特集
学生作成のホームページの運用・管理
ここ数年、多くの大学がホームページを開設し、学外への広報活動や学内向けのインフォメーションなどのサービスが行われ、また教育でも、授業やゼミ単位で教員によるホームページの作成・活用もめざましい。
一方で、授業やゼミ、サークル等で学生が作成するホームページについては、大学はどのようにかかわっているのであろうか。今号では、学生作成によるホームページの取り扱いについて複数の大学から例を紹介いただいた。
なお、情報センタ等部門の名称については、本文中ではセンターに統一させていただいた。
人文・社会科学系大学
■ 利用状況
本大学は、学生数 約6,000名、うちアカウント発行は5,000程度で、学生は申請をすればWebサーバを含むUNIXホストのアカウントを全員利用でき、Webページの作成は、講義での宿題である場合を除いて、任意である。学生作成のWebぺージは以下の3種に分類される。
1)学生が自主的に作成する個人ページ
希望すれば、電子メールアドレスとともに公式Webページの学生一覧でリンクされる。(件数:情報系学科は課題として450名全員。他学科397名(一部重複)。練習したままの状態で更新されていないものが多い。)
2)クラブ、サークルの情報提供
学生課に申請すれば、作成責任者を定め、追加ディスク領域に作成できる。公式Webページの課外活動の項目からリンクする。(体育会、アメリカンフットボール、スキー競技、合気道、文化会、軽音楽、ESS、法律研究など)
3)講義における課題として教員が作成を指示するもの
一般公開が不適切なものは、IPアドレスによるアクセス制限により学内からのみ見られるように設定を指示。他学科学生のぺージが少ないことから、情報系学科以外では、教員が自分の担当科目で個人的に指導していると思われる。
外国語学部
コミュニケーション関係ゼミ (10数名) : 研究室紹介、英語日本語での自己紹介
日本語とコンピュータ(18名) : 課題として個人ページ
コンピュータと言語教育(17名) : 英語での自己紹介
法学部
ゼミ:ゼミ紹介(個人ページリンクはなし)
情報系学科
情報処理入門教育 (1年次100名全員) : 自己紹介程度
情報実習Iの一部 (2年次後期100名全員) : 図を含むLaTeX文書、PSファイルを含むレポートを個人Webページで提出
情報実習IIの一部(3年次前期100名全員) : 音声を出力するプログラムのCGI実行、 プログラムで作成した静止画像を含むレポートを個人Webページで提出演習II、卒業研究 (ゼミにより異なる。3,4年次各30名程度) : 研究情報の整備、卒業研究の進捗報告など
公開講座
ホームページで情報発信などの科目(60名) : 英語とコンピュータ利用指導(未完成)
他の教員の指導によるもあると思われるが、把握できていない。教員による講義関係資料のWebページでの提供は統一的ではないが進んできている。
■利用手続きと指導
クラス単位で利用申請を行う情報リテラシー科目他の授業では担当教員より、共通資料に基づきネットワーク利用に関する基本的事項を説明する。個人的単位の利用申請に対しては、学術計算機関係事務スタッフが実施する利用講習会において、ガイドラインの説明、および簡単なクイズを実施。Webページ作成は任意であるため作成方法は説明しないが配布資料には含まれる。知的財産権に関する注意や教育研究目的の利用に限定する旨は周知させている。
■運営・管理上の問題
個人の情報発信は大学でのネットワーク利用の目的から大きく逸脱していない限り自由と考える。現在のところ大きな問題は起きていないが、学生のWebページには、以下のような内容が見られた。
- ラブホテル紹介:可否の判断が難しい
- 他から入手した肖像権を侵害するおそれがある芸能人の写真:削除依頼
- アルバイト先の店の詳細な紹介:内容は削除しリンク程度にする依頼
- 自分のアルバイト先募集広告:営利目的に近いので問題だが、就職活動の場合の自己アピールは許されるので区別が難しい。
すべてに対し個別に注意することは件数の多さから難しく、繰り返し教育によって本人の意識を高メールことが有効であろう。他からのクレーム等があれば該当委員会で個別対処する。
技術的課題として、CGIやSSI等、Webサーバで実行するプログラムの安全な利用である。技術的理解がない者による設定はシステムを危険に晒しかねないため、情報系学科以外では制限せざるを得ない。現在は、本人がプログラムの内容を理解し、問題が生じたときに必要な処置を施すことを確約すれば、該当プログラムを特定ディレクトリに置けることにしている。
医歯薬・社会科学系大学
■大学側の組織と学生への指導
学長を委員長とするホームページ(HP)委員会(総務課担当)および下部組織としてHP運用部会(センター担当)が設けられている。(HP委員会は学部長、部局長等で構成、HP運用部会は各学部、部局の実務担当者で構成している。)
HP委員会において、目的、基本方針、利用規定、基準(遵守事項)等を制定して全学的に周知し、これらに基づいてHP運用部会とセンターが実務を担当している。
■利用状況とリンク
学生のページは、ゼミ(演習)やクラブのページの中に配置され、各ページに掲載責任者(ゼミやクラブ担当教員)およびページ作成者(学生)の氏名を表示することにしている。
