附 録
White: | Webにより呈示される法律上の困難なすべての問題の中で地理(場所)に関するものが最もややこしいでしょう。そもそもWebはどこにあるのでしょうか。いやむしろ、いつ裁判管轄権の法律(jurisdiction’s laws)がWebの処理に適用されると言うべきでしょうか? |
Brown: | しかし法律の中にはWebに類比できるような十分に類似した他の技術に関するものはないのでしょうか、Whiteさん。法律はどのようにして新しい状況に適合され柔軟性を増してきたかをご存知でしょう。実際、法については新しい状況というものは存在していません。ただ、最も類似した状況を過去のものから探し出し、おおまかにそれを適用するだけです。 |
White: | 確かに、Brownさん。しかし、あなたは「おおまかに」という句の中に多くを組み入れています。また、類似した状況はあります。たとえば、州間のギャンブルについて取り上げてみましょう。プロ・スポーツに賭けることはネバダ州では合法ですが、この州では違います。明らかに、もし私が飛行機でラスベガスへ飛び近くのカジノへ行けば、合法的に、気に入ったチームに賭け、ゲームを見た上で(うまくいけば)勝利金を得られます。しかし、電話で賭けをすることは違法です。 |
Green: | つまりそれがこの状況を扱うための特定の法がある理由です、Whiteさん。私達の州はギャンブル情報の州を越えた伝送を違法としています。 |
Brown: | そしてWhiteさんの例では特別な目的のための非常に特定した情報の交換があります。しかしこの方法によるギャンブルを規則で取り締まるようなこの州の試みは飛行機の切符を買うには忙しすぎるかお金がなさすぎるような人々に対する一種の差別のように思えるのですが…。 |
Green: | いつものように、Brownさん、表現を誇張しこのケースを大袈裟に話していますよ。この州はあなたがギャンブルするのを止められないし多分ギャンブルしようがしまいが勝手だという立場をとっている。しかし、この州はあなたがここでギャンブルすることを止めることは不可能ではないし、それが私達の法のかなりよく受け入れられた原則です。これと同じことがインターネット上のポルノにかぶせるフラップについても言えます。あなたが猥褻な興味を追求するためにデンマークかどこか他の国へ旅行しようとすることをこの州は止められません。しかしここでそれを追求することをあなたにとってより難しくしようとすることは、憲法修正第1条により定められた範囲内で、可能です。 |
White: | しかしそれはただ問題を言い換えただけですよ、Greenさん。それを情報供給者(仮にJonesとしましょう)の視点からみてみましょう。Jonesが使用したり、分配したり、売ったりすることが彼の司法管轄権では合法な種類の情報を持っているとしましょう。また、私達の州ではその情報を使用したり分配したりすることは違法だとしましょう。もし、私がその情報を得るためにJonesに電話するとすると、私は私達の州の法を犯しているのかもしれません。そしてJonesも同様かもしれません。もちろん、私達の州の当局はJonesを認可するための実際の手段を持たないのかもしれませんが、それは別の問題です。これによると彼はいつかここを訪れ空港で逮捕されるでしょう。 |
Brown: | Jonesが彼に電話をかけたどの人にも情報を分配するような自動システムを用意しておいたらどうでしょう、Whiteさん。もちろん彼は彼自身の州内では彼の顧客にこれを行う権利を持っています。彼は私達の州からの電話を受けないようにできるようなふるい分け装置を用意しなければならないのですか。 |
Green: | 彼にかかってきた電話が私達の州からか情報の移動が実際合法な他の州からか分からなかったらどうでしょう。Jonesは地理的な起点が確実に決定できるまではどの電話も受けてはいけないというのが解決なのでしょうか。 |
White: | それはJonesにとり彼の仕事を行うのに克服できない障害を与えるかもしれません。そして私達の州の前途から見て、それは一つの警句だと思います。 |
Brown: | 1959年のBibb対Nabajo貨物会社の興味ある最高裁判所の判例を思い出します。法廷での争点はトラックの泥よけ垂れの州規定の型が州間通商にはなはだしく抵触するかどうかということでした。ご存知のように、憲法は連邦政府に州間通商を統制する権限を与え最高裁判所は自分自身にこの通商に「はなはだしく抵触する」州の規定を打ちのめす権限を与えました。 |
Green: | しかし、州は州道に安全な規則を作る権限を持っているのではないですか。またたとえトラックが州の間で商品を運んでいるとしても、これらの規則はトラックの泥よけ垂れの大きさや形式の規定を含んでもいいのではないですか? |
Brown: | 州の規則が州間通商に「はなはだしく」抵触するかが標準的となる理由というのは本当です、Greenさん。州の規定のほとんどすべての内容は、ある程度までは、州間通商に抵触します。しかしBibbの場合は州間通商の負担が大きく、裁判所の判断では、はなはだしいということでした。ある州は平らな泥よけ垂れを推奨し、またある州は曲線的な泥よけ垂れを推奨しました。実際の問題はある州で要求されている垂れが他の州で実際に禁止されていたので起こりました。その結果、これらの州の間で貨物を運んでいるトラックの運転手は輸送中に停止し泥よけ垂れを交換するしかありませんでした。この垂れの交換には2-4時間を要し、多くの場合溶接も必要でした。これは州の間の商品の自由な流れに負担が大きすぎると判断され、裁判所は州の規定を打ちのめしました。 |
White: | だからあなたは想像上のJonesさんが彼自身の目的のためにBibbを考慮してうまくやると考えるのですか。多分本当の争点は衝突する州の規定が「情報通商」の自由な流れにどれだけ抵触するかということでしょう。 |
Green: | 多分。しかし私は彼を「想像上の」Jonesさんとして引用してほしくないです。Brownさんは想像上の人格の問題を少々気にしています。 |
Brown: | Greenさん、私の論旨をとらえて下されば分かるように、この点について私達はもっと注目すべきです。 |
Edmond B.(Peter)Burke
Atlanta、Austin、NewYork、Washington D.C.にある法律事務所でSutherland、Asbill、BrennanとAtlantaにおける知的所有権や情報技術に関する法律を扱っている。
E-mail:ebburke@sablaw.com
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