合、課題は全部デジタルです」。
『CaLabo EX』は、様々なファイル形式の教材や課題を一瞬で配布・回収することができる。また、学生一人ひとりの学修履歴が記録できるため、個々の理解に応じた個別指導も可能である。
小張「教育には人間にしかできない教育もあれば、コンピューターを使ったほうがいい教育もあります。そういう意味でCALLシステムは非常に重要だと思いますね」。
青山学院大学外国語ラボラトリー所長 経済学部
小張敬之教授(Ph.D.)
『CaLabo EX』は実際にどう使われ、使用している先生や学生たちはどう思っているのだろうか。CALLシステムを特に活用されているという、文学部英米文学科の田中深雪(たなか・みゆき)教授が指導する「通訳基礎」と「コミュニケーション演習」の授業を見学した。
英米文学科では2017年度より、一層充実した教育を提供するべく、「英語で学ぶ」および「英語を究める」ための2つの新プログラムをスタートさせた。田中教授はその1つ、「通訳・翻訳プログラム」を担当している。
青山学院大学文学部英米文学科
田中深雪教授
――先生は授業の際、どのようにCALLシステムを活用されていますか。
田中「私は通訳・翻訳の授業を担当していますので、シャドーイングや同時通訳の練習では必ずCALLシステムを使っています。
最初に見ていただいた「通訳基礎」の授業では、同時通訳の練習をしていました。英語音声をヘッドホンで聴きながら自分の同時通訳の声を吹き込んで、スクリプトと照らし合わせながらミスがないかとチェックする作業です。同時通訳した声は『CaLabo EX』に録音されていますので、一人ひとりの訳をクラスみんなで一緒に聴くことも行いました。
その次のゼミの授業では、大学のウェブサイトにある歴史紹介映像の日本語音声をグループで聞いて英語字幕を付け、その訳語をみんなで吟味するということをやっていました。
私の担当するクラスには帰国子女が多く3割以上はいると思います。彼女らは発音がネイティブスピーカーのようにきれいですから、帰国子女ではない学生も日頃そういう発音を聴いていると自分も頑張ろうと思うようですね。CALLシステムでは、自分の発音も波形で確認できますし。逆に帰国子女の学生は英語から日本語に訳すことはやや苦手。CALLシステムはいずれにしても欠かせないです。だから毎年CALL教室を必ず割り当てて下さいとお願いしています」。
――CALLシステムは学生さんにとってどんなメリットがありますか?
田中「自分の声を録音してすぐに聴き直すことができる。保存できる。ネイティブスピーカーのモデル音声の波形と比べて自分の発音、イントネーション、声の出し方をチェックできる。それがメリットじゃないかと思います。目で見れば違いが一目瞭然です」。
――教える側にとって、CALLシステムはどんなメリットがあると思われますか?
田中「20人とか30人とかのクラスですと、いっせいに通訳されるとモニターできないんですが、CALLシステムの場合は、この学生の声を聴いてみようと思えば、そこだけを聴けますし、ほかの学生に聴かせることもできます。
通訳は声を出すのを恥ずかしがっていては仕事になりません。恥ずかしがらないように人に聞いてもらったりコメントをもらったりすることも、CALLシステムがあればやりやすいです」。
授業を終えた学生たちにもCALLシステムの感想を聞いた。
「ヘッドセットで声を録音するムービーテレコという機能があって、それで自分の訳などを録音して、あとで再生して確認することができるのが、とても便利です。一人の声を教室全体で聴けるのもすごいなって思います」。
「同じ音源を全員で一斉に聴いて授業をすすめるのではなく、自分のペースで聴いて、聴きたいところをくり返し聴いたりできるのもいいですね」。
「最初は一人ひとりが個別に練習するだけだと思っていたんですが、皆の前で発表して、と言われたときは驚きました。モデル機能で発表するときは緊張しますが、ある意味、それが力になっているかなとも思います」。
「友達の訳を聴いて、皆上手だなって思います。自分も負けられないなって」。
「自分が正しいと思っていても、よりベターな答えがあったりするので、自分の訳をクラス全員に聞いてもらって、お互いにフィードバックできることは素晴らしいと思います」。
学生達は、CALLシステムでクラス全員に自分の訳や発音を聴いてもらうことに、一人で黙々と学修する勉強とは違う価値を見出していた。
通訳・翻訳プログラムの受講学生
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