賛助会員だより

日本システム技術株式会社

新型コロナウイルス感染症感染拡大防止と
UNIVERSAL PASSPORT RX
オンライン授業の活用
〜甲南大学での取組み事例〜

甲南大学キャンパス

■甲南大学の紹介

　2019年４月に創立100周年を迎えられた甲南学園は「人格の修養と健康の増進を重んじ、個性を尊重し、各人の天賦の才能を引き出す」という教育理念を掲げ、これまで10万人以上の卒業生を輩出されております。
　2015年４月には、教育学習支援センターを発足され、FD/IR/教育支援/学習支援/ラーニングコモンズの運営を中心に、学生自身の能動的学習をサポートするための様々な取組みを一貫して行っております。また、新型コロナウイルス感染症の拡大予防を目的としたオンライン授業実施に伴い、教員様への技術的サポートなど、変化していく社会におけるより良い学びの在り方について考え、実現に向けた取組みを加速しておられます。

■新型コロナウイルス感染症感染拡大防止への取組み

　甲南大学では、2020年３月に大学執行部を中心に「2020年度新学期授業対策会議」を設置されました。教育・研究を止めない方策について、設置から2021年２月末まで16回に上る会議が開催されました。「甲南学園新型感染症対策本部」と連携し、即決・即実行で対応した結果、Webを活用したオンライン授業の実施をいち早く決定。ポータルサイト「My KONAN」のサーバを１カ月弱で増強し、若干の応答遅延は生じたもののサーバダウンすることなく、授業開始を迎えられました。

■オンライン授業開始に向けた準備

　甲南大学では、オンライン授業を取組むにあたり、オンライン授業に関する定義づけや注意事項、学内リソースの標準使用方法についてまとめたTips集の作成やFDの実施（計５回）を学内資源への理解やPC操作の知識がある教育学習支援センターが担当されました。
　オンライン授業については、「オンデマンド授業」：時間・場所の制約がなく、関係者が自らオンラインコンテンツにアクセスする、「リアルタイム授業」：教室といった場所の制約がないかわりに、関係者が特定の時間帯にオンライン上で開催される“授業”に参加、と定義づけられました。
　オンライン授業では、「授業内容を伝達する」「学生が課題等を取組む」「課題の添削指導を行う」「質疑応答の機会を設ける」「学生同士の意見交換の機会の確保」の５つの要素を満たす必要があり、『My KONAN（UNIVERSAL PASSPORT RX）』のクラスプロファイル機能には、「動画教材（配信アドレスの通知）」「授業資料」「課題」「リアルタイム授業に関するミーティングアドレスの通知」「テスト」といった、上記２つの方式（オンデマンド授業、リアルタイム授業）で必要な機能が揃っていると判断され、My KONANがすべてのオンライン授業のプラットフォーム・入口となり、学生が授業を受けられるように環境整備をされました。

■UNIVERSAL PASSPORT RXのクラスプロファイル機能

　①授業として使う機能
　②管理として使う機能
　③学生の学びの記録として使う機能
　④アンケート機能他

　オンライン授業の取組みとしては、①が主となり、授業資料や課題、テストなど複合的に管理するコース学習機能も備えており、授業の流れを学生が一体的に体験できるようになっております。

クラスプロファイル（TOP画面）

■運用における想定課題と対応

　甲南大学は、My KONANの運用環境においてサーバのリソースがボトルネックになることを最も懸念しておられました。
　2019年度に導入されました学修ポートフォリオ機能の利用に加え、クラスプロファイルの活用が進めば、教員や学生によって膨大な量のデータを保存する必要があります。想定されるオンライン授業実施用データのすべてをMy KONANに格納することは困難だと判断した甲南大学は、授業用データをMicrosoft365の各機能を活用することとし、授業に関するデータで容量の大きいデータはShare Point、MP4動画化が可能なものはStreamに格納することとし、大量のアクセス時に処理負荷が最も大きいファイルのI/Oや動画のストリーミングを「外出し」することができました。最も負荷が高い時間帯も授業に支障がでることなく運用されておられます。

■影響と結果

　新型コロナウイルス感染症が及ぼす社会への影響が非常に深刻であり、また今後の展望も不明瞭とされている緊急事態であるとの共通認識を甲南大学の構成員が持たれ、全学的な対応を実現されました。
　また、こうした教育活動の効果は2020年7月に学内で実施された授業改善アンケート結果からも読み取れ、

• 「毎回平均してどれくらい予復習等に時間を使ったのか」の設問では、１時間以上とした学生の割合が62.8％（前年度30.3％）
• 「総合的に判断して、この授業は満足できるものだったか」の設問では、「そう思う」及び「どちらかといえばそう思う」と回答した学生の割合が84.5％（前年度79.4％）

　といったように、甲南大学の、コロナ禍対策として取組まれたオンライン授業方策が、対面授業とそん色ない授業を学生に提供し、対面とオンラインのハイブリッドで教育を継続できる事を示されました。

■期待と展望

　「オンライン授業を推進するうえで、クラスプロファイル機能を大いに活用した。機能・操作性等について、学内関係者から多くの意見・要望があり、内容によっては運用途中での改修が必要な実態もある。教職員や学生が毎日触れる、教育を支える基幹ツールとして、その使い勝手や機能等の向上は、日々の対応と毎年の更新で弛まぬ努力をしていただいており、パッケージシステムユーザとしての利点を最大限享受したい。」
（甲南大学 全学教育推進機構事務室 教育学習支援センター担当　深堀 太博氏 談）

■導入システム概要

学生/教職員向けWebサービスシステム
（UNIVERSAL PASSPORT RX）
Base、教務、授業、学生、学修ポートフォリオ、マイステップ

　「授業」では、１つの授業を切り口に学生と教員が双方向型で利用できる機能を有しております。
　また、課題提出や小テストを含めたコース管理や一問一答のクリッカー機能等のLMS機能も備えており、同じWebシステム（UNIVERSAL PASSPORT RX）内で利用できるため、より円滑に全学的なLMS導入を支援し授業の質的向上につながります。