賛助会員だより

株式会社アルファシステムズ

東北工業大学における
授業録画・配信システムの利活用と
運用自動化に向けた取組み

 東北工業大学では、2021年4月より、試験的に8教室に対して、アルファシステムズの「授業録画・配信システム」を導入しました。当初の目的は、教員のオンライン授業の準備負荷軽減と、学生が発熱等で授業を受けられなかった場合のフォローとしてシステムを公開していましたが、一部の学生から「何度も見返せて復習しやすい」「授業中に板書が見え辛かった時に見返せる」と好評だったため、2022年4月より導入教室を33教室に拡大し、対面授業を行う教室の約8割をカバーしました。

■授業録画・配信システムについて

システム構成

 本システムは、板書を撮影する天吊カメラ映像と、PCや書画装置等の映像と、教室のマイク音声を1つの動画ファイルに合成するフォトロン社製動画合成サーバ「SpiderRec」と動画を学内外にストリーミング公開する同社製動画配信サーバ「CLEVAS」から構成されます。(図1)

図1 授業録画・配信システムの構成

既設AV設備の活用

 東北工業大学の各教室には、マイクやプロジェクタなどのAV設備が整備済でしたので、これを活用して導入コストを抑えました。教員は、普段通りマイクとプロジェクタで授業を実施すれば、その様子がそのまま収録されますので、自然体の授業が録画されます。また、リアルタイム配信の受講者に対して教室にいるかような映像を提供するために、天吊カメラ映像をリアルタイム授業に取り込むための機器を追加導入しました。

システムの特徴

① ハイフレックス対応

 本システムは「対面授業」「リアルタイム配信による遠隔授業」「オンデマンド配信のための録画」を、同時に実施できる仕組みです。東北工業大学では、対面授業を再開した2022年度以降も、コロナ感染や濃厚接触者認定による自宅待機学生には、リアルタイム配信による遠隔授業に参加することで「出席」と認めることができ、このハイフレックス授業を本システムにより実現しています。

② 収録の全自動化

 補講休講や教室変更があっても収録が漏れないように、またスケジュール収録の設定変更などの運用負荷にならないように、全教室、全コマを全自動で収録しています。教員は収録を一切意識することなく、普段通りに教室で授業をするだけで、授業が録画されます。

③ 録画仕様の設計

 動画の解像度は、板書がしっかり読める高解像度にする必要があります。一方で、高解像度にするほど、学内ネットワークのWAN回線帯域や、在宅受講する学生の回線を圧迫します。バランスの良い録画仕様を検討した結果、以下仕様を採用しました。

④ LMSへの公開(学生の使い勝手重視の運用)

 東北工業大学では、教材をLMS(WebClass)に集約して閲覧する運用を行っています。授業録画・配信システムで録画された動画もLMSの当該授業のコースに動画のURLを貼ることで、学生は自身が履修している授業の動画を、直感的に探し出すことができます。
 これを実現するために、動画の授業を特定して(授業名、担当教員、単元)、LMSに公開する作業を、学生アルバイトがほぼ毎日実施する体制を組みました。早ければ授業受講日の夜には学生が復習できる環境が整備されています。

■導入の結果

利用状況

 33教室の運用を開始して半期が経過しましたが、システム全体の利用状況は以下の通りです。

 利用ユーザ数のカッコ内は利用率です。学生の利用率は80%未満ですが、授業受講がメインの1〜3年生に限定すると、87%の利用率となっており、大半の学生が利用していることが分かります。
 視聴回数については、図2に示す通り、学生への周知と学生同士の口コミ効果で日々増加しており、学内に居る時も自宅に帰ってからも、活用されている様子が分かります。特に、前期の定期試験前である7月の視聴回数の伸びが大きかったので、定期試験に対する振返り学修が、学生にどの程度役に立ったのか、後日調査を行うと興味深い結果が得られるのではと期待しています。

図2 視聴回数の日次推移と視聴時間帯の分類(前期授業期間4/13〜7/28)

具体的な利用方法(学生インタビューより)

 視聴回数が多い学生にインタビューを行ったところ、以下のように利用していることがヒアリングできました。

高校からの高評価

 東北工業大学では、本システムのパンフレットを作成し、オープンキャンパス等で配布して高校生にもアピールしていますが、高校からも高評価をいただいています。恐らく、中学・高校時代に、スタディーサプリなどのオンデマンド型のコンテンツで学んできた世代が、大学生世代になりつつあり、こういったシステムが必要不可欠となる時代がやってきたのかもしれません。

https://www.tohtech.ac.jp/topics/information/28740.html

■今後の展開

大学全体の教育の質向上への期待

 東北工業大学 小林正樹副学長は「コロナ禍にあって、授業に欠席した学生やオンライン配信を希望した学生への対応としてハイフレックス型授業を目的に導入したが、オンライン授業のもつメリットを対面授業の補完機能として活かせることが分かった。アフターコロナを見据え、ICTを活用した新たな学修支援サービスとしての大きな可能性がある。また教員にとっては、他の教員の授業をオンラインで簡単に視聴(授業参観)できることから、教員相互の授業改善に活かすことができ、ひいては大学全体の教育の質向上にもつながると確信している」と期待を寄せています。

DXによるLMSへの公開作業の自動化

 LMSの公開作業は、現状では学生アルバイトによる手作業となっており、多くの時間を費やしています。これを改善するために、動画の内容をAI分析して授業を特定し(授業名、担当教員、単元)、LMSへの公開作業をRPAツールにより自動化する取組みを行います。

DXによる視聴傾向と成績の相関分析

 視聴履歴について以下のような詳細分析を行い、より深い学びに繋げるにはこのシステムをどう運用していけば良いのか検討を行います。

問い合わせ先
株式会社アルファシステムズ
製品販売本部 販売部
TEL: 044-738-4157
E-mail: edu@list.alpha.co.jp
(アドレスは全角文字で表示しています)
URL: https://www.alpha.co.jp/

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