特集 イノベーションの担い手を育成する起業教育−1
小野寺 忠司(山形大学 国際事業化研究センター長)
昨今、社会問題である「人口減少」、「少子高齢化」の波が急速に押し寄せています。地方においては特に顕著であり、生産年齢人口の減少が大きな課題になっています。本学では、将来の事業の担い手となる若者に対し、イノベーションを起こし地方活性化を自らが体現するための教育を地域教育機関として積極的に取組んでいます。
本学は、平成29年度より早稲田大学を主幹機関としたEDGE-NEXTコンソーシアムに、東京理科大学、滋賀医科大学、多摩美術大学とともに参画しています。EDGE-NEXT(Exploration and Development of Global Entrepreneurship for NEXT generation)とは、文部科学省の「次世代アントレプレナー育成事業」プログラムであり、次世代のアントレプレナー(起業家)の育成を大学が中心となり促進する5年間の事業です。
本学でも独自のプログラムを開発し、平成30年度から授業を開講しています。この事業で最も重要なのは「起業家精神を有する人材の育成=尖った人間の育成」です。求められる人材とは、“自分の挑戦目標に対しリスクを恐れず実行する人材”、“独創的なアイデアを持つ人材”です。参加者のレベル・目的に応じて主に3つのプログラムを有し、教育しています。
他にもグローバル人材に必要な英会話の教育や、データ関連人材の発掘・育成のためにプログラミングスクールを実施しています。
本学がHUB(ハブ)となり、本学の学生はもとより、県内および隣県の大学生、また企業に対してもオープンにプログラムを提供しており、さらに今年度からは、県内の中高生向けにも教育を拡大しました。加えて、山形県・市町村、教育機関や報道機関とも連携し、関係機関一丸となった人材育成を実施しています。実例として、東北地方の学生及びベンチャーを対象にした「みちのくイノベーションキャンプ」を2泊3日の合宿形式で開催、延べ417名の参加がありました。また、大学が主体となり、行政、報道と連携し県内中高生対象の「やまがたイノベーションキャンプ」を3泊4日の合宿形式で開催、県内の中学・高校生30チーム(83名)が参加しました。
このEDGE-NEXTプログラムを通して、若者の起業に対する意識や意欲の変化を非常に感じており、起業家精神のさらなる醸成に努め、「山形県から日本、そして世界をリードできる人材」を育てていきたいと考えております。