賛助会員だより
成蹊学園のネットワークは、必要性と予算額に応じ、随時更改・増設が進められてきたため様々な問題が確認されてきた。
2018年度策定の第2次中期計画の中、学園改革を支える環境とインフラの整備が重要施策の1つとしてあげられ、学内ネットワークの再整備が必要不可欠な取組みとなっていた。
改善に向けて既存ネットワークの現状調査を実施、主な問題点として以下のようなものが確認され、更改を実施するに至った。
上記を改善すべく2019年3月に提案型入札が行われ、その結果、住友電設株式会社が受注した。
成蹊学園キャンパス
1.コアスイッチ配下の有線LANシステム再構築
2.ネットワーク体系の再設計と実装計画の策定
3.無線LAN環境の課題調査と計画策定、再構築
構内配線のうち建屋間に10Gbps対応のシングルモード光ファイバケーブルを総延長約15,000m、各建屋内は1Gbpsrau対応のCAT-6A/UTPケーブルを総延長約42,000m、冗長化されたスター型配線として再敷設した。(図1参照)
図1 構内配線概要図
既存の有線LANシステムでは、多種多様な機器が導入されていたため運用・管理の効率が悪く、連携が取れていない箇所も多かっため、メーカを統一するとともに、機能をコアスイッチに集約、仮想ネットワーク(VLAN)管理を簡易化した。
有線LAN機器は、教育機関での導入実績が豊富なシスコシステズ社製品に統一し、コアスイッチにCatalyst 6807-XL、ディストリビューション(建物)スイッチにCatalyst 9200を選択、それぞれを冗長化、フロアスイッチにはCatalyst 9200(一部Catalyst 2960L)を選択することで計約200台のスイッチを最小限の機種数で構成した。ネットワーク構成を図2に示します。
図2 ネットワーク構成図
その結果これまで、基幹・事務・小学校・中高・法科大学院と5つのネットワークが独立して存在していたが、Catalyst6807-XLのVRF(Virtual Routing and Forwarding)機能により、論理構成を変更することなく統合することができた。
機種を統一したことで、保守に関しては予備機をまた、配置することで障害時の迅速な対応が可能になるとともに、システム全体の費用削減に大きな効果を出すことができた。
無線LANシステムに関しても、随時機器を増設してきたため継ぎはぎ状態となっており、ボトルネックの特定が難しい状態でした。
今回は最適な無線LAN環境構築のため現状設定/構成確認、サイトサーベイ、スループット測定、有線経路調査などを実施した上でコストメリットを考慮し計画を策定した。改善前と改選後のサイトサーベイの結果の例を図3に示します。
図3 無線LANサイトサーベイ
単に設置するAP数を増やすのではなく、無線LAN機器の一元的管理、APの移設や増設にも柔軟に対応できることの他、既設の無線LAN AP約350台を最大限有効活用すべくHPE Aruba AP-305を約400台追加することとした。
なお、既存のAPのうちメーカ保守が終了したAP約150台は更新をすることとした。
コントローラーに関しては、独立して運用されていた複数台を冗長化するとともに、ネットワーク管理ツールを組み合わせて利用することで、無線LAN環境の運用管理を効率化した。
図4 導入した無線LAN AP
AirWave導入により、過去に遡った端末状況の確認が可能となり障害対応が迅速になるとともに、各APのアクセス状況をビジュアルに把握できるようになり、どの端末がどれぐらいの帯域を使っているのかが一目で分かるようになり、混雑状況の把握と対策が取れるようになった。
監視システムとしてWhatsUpGoldを導入、ネットワークのみならず、サーバ(物理/仮想)、アプリケーションやリソース監視可能とし、種々問題を早期に解決した。
2020年度は成蹊学園でもオンライン授業を余儀なくされましたが、基幹ネットワークを強化していたためビデオデータの大量利用でもネットワーク上の遅延などの問題は発生せず安定した運用となりました。
併せて、小中高への無線LAN AP増設を実施しており、旧来別管理であったものを一括管理へと変更することで運用を容易とした。
今後はBYODを見据えた認証ソリューションの導入など課題がありますが、引き続き対応していく予定です。
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