学内のリンクについては、掲載責任者がリンク形成依頼書をセンター宛に提出し、利用基準を遵守する条件でトップページの「ゼミ紹介」「課外活動」から形成される。現在のリンクは10件程度で、今後専用サーバを設置して拡大する予定である。
外部からのリンク形成依頼については、特別な場合を除き、通常はHP運用部会長の承認で積極的に受け入れている。
■運営・管理
情報利用、著作権問題、情報内容の管理等は掲載責任者(指導教員等)の責任で対処している。
トラブルに関しては、利用基準に照らしてHP運用部会が適切に処理しており、基準違反者についてはリンクを解除することができる。
「学内のページ」(イントラネット)は大学関係者(学生を含む)のみが閲覧、書込みできるよう設けられており、行事案内、休講案内や掲示板等が自宅等からも利用できる。掲示板には記載者の氏名が自動的に表示されるようになっている。
基本的には、明確な基準(遵守事項)を制定して周知し、利用者の良識を信頼することにより自律分散方式で適切に運用している。
技術的には、センターがプラットホームを管理し、研究室や部局用のサーバを設置し、各責任者が情報の投入や更新を行えるようになっている。
情報系単科大学
本学は1学年320人、全学年1,280人で学生が使用できるPC/WSを350台設備している。すべてのコンピュータはネットワークに接続され、Netscape,telnet, clarisworks,excel,mathematicaなどのアプリケーションソフトを搭載し、演習に使用している。
■ 学生のWebページ作成
1年の学生に情報処理演習1という必修科目でWebをページ作成させている。全学生にIDとパスワードをあてがい、home directryを10MB使用させている。これを越えて使用している学生週1度警告の電子メールを送り、学生自らファイルの整理を行うよう指導している。学生にWebページを作成させている主目的は、教材として利用しているということであろう。演習の課程で広い世界が見えてきたり、情報は受け取るだけでなく学生から発信することができるスキルと必要性が理解できるというサブメリットを得ている。
情報処理演習1は、1クラス32人で同時に6教室を使っている。1クラスに教員1名、アシスタント2名で週3時間、半年間行う。Webページ作成は2-3週間行い、他に電子メール、ワープロ、表計算、ペイントなどの演習を行っている。
■ 利用指導・手続き
Webページの作成、公開に際しては、特別な手続きや指導は行っていない。学生はWebページの公開準備が整ったら、Web管理者宛に電子メールで、本学Webページへのリンク依頼を行えば、本学Webページ学生のページにリンクが張られる。なお、学生には、Webページ作成、公開に必要なマナーをセンターガイドや情報処理演習1授業で習得するよう指導している。
■ 運営・管理上で現在抱えている問題、過去に起きた問題
運営・管理上および技術面で現在抱えている問題はないといってよいが、下記の点についてコメントする。
1)プロバイダの選択基準
現在はSINETを利用している。ただし、企業などのサイトへのアクセスが多いため、商用プロバイダ経由の接続も検討中である。
2)情報利用と著作権
学生の著作権に関する認識が不足しているのは事実であるので、現代社会では重要であることを教え、さらに著作権に触れたらその都度正しい方向に指導している。多いケースは、漫画本から自分の好きなキャラクタやシーンをコピーしてそれをスキャナで読み込み、著作者の許可を得ずに自分のページに使用しているものである。自分のページに使用する画像などは自分で作成したり、著作者の許可を得るよう指導している。写真は自分で撮影したものをリンクしている。
3)掲載情報の管理
特別には行っていない。Web管理者が不定期に学生のページを覗いている程度である。
4)トラブル対応の組織体制
特別に定めていない。Web管理者が対応している。
5)過去に起きた問題
学生が公開したWebページ、アルバイト先企業の紹介ページが外部から、SINETのAUPに触れるのではないかという指摘を受けたことがある。
学生に商業意図はなく、Web管理者も問題はないと判断したが、誤解を受けるおそれがあったため、Web管理者と学生が話合い、学生が該当ページの公開を取り止めている。
本件のような微妙な問題の判断を学生に求めることは難しく、管理上の問題となっている。
■教員作成によるWebページ
学生のWebページ作成の環境があるということは、教員の環境も同じであるので、一部の教員は自分のページに自分の講義に関連する事項を整理して公開している。その他、研究室紹介、学生にすすめる本、就職情報など、学生に必要な情報をWeb上に公開している。
人文科学系単科(女子)大学
■利用状況
学生のホームページ作成は許可条件など特に設けず、希望があれば自主的に作成公開できる体制となっている。しかし現実には、そのための知識や技術などが必要なため、ホームページ作成を希望し作業する学生の数は限られている。 ホームページを作成する学生は大きくふたつのカテゴリーに分けられる。ひとつはカリキュラム内のクラスワークの一環としてホームページ作成を求められる学生、さらにもうひとつはセンターが提供している課外活動プログラムに参加する学生である。それぞれは教育の目標およびその方法において位置づけが異なっているが、相方とも学生の参加姿勢はきわめて積極的で、数レッスンの訓練を受ければホームページを作成・自主管理できるようになっている。
