賛助会員だより
近畿大学は、15学部49学科を擁し、約35,000人の学生が学ぶ全国屈指の大規模総合大学であり、2022年4月には情報学部を新設するなど、情報分野での学びと研究の充実を図っています。その1つが、2021年2月、2022年2月の2度にわたり、NTTデータ関西との産学連携によって実施された「データサイエンスセミナー」です。
政府は『AI戦略2019』の中で、2025年には数理・AI・データサイエンス分野の応用基礎力を備えた人材を年間25万人、リテラシーを備えた人材を年間50万人育成すると掲げています。そのために、大学などが行う人材育成プログラムを政府が認証する制度の構築も進められています。この方針を受けて近畿大学でも、数理・AI・データサイエンス分野での学びの拡充に向けて様々な取組みが行われています。
実施された「データサイエンスセミナー」は、多くの企業などで導入実績を持つデータ分析ツール「Tableau(タブロー)」を用いた講座です。講座での指導を担当した波部斉准教授は、「データサイエンスという分野において、実学を学生に提供したいと考えていました。そこで、ビジネスの現場などで実際に使われているTableauを使った学びや、Tableauの導入を支援されているNTTデータ関西と連携した講座の実施を決めました」と語ります。
初年度にあたる2021年は、基礎セミナーという位置付けで基本的な操作演習とオープンデータを用いたコロナウイルスに関するデータ分析を学生主体で実施しました。応用セミナーとして実施された2022年は、より実践的な分析場面を想定した演習を行いました。両セミナーともに、学部を問わず興味と意欲のある学生が参加できる学びの場となりました。
講座は基礎、応用セミナーともに3日間にわたって実施。コロナ禍の影響もあり、オンライン形式で開催されました。プログラムは「Tableauって何?」という説明から始まり、データの分析やグラフ作成などの可視化といった、Tableauならではの操作を学びました。基本的な操作方法を習得した後は、実社会で収集されたデータを学びの素材にして、仮説の設定からデータ分析による検証を行うという演習に取組みました。また、自身の仮説や検証結果の発表も行われました。
「ほとんどの学生が、Tableauの操作は初体験でした。しかし、講師を務めてくれたNTTデータ関西の社員の方の丁寧な指導のおかげで、スムーズにマスターできた様子でした」
そう振り返る波部准教授が「非常に有意義だった」と指摘されるのが、学生がデータを「読み取る」体験をできたことです。ここで役立ったのが、Tableauの特徴でもあるデータを可視化する機能です。Tableauでは、分析したデータの傾向などを直感的なグラフとして表示することが可能です。これによって、データが持つ意味や自身が立てた仮説との一致・不一致に関する考察へと、スムーズに思考が進んでいきました。
また、講座の締めくくりに行った学生によるプレゼンテーションも、有意義な学びになったと波部准教授は言います。
「日頃の授業では、自分の考えや取組内容を人に説明する機会は限られます。しかし実際のビジネスでは、そういった場面の連続です。将来の仕事の場面をイメージできる、貴重な体験になったと思います。指導をしてくれたNTTデータ関西の方は、日々、データ分析やプレゼンテーションを行っている方でもあります。そういった人と接し、“社会人”をリアルに感じられたことも、この講座ならではの学びだと思います」
近畿大学は、2022年4月に、情報学部を開設されました。同学部では、新たな情報価値や情報サービスの創出を担う技術者の育成が行われています。高い専門性を備えた人材を育てることと並んで社会的急務になっているのが、数理・AI・データサイエンスに関するリテラシーを備えた人材の育成です。そこで同学では、2022年4月から、全学を対象とした「データリテラシー入門」という科目を開講されています。
深さと広さの両面において充実が図られる同学におけるデータサイエンス教育。NTTデータ関西との連携で実施された「データサイエンスセミナー」もその一翼を担うことが期待されています。プログラムをブラッシュアップしてより有意義な学びの場を学生に提供することが、今後の目標になっています。
今後の講座では、単にTableauの操作方法やデータ分析の手法を身につけるだけでなく、「課題を解決する力」を身につけてもらいたいと考えています。そこで重要になるのが、設定する課題の難易度や学生に対する指導の“距離感”です。
比較的取組みやすい課題を学生に提示したうえで、懇切丁寧に指導すれば、学生の理解度や満足度は高まるかもしれません。しかし、あらかじめ用意されたレールに乗って学んでいるだけでは、講座の目標である「課題を解決する力」をしっかりと養うことはできません。かといって難易度の高い課題を提示し、学生に任せきりにしていては、学生は戸惑うばかりです。「できるだけ口を出さずに見守ることに徹し、それでいてしっかりとした学習効果が得られるプログラム」という、絶妙なバランスを模索しています。
NTTデータ関西の方はTableauの導入を支援される過程で、ユーザーがどこでつまずきやすいのか、どのような支援をすればスムーズに運用できるようになるのかという知見をたくさんお持ちです。それらを講座へ落とし込みながら、より良いプログラムにしていきたいです。
講座で学んだ学生には、データ分析による課題解決という取組みに興味を持ち、それぞれの専門分野で学びの経験を活かしてくれること期待しています。情報学部の教員としては、受講生のなかから、データ分析を支援するシステムの開発にチャレンジするような学生が育ってほしいと願っています。
近畿大学 情報学部情報学科准教授
波部 斉 氏
Tableauは、スタンフォード大学のデータをコンピュータグラフィックの技術を使って分かりやく表現できないか、という研究の中で生まれました。
誰もが使える直感的なビジュアル分析プラットフォームであるTableauは、“簡単”、“速い”、“見て分かりやすい”という大きな特長を持っています。
業種や職種を越えて活用範囲が広い事も特長の一つであり、近畿大学では、財務やIRの分野でTableauを導入して業務の高度化を進められておられます。
またNTTデータ関西では「Plat-Campus 財務DX」として、Tableauを使った財務状況の可視化を実現し、法人経営における意思決定のスピードアップを支援しております。
問い合わせ先 | |
株式会社NTTデータ関西 | |
第二公共事業部 第三ソリューション担当 | |
TEL: | 050-5545-3050 |
E-mail: | sales@ntt−dk.jp (アドレスは全角文字で表示しています) |
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