情報教育と環境
(1)取り組みとその目標
本学における情報教育の取り組み方は、法学部(法学科、行政学科)、商学部の2学部と経営情報学部とは本質的に異なる。法学部、商学部では1〜2年に電算機の演習を主とする科目を1〜2科目配置し、電算機処理の基礎を教えている。ここでは今日の情報化社会において必要不可欠と思われる情報処理の基礎技術の修得を目標としている。一方経営情報学部では、情報教育を経営科学教育と共に立つ学部の2大教育の柱とし、全科目のほぼ半数を情報系科目に当てている。経営情報学部では、1998年度から新しいカリキュラムが実施されることになっており、そこでは1年から4年まで年次進行的に情報教育科目を配置し、基礎から応用面まで、情報処理技術を含んだ一貫した情報教育を行うことになっている。ここではコンピュータのエンドユーザは勿論のこと、ある程度の情報専門技術者までも視野に入れた人材の養成を目標にしている。
(2)授業教育内容
法、商学部では1年次に、コンピュータ演習を通して、OSの概念、ワープロや表計算の基本操作、インターネットメール送受信、ホームページ閲覧や作成等基本的な情報処理技術を学ぶ。商学部ではさらに会計ソフトや表計算ソフトを使ったコンピュータ会計の演習が2年次に配置されている。
経営情報学部ではコンピュータ教育を重要視した新しいカリキュラムが1998年度から実施される。ここではプログラミング力の養成を重視し、1年から3年まで各学年にコンピュータプログラミングの講義と演習をそれぞれ独立した科目として置いている。特に1、2年次のこの科目では大人数クラスの弊害を避けるため、100人未満のクラス編成とし、できるだけ各学生の進展状況が見られるように配慮されている。この1年次ではワープロソフトや表計算ソフト使用を含んだコンピュータリテラシーやインターネットの基礎教育(電子メールの送受信、プラウザの利用、ホームページ作成等)が中心になる。2年次以降はC言語を中心としたプログラミングの講義と演習が行われる。さらに上級者も視野に入れた応用プログラミングとして2、3年次にオブジェクト指向言語の科目を置いている。
(3)電子教材提示板による授業支援
本ネットワークでは、各学部ネットワークサーバに科目単位毎に教材提示板を作れるように配慮されている。全ての教員がこれを使っている訳ではないが、授業の進捗状況や重要点の表示、レポートの課題通知等効果ある授業支援システムとして機能している。この電子教材提示板はアクセスできる人を科目受講学生、学部学生、全学生、教員等、単独または任意の組み合わせで指定できるようにしており、担当教員の意図しない人からの干渉を受けないように配慮されている。教員の中にはレポートを電子メールで提出させる等をして、電子教材掲示板活用により一部ネットワーク教育も兼ねた授業展開を行っている。
(4)情報処理特別教室
経営情報学部では学部学生を対象に、専門の講師を招いて通産省情報処理技術者試験2種(情報2種)、システム監査試験(シスアド)やパソコン認定試験(2級〜4級)の特別教室を開講している。
本学の学内ATMネットワークの構成を図1に示す。短大も含めたこの総合ネットワークに学内の全ての教育用コンピュータが接続されている。ネットワーク運用上、学生ユーザードメインを1)法、商学部、2)経営情報学部、3)短大の3つに分けている。但しこれらのドメイン間では、各サーバに信頼関係をもたせており、ファイル参照等の相互交信が築かれている。これによりすべての実習室のPCが、同じ環境で操作できることを可能にしている。1997年度、このネットワークにインターネットが接続され、インターネットも教育、研究両面で活用されるようになった。
(1)演習室と常備ソフト
法、商学部は両学部共通で50周年記念館内にパソコン100台設置のコンピュータ演習室及び別棟に30台規模の演習室を2室持つ。パソコンのOSはWindows-NT4.0で、ワープロソフト、表計算ソフト、プレゼンテーションソフトが全コンピュータに常備されている。
経営情報学部では学部棟内に5つのコンピュータ演習室を持ち、合計195台のパソコンが設備されている。これらのパソコンのOSは同じくWindows-NT4.0で、上記アプリケーションソフトと共にTurbo-C、Visual-Basicが全パソコンに常備されている。4つの演習室の内の1つの演習室にはこれらのソフトの他、更に会計ソフトが、もう1つの演習室にはCGソフトが用意され、ゼミ活動等、経営系及び情報系のより専門的な演習ができる部屋となっている。
(2)パソコン使用環境
演習室のパソコンは全てWindows-NT4.0で運用されていて、この使用にはログイン名、パスワードが必要である。本学では全ての学生を基幹サーバに登録し、それぞれに5MBの固有ファイル領域を当てている。これにより学生は固有ファイルを大学内に持ち、授業以外の使用でも自分のファイル運用ができるようになっている。
(3)授業支援機器
全演習室には教卓に教員用のパソコンが設置され、この画面を映す教材提示デイスプレイが学生用パソコンの机の上に、パソコン2台に1台の割合で設置されている。さらに教卓にはAV機器(VTR、TV)と書画提示用カメラがあり、制御装置により、教材提示デイスプレイにこれらの画像を映すことができるようになっている。これにより多様な画像を使ったコンピュータ演習が行われている。
(4)インターネット環境
本学では全ての学生がネットワークシステムに登録されているので、インターネットのブラウザ閲覧は全学生が何の制限もなく自由にできるようになっている。しかしメールやファイル転送については、操作ミスや理解不足からネットワーク全体に致命的な支障を来たす場合があるので、これを避けるため、メールアドレスは受講科目単位で、担当教員の申し出により与えるようにしている。そして担当教員はインターネットを使うに当たっての諸注意(ネチケット教育)を学生に与えることになっている。
本学の事務情報システムは1978年から運用されており、プログラム本数約3,200本に及ぶトータルシステムである。ネットワーク化により1997年10月に従来からのシステムを、サーバ機を中心としたシステムに移行した。また1996年11月から行われてきたパソコン研修を経て、1997年10月に職員一人一台のパソコン環境も整備された。同時に向こう3ヶ年計画による、第3次事務情報システムの再構築が開始された。
本学の情報教育環境は本年度新しいシステムが構築されたばかりでまだ十分とは言えず、現在整備途中である。データベース及びアプリケーションソフトの更なる充実、各学部独自の教育ニーズに臨機応変に対応できるシステムの構築、発展するマルチメディア技術の導入、より快適なインターネット利用のための、マルチホーム化等、今後さらにより良い情報教育環境作りが図られるであろう。
文責: | 山梨学院大学 |
電算機センター長 高橋 健 | |
経営情報学部教授 原 忠生 | |
電算機センター課長 白鳥 仁 |