私情協ニュース3
第16回事務システム研修会開かれる
今回で16回目を迎えた事務システム研修会は、9月16日から20日にかけて静岡県浜松にて開催された。
参加者は138大学8短期大学8賛助会員より合計398名(基幹業務システムコース269名、テーマ別コース129名)が参加した。
研修は、事例発表やグループ討議を通じて大学の基幹業務システムについて相互研修を行うコースを前半の2泊3日で、また業務を横断して共通するテーマあるいは時代の要請に沿ったテーマについて、専門家や経験者の講演、事例発表と質疑応答および意見交換などを通じて研修を行うテーマ別コースを後半の2泊3日で設定し、それぞれのグループに分かれて研修を行った。
1−1 入学業務システム(21大学25名)
私学冬の時代を踏まえ、多様化する入試制度への対応と、大学経営に寄与するための入試業務の合理化推進に向けて、どのようなシステムを構築していくべきか模索した。参加校3大学よりのミニ事例発表と、事前レポートによる問題点や情報交換希望項目について、広報・学生募集から試験実施、入学・統計資料等、入学業務手順に沿って討議した。今後の入学業務システムは、入学業務をいかに効率的に処理していくかとともに、受験広報情報と志願者情報をどのようにリンクさせ、大学として有効利用していけるかを考えなくてはならないと認識させられた。
1−2 学生の個人情報活用システム(28大学、賛助会員1社33名)
「学生情報の合理的な管理と効果的な運用を目指して」をテーマに掲げ、情報交換および討議を行った。このコースは新設のもので、今回は学生情報を広範囲にとらえ、プライバシーの保護・セキュリティの問題や学生データベースの管理運用など各大学の現状と問題点を中心に情報交換した。また、賛助会員の協力のもと、学生情報の利用法の一つとして、今話題の証明書自動発行システムの紹介を行った。実際に機械に触れながらの説明は、これから導入を検討する大学においては、発行システムの理解を深める意味で非常に役立った。証明書発行システムと連動してIDカードについての情報交換も活発に行われた。
1−3 履修・成績管理システム(49大学、賛助会員1社57名)
今日、大多数の大学がカリキュラム改革を行い、特色ある教育を目指し種々の制度が取り入れられている。このため、教務システムにおいても業務は煩雑化・複雑化し、業務量も増大してきているのが現状である。本グループでは、「履修・成績管理に係わる効率的運用システムを目指して」をテーマに2グループに分かれて実施した。グループ討議では、履修登録と時間割作成を中心に幅広い内容で、現行業務の見直しと省力化・システム化について討議を行った。
1−4 (14大学、賛助会員1社18名)
今回は「学生健康管理システム」をテーマとして、学生への集中検診から証明書発行・学生健康管理につながるシステムについて、各大学の工夫と問題解決方法等の情報交換・議論を行った。
特に統合データベースによるシステム化とデータ入力システムについて活発に議論され、入力データチェック・プライバシー保護・証明書自動発行などに各大学の関心の高さが示された。
1−5 企業・求人情報提供、就職活動支援システム(33大学、賛助会員1社35名)
学生の就職活動支援として、インターネット・学内学外ネットワークを活用している事例を紹介頂き、今後の就職支援システムの構築・運用・活動支援のあり方について議論した。特に研修後半は、少人数による課題グループディスカッションを行い、活発な討論や情報交換を行った。これまでの就職支援体制とネットワークを利用したシステムを効果的に融合し、学生へのサービスの向上を進めることが今後の共通課題であった。
1−6 学術情報システム(25大学、賛助会員1社27名)
「デジタル時代における図書館員の新たな役割」という視点で、ミニ事例発表を中心に議論を深め、次のようなまとめを行った。利用者にとって役に立つ有意義なコンテンツやOPACを各大学が特色を活かした形で公開していくこと。大学図書館が、地域単位やテーマ単位ごとに共同でインターネット情報の有効活用をはかるような仕組みを作り上げていくこと。主題や書誌に対する深い知識を持ち、なおかつサーチャー的役割を果たせるような図書館員を養成していくことなどが新たな課題として確認された。
1−7 人事業務システム (29大学賛助会員1社31名)
「イントラネット環境における人事業務の課題」をメインテーマに据え、人事情報の学内共有化や分散処理を行う上での課題を探ることにより、イントラネット環境において人事業務システムを構築する際の留意事項など、事例の研究と情報の交換をし、各大学のシステム構築に役立たせることをねらいにした。業務に関する分析討議では、大学の「人事業務」は「総務、給与」部門と緊密に連携し、運営されていることがわかった。また、システム化の事例としては学内LANを基盤にしたパソコンのグループウェアを活用したシステムが紹介された。
