賛助会員だより
14学部約34,000人の学生を擁する関西有数の総合大学である近畿大学は、教育・研究活動の充実と並行して、巨大組織を支える事務業務の革新にも取組んでいます。その一つとして2019年4月、NTTデータ関西が開発した「学費納付書ペーパーレス化ソリューション」が導入されました。大学に不可欠な学費管理業務を大幅に効率化するとともに、学費負担者の利便性向上を実現したこのソリューションについて、システム導入に携わった財務部資金室の渡部哲也室長、小畑佳彦課長代理、馬場建次課長代理にお話をうかがいました。
近畿大学 東大阪キャンパス
学校法人 近畿大学
財務部資金室
課長代理
小畑 佳彦 氏学校法人 近畿大学
財務部資金室
課長代理
馬場 建次 氏学校法人 近畿大学
財務部資金室
室長
渡部 哲也 氏
3万人超えの学生へ学費納付書を郵送。手間とコストに加え、入金ミスの発生も不可避
馬場氏
本学では前期と後期の年2回、新入生の場合は年1回、全学生に対して学費の納付書および案内文書を郵送しています。この業務では、書類の印刷、確認、封入、発送という作業が必要です。膨大な手間に加えて、多額のコストが必要でした。
納付書を受け取った学費負担者は、そこに記載された情報に基づいて振込を行います。このとき、学籍番号や氏名、学費など、いくつかの情報を入力する必要があります。ところが手作業で入力するので、どうしてもミスが発生してしまう。そこで私たち職員は、入金データを見ながらミスの発生箇所と原因を確認し、学費負担者等に連絡したうえでデータの修正を行ってきました。入金データは、毎朝、銀行から前日の情報が届きます。これを本学の学費システムである「GAKUEN」に取り込み、学生ごとの情報と照らし合わせていました。
小畑氏
納付書を郵送すると、「まだ届かない」というお問い合せが少なからず寄せられます。紛失してしまうケースもあります。また、引っ越しなどに伴って宛先不明になってしまうことも。となると、学生に窓口まで出向いてもらい、再発行などの手続きを行ってもらう必要がある。これも、郵送を行っている以上は避けては通れない手間でした。
渡部氏
これらの課題を解決し、学生や保護者には利便性の向上を、職員には業務効率の改善をというメリットを目指したのが今回のシステム導入です。具体的には、郵送を廃止してペーパーレス化し振込方法を多様化することと、突合処理の効率化を目標にしました。
郵送に伴う多額のコストを削減。入金作業も安心・確実に
小畑氏
納付書のペーパーレス化は、学生・保護者の専用サイトである「UNIPA」を経由して専用サイトに、PDFをアップロードするというかたちで実現しました。学費負担者はこれをダウンロードし、金融機関やATMに持参して振込を行います。別の方法として専用サイトから銀行のネットバンキング振込画面に連携することも実現しました。ネットバンキングができる人は、ここで振込を行うことができる仕組みにしました。
馬場氏
ペーパーレス化による効果は、私たち学校側としては、先に述べた印刷や郵送のコスト削減があげられます。ネットバンキングでの入金を行ってもらった場合は、入力ミスが減少しました。
学費負担者側の効果としては、ネット上に常に納付書のPDFデータがアップされていますから、「まだ届かない」「紛失した」という心配がなくなりました。今回導入したシステムは、本学のシステムと銀行のシステムがシームレスにつながっているという特長があります。具体的には、学生が「UNIPA」を経由して専用サイトにログインすれば、その段階で学籍番号や氏名、学費などが認識され、この情報を銀行のネットバンキングサイトにまで引き継いでいきます。学費負担者からすれば、ログイン以降はそれらを入力しなくても、情報に誤りがないかを確認しながら画面の指示通りに進んでいき、最後に「振り込む」のボタンを押すだけ、といったイメージです。その結果、入力ミスがなくなるという期待通りの効果を得ることができました。
また、銀行のシステムと本学のシステムが連携したことにより、入金情報はすぐに学生ごとに専用サイトにも反映されるようになりました。つまり、入金したこと、金額に間違いがないことが、専用サイトで確認できるようになったのです。これは、ネットバンキングやATMなど無人で入金を行う際につきものの、「きちんと振り込めただろうか?」という不安解消に役立つ、非常に心強い仕組みだと感じています。
「入学から卒業までペーパーレス」の実現を目指す
馬場氏
現在のシステムは、5つの銀行でネットバンキングに対応しています。ここにゆうちょ銀行を加えることが当面の大きな目標です。金融機関は地域ごとに偏りが避けられませんが、ゆうちょ銀行であれば、全国を幅広くカバーしています。そうなると、学費負担者の利便性はさらに高まると考えています。
渡部氏
利便性を評価いただく声がある一方で、「今までの通りの紙の納付書がほしい」という声が届いているのも事実です。また、ネットバンキングの利用率はまだまだ高いとは言えません。ただ、あらゆる分野におけるペーパーレス化と、金融機関の支店・ATMの削減、ネットバンキングへの移行は社会の変わらざる流れです。私たちとしては、ていねいな説明と不安・疑問への対応を行っていき、本システムの浸透に力を入れていきたいです。
馬場氏
ご存知のように本学は、出願のほとんどがネット経由、すなわちペーパーレスです。入学金もクレジットカードやネットバンキングでの支払いが可能。つまり、今回の取組みが浸透しやすい土壌があると言えます。学費納入のペーパーレス化・ネットバンキング化を推し進めて、「入学から卒業までペーパーレスの近畿大学」を実現したいです。
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