情報教育と環境
基本概念の学習:講義科目
(一般教育科目および各学部基礎科目)
情報科学、情報化社会(情報インフラとその社会的意義)、情報処理概論、コンピュータサイエンス序説、など
情報リテラシ教育:1年次全学生対象の必修科目
(一般教育部、経済情報学部)
情報利用についての基本概念の理解と利用のための技法の修得
情報処理教育:2年次以降配当
(外国語学部、経済情報学部、一般教育部)
プログラミング(各言語)、統計計算、情報システム論、情報表現論、データベース
情報システム応用(マルチメディア、ネットワーク、DTP など)
専門学科でのコンピュータ利用教育:2年次以降配当
(外国語学部、経済情報学部)経済統計、
統計学、知識工学、教育工学、ビジネスゲームなど
コンピュータ支援による語学教育(CALL) (外国語学部)
英語、中国語
その他、演習(ゼミ) にも「情報」や「情報処理」に関わるものが開講されている。
3.1. 学内LANとインターネットへの接続
学内LANは平成2年に研究用ネットワークとして構築を開始し、平成5年の教育用システムの更新に際して各演習室のコンピュータ群をこのLAN上に構築した。
平成6年には情報科学センターと神戸大学とを専用線で結び、神戸大学を接続点として
学情の広域ネットワークであるSINETに加入した。これにより学内LANからインターネットの利用が可能になり、平成7年に全学的な運用を開始した。
平成8年度には、全ての教員研究室に情報コンセントを設置した。
3.2. 教育用コンピュータシステム
現用のシステムは図1のよう構成されている。
システムの構築に際しては、情報リテラシ教育を円滑に進められるよう、一般的かつ多様なアプリケーションを各アプリケーションに共通のユーザインタフェースで利用でき、かつマルチメディアを利用できるよう配慮した。
各コンピュータの機種、利用目的、使用ソフトは次のようになっている。
パソコン:Machintosh
UNIX ワークステーション:DEC Alpha Station + X端末 情報専門教育、専門学科での利用
スーパーミニコン:VAX7000
ファイル共有システム:教卓のMacintosh Quadra 950
[利用状況](平成8年度)
演習室を利用する授業科目数:計34科目、ゼミを含めると46科目、98コマ
演習室の利用登録した担当教員数:32名
履修学生数:延べ約2000名(履修登録者数)
演習室利用コマ数:実質85コマ(利用率 77%)
3.3. 情報科学センターの設備とその利用
センターは、所属教員(兼務)の研究テーマに共通する研究インフラとしての情報処理環境を整備・運営している。
センターの設備は、図2のようにUNIXワークステーションとパソコン群で構成されている。ソフトウェアは、ネットワーク関連、ドキュメント作成、データベース、およびマルチメディア関連のものを置き、常時アップデートしている。
ネットワークの利用環境を実現・運営するための技術開発とその実装・運営もセンターで行っている。Webサーバなどの開発・設置もその一つである。
この設備は所属教員の研究のほか、学内の共同利用施設として所属教員以外の教職員、学生の利用にも開放しており、ゼミなどの少人数演習で、能力上コンピュータ演習室が使用できない場合などにも利用できるようにしている。
図1 姫路獨協大学の情報処理環境
[電子メール]
教職員だけではなく、希望学生に対しても e-mail IDを与えてきた。その中で、外国語学部(日本語学科)の学生が自発的にグループを作り、短期語学研修留学先であったカナダ・ヨーク大学の日本語講座のグループと電子メールによる相互の課題演習を始めた。日本語と英語の両者での演習レポートの交換が行われている。この学生の活動が両大学間の交換留学の話し合いにつながるという展開を生んだ。
平成9年度からは授業ベースでの利用を開始し、全学生にe-mail ID を与える予定である。
[インターネット]
本大学のホームページは、センターがWebサーバを置いて管理運営している。その下に各々の部門の自主管理によるホームページを置くようにしている。
センターからの情報発信の例として、星野助教授と森下助教授による「マラリア情報ネットワーク−海外渡航者のための医療情報サービス」がある。これは、星野が属する研究グループのメンバー(アフリカへの調査出張が多い)が自衛のために集めた医療情報をネットワーク上で交換するために始めたもので、1995年7月に開設して以来、その参照は16カ月間に271,803ページに達し、また多くの情報が提供されるなど、インターネット上の情報共有の好例となっている。[1]
大学からの情報発信としては入試広報および図書館がホームページを開設している。教育目的では平成8年度から一部の授業・ゼミで情報閲覧および情報発信を始めた。
図2 情報科学センター設置
[利用登録]
この教育用システムは利用登録を行った上で使用する形態をとっている。毎学年度の始めに、授業担当の教員が授業毎に使用演習室と使用コンピュータの機種(VAX,WS,電子メール)を登録し、履修学生はその科目の最初の授業で使用者IDとパスワードの登録申請を行う。IDとパスワードは授業、使用するコンピュータの機種によらず単一のものとしており、パソコンからの手続きで登録申請ができるシステムを開発・使用している[2、3 ]。他の利用希望者(教員・学生)は、個人で使用者IDとパスワードの登録申請を行う。
[パソコンのファイル管理]
新入学生がパソコンを使い始めるに際する混乱を避けるために、各ファイルやフォルダーを(悪意あるいは錯誤で)容易に移動・削除したり、また余計なものを容易に作成したりできる。このことは初心利用者と管理者を悩ませる。そこで、各パソコンの起動時にファイルやフォルダーを標準状態に戻すためのディレクトリ管理システムを開発して使用し、効果を上げている。[4]
教員固有のアプリケーションを使用する方法として、前もって上記管理ソフトに登録すること、あるいは、教卓のサーバに実装し(授業時間毎に)教材配布の機能を利用して転送・使用することの双方を認めている。
<<参考文献>> | |
[1] | 星野次郎他, 「インターネットによる『海外渡航者のための医療情報サービス』の運営」, 第16回医療情報学連合大会,1996年11月29日 |
[2] | 園田浩一他, 「LANを利用した利用者登録管理システム」, 平成6年度情報処理研究集会講演論文集,p.605-608 |
[3] | 佐野智行他, 「教育用コンピュータ群の利用者登録管理システム」, 第9回私情協大会,平成7年11月1日 |
[4] | 杉山武司他, 「多数の学生にパーソナルコンピュータを使わせる際の、 ファイルシステムの保護について」, 平成7年度情報処理研究集会講演論文集,p.39-42 |
文責: | 姫路獨協大学 |
情報科学センター長 | |
教育用コンピュータシステム運営委員会委員長 | 倉橋 浩一郎 |
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