1−8 財務業務システム(34大学、賛助会員1社41名)
「操作性を重視した財務システムの構築」をテーマに掲げ、伝票入力の現状と問題点・電子決裁の可能性・クライアント/サーバーシステムの現状と課題等について、ミニ事例を交えながら情報交換を行った。
特に、参加大学の多くがクライアント/サーバーシステムに関心を示しており、パッケージソフトの利用も含め、コンパクトで柔軟性に富んだシステム構築(再構築)を目指していることが印象に残った。
2−1 学園の情報化計画(17大学、賛助会員2社20名)
メインテーマである「あらためて、なぜ、今情報システム化なのか?」―情報システム化で、何を変えたいのか、何を変え得るのか―について、主として次の順序で討議を進行した。情報化計画の課題(事例発表)、情報化計画の方向性、学園の情報化計画を推進する上での情報センターへの期待。討議の結果、参加者の多くが、各大学ともにシステム化のための業務に忙殺されていて、本質的な検討が十分になされないでいるが、今回取り上げたテーマは、システム化を成功させる上で重要な課題であり、真剣に検討していくべき問題との認識を持った。
2−2 基幹(統合)情報システムの構築・運用(19大学、賛助会員5社24名)
「個別業務システムから統合情報システムへ」をメインテーマに掲げ、大東文化大学の事例報告を基に、一貫したシステムデザイン思想に基づく統合情報システムの構築と運用に関する考え方や進め方について、活発な議論を行った。特に統合データベースを作るとはどういうことなのかを十分に理解してもらうことを中心におき、近道はなく王道を歩む必要性があることを強調した。また、データ活用のためのデータウェアハウスの考え方についても理解を深めた。
2−3 イントラネットとグルーブウェア入門(31大学、賛助会員2社36名)
イントラネットやグループウェアは大学においてどう展開され、浸透していくのか。グループ参加者の事例を交えながらイントラネット・グループウェアの現状、問題点、将来の動向を見据えた討議を行った。
実機を使ったグループウェアの操作体験により理解を深め、討議は、目的意識の確立、導入時の雰囲気作り、セキュリティの確保、センターの重要性などのキーワードで、活発な意見交換が行われた。
2−4 「学内LANとクライアントサーバ(CSS)思想によるシステム構築」(24大学、賛助会員1社25名)
本テーマに関わって、その考え方や具体的な諸問題についての活発な討議を通じ、業務システムの役割、目的や必要性など思想の重要性を再認識することができた。とりわけ、セキュリティの確保と業務改革の視点によるアプローチの必要性について中心的に討議された。また、3大学の事例発表を中心に各大学の取り組みの現状を紹介するなかで有益な情報交換が行われ、まだまだほとんどの大学が試行錯誤の段階であるため、私情協を通じての情報交換を求める声が強かった。
2−5 インターネットによる情報の利用と提供(20大学、賛助会員2社25名)
多くの大学がホームページを立ち上げ情報を提供する一方、インターネットを通じ様々な情報を収集し活用している。5大学のミニ事例発表を参考に、提供内容の範囲と更新、運用に関する規程・組織、職員のスキル向上、各種問い合わせへの対応等、広範囲にわたり活発な討議と情報交換が行われた。
ホームページを大学と社会との交流の場として位置づけ、インターネットを通じ利用者にタイムリーで価値ある情報を継続して提供していく体制作りが今後求められるものと思われる。
[後記]
今回の事務システム研修会は「基幹業務システム8コース」「テーマ別コース5コース」の計13コースを設定し、当協会加盟大学・短期大学の事務情報システムについて、お互いに知識や経験を分かち合い、質的向上を目指して研修を行った。
また、今年度は特に賛助会員によるデモとして、60機あまりのパソコンを持ち込んでグループウェアの体験実習や自動証明書発行システム(基幹業務システムコースのみ)のデモを行った。実機を使っての研修は参加者にとってはとても有益であり、中には時間が過ぎてもコンピュータの前に座り、インストラクターに質問を繰り返す参加者が多く見られた。今後とも色々な方法で参加者が実際にシステムを体験できる場を提供していきたいと考えている。
最後に、各グループの事例発表の方々や、書記を引き受けていただいた参加者各位、またデモを引き受けてくださった賛助会員の各社に深謝いたします。また、参加者並びに関係大学当局の方々には、私立大学情報教育協会の研修会に対するご理解とご協力に対し、感謝と敬意を表する次第であります。
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