附 録

次世代大学間ネットワーク


Internet II
The Next Generation University Network Internet II

Michael M.Roberts*
Educom Review November/December 1996, p.60



 大学の社会がインターネットの構築という功績を認められ、一安心することができた短い幸福感の時期は過ぎ去った。
 新聞の一面に載る驚くべきネットワークについての記事から誘導される豊かな期待は、私有化されたインターネットが高等教育の複雑な要求と出会うという高望みの約束からくる「二日酔いの」頭痛により置き換えられてしまっている。
 キャンパスの集団や学会さえも気まぐれになりつつある。それはすべてのアメリカ人のように、絶えず変化し進歩するような技術に基く製品の規定食をとってきたからだ。特に情報技術に専門的に結びつけられている我々にとって、期待水準は非常に高い。ここ20年を超えるマイクロコンピュータの価格性能曲線に匹敵する製造物は史上存在していない。「MIPS(1秒あたり百万の何倍の命令が実行可能か)も自由」、「ビットも自由」で「情報も自由に得られる」とすら連想させるような産業界の指導的立場の人による短い言葉に毎日悩まされる。
 次世代の大学間ネットワークに提出された挑戦はいくつかの広がりを持っている。
 第1に、また最も重要なものは、国家規模の研究集団に対する先端的なネットワークの能力を再形成し維持しなければならないということである。1987年からずっと、NSFネットのネットワーク・サービスは他のどこにも匹敵するものがなかった。しかし、そのネットワークの私有化と頻繁で過剰な商業的な置き換えは、世界級の研究を支援するために必要なネットワーク能力の多くの部分を奪ってしまった。この意図せざる結果は大学の研究集団に重大な否定的な影響を与えてきた。
 第2に、ネットワーク展開の効果を幾つか例示すれば、広帯域のネットワーク−メディア統合、相互作用性、実時間協調−といったものの能力を完全に利用するような新世代の応用を直接可能にするように焦点を合わせ直す必要がある。この仕事は遠隔教育、生涯学習、仕事につくための予備教育、および関連づけられた領域の支援へと高等教育の中に新しい優先順序が設定されるならば、一層効果がある。
 第3に、現存のキャンパス生産ネットワーク、これは今でも急速に成長しその利用者は大きな必要性を持っているが、その中のバグを打開するような仕事に、先端ネットワークのインフラを再構築するような努力が注意深く実行されなければならない。
 この2年間、Educomは次世代大学間ネットワークの要求事項の定義を全般設計を行うための一連のワークショップ−San Francisco、Monterey、Ann Arbor、 Colorado Springでの−を後援しそれに関与してきた。当然、問題点の複雑さのために、これらの会議での討論や論争はそれらが収束するのと同じくらい発散した。
 しかし、最近の数週間に、連邦の研究機関や産業界からの我々の友人や同僚の助力で上の概説したような3つの目的を包含する目標を持つ3-5年のプロジェクト−Internet IIと名づけられた−として建議が出された。
 Internet IIプロジェクトの基本的な目的は、学術的な世界におけるインターネットの展開の次の主要な段階へ焦点を合わせ、精力を集中し協力を実現することである。
 これは挑戦的な最終成果を持つ大いに専門的なプロジェクトであり、したがってすべての学校のためのものではない。しかし、新しい応用やそれらが支援する新しいネットワーク・サービスは、展開の「概念の検証」段階を首尾よく経過すると、それらはただちにより広いインターネットの参加者に利用可能になる。実際、技術の迅速な移転に重視することがInternet プロジェクトの主要な特徴である。
 10年前、大学間ネットワークの団体はインターネットを研究室からすべての研究や教育機関へと進展させるように、政治や産業界の仲間と冒険的なプロジェクトに着手した。我々は世界規模のインターネットの2回目の10年に入っているので、新世代の高度技術を持つネットワークを構築するための挑戦は重大であるが−報酬も大きい。今や挑戦を始めるときが来ている。



Michael M.Roberts: EDUCOMの副会長
E-mail:roberts@educom.edu


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