1)クラスワークとしてのホームページ作成
クラスワークとしてホームページ作成が求められているケースは、現在のところ、英文学科コミュニケーション分野に属するゼミクラス(3、4回生配当)、また一部の時間がホームページ作成に当てられている「情報処理」クラスなどがそれにあたる。
例えば、ゼミはクラスには毎年約25名の学生が配属されている。異文化間コミュニケーションの学習がクラスの目標であり、インターネットを文字どおり地球規模のコミュニケーションの現場ととらえ、その窓口としてホームページの作成・運営が重視されている。当然英語教育のひとつのバリエーションでもあるため、学生のホームページはバイリンガルベースであることが原則である。
2)自主的な参加形態による学生のホームページ作成
自主的な参加形態による学生のホームページ作成は、1週間に1度の割合で開かれる学生と教員のサークルがその拠点となっている。継続的に参加する学生、それ以外に個別的な課題の相談にくる学生、そしてボランティア参加の教員、さらに学外から参加する他の大学の学生らによってメンバーが構成されている。課外活動プログラムであるため、あらゆる作業が参加者の自主的な責任においてなされることが原則であるが、基礎的な技術や知識、あるいは具体的な質問については教員が応対する。この課外プログラムはコンピュータ全般の経験を主なる目的としているため、必ずしもホームページ作成が活動の焦点となっているわけではないが、上で説明したクラスにおける作業とほぼ同じような立脚点でホームページ作成にも取り組んでいる。
■ 利用手続きと学生への指導
冒頭でも記したが、これらふたつのカテゴリーに属してホームページ作成・管理を行っている学生には特別な事前手続きなどは何も求めていない。ユーザーの自主性の尊重をセンター運営の基本方針としているが、学生のホームページ作成・管理も例外ではない。
しかし、一方ではセキュリティ確保についても考慮せざるをえない今日のネットワーク環境であるため、センターでは学生のホームページについて機会あるごとにそのセキュリティへの注意を喚起するように心掛けている。なかでも個人情報の取り扱いについては、事例紹介も含め、細心の注意を指導している。そしてひとつの大きな原則として、学生のホームページは学生本人が希望する場合以外は学内における公開にとどめている。もちろん多くの学生が公開を望むため、現実には学外へ公開されるケースも多い。
その場合も、ホームページの一部を公開したり、あるいは特定のアクセスのみに公開するなど、学生本人の管理運営方針は様々であるため、その点に関する技術指導なども行われている。
■管理・運営上の問題
本学は平成3年に文学部単独でセンターを設立、比較的早い段階から学生のホームページ作成を援助するプログラムを展開してきているが、ホームページ関連の運営管理上で深刻な問題になったケースはこれまでのところない。学内的にも、また学外的にも、自主性尊重の原則が今のところ問題なく機能していると判断している。
医歯薬系単科大学
■授業におけるホームページの作成
1)目的と内容
「情報処理」(第1学年、必修、通年)の授業でホームページを作成させており、ワープロ技術の集大成とコンピュータを使った表現能力の育成を目的としている。
第1学年の通年の授業「情報処理」で、キーボーディング、日本語ワープロ、ネットワーク利用(閲覧ソフトとメール等)、表計算ソフト、プログラミングの基礎を行っているが、ワープロ終了時に総合演習問題として、「自己紹介文」または、「医院紹介」として写真や図入りの文書を完成させ、実習室内のNTサーバにhttp形式で登録し、教室内(学内)からは名前をクリックするだけで自由に閲覧できるような仕組みを提供している。
2)問題点
学年の全学生ということで、いろいろ内容的な注意はしても個人情報との絡みがあり、本人の意向もあって、学内でも全面的に公開するまでには至っていない。現在では、公開という面では、これが限度であると思われる、学生は楽しんでいる様子であるため、自らの情報発信の契機になればと思っている。
自然科学系単科大学
■ 学生のホームページ
本学におけるインターネット・ユーザとは、本学のセンターが管理・運営するメールサーバに登録されたユーザをいう。学生のインターネット・ユーザ登録は、主に次の学生に対して行われている。
- センターが開講するインターネット講習会の受講者
- インターネットを使用する教科目の受講生で、その科目の教員が申請した学生
- 卒業研究生でその指導教員が申請した学生
また、インターネットの利用方法や利用上のモラルなどの教育は、
- の場合はセンター職員
- の場合はその教科目の担当教員
- の場合は卒業研究の指導教員
がそれぞれ担当している。
インターネット・ユーザはメールサーバ上にホームディレクトリ(URL)が与えられ、そこに学生個々のホームページを置くことが許されている。ただし、このURLへは学外から直接到達可能であるが、本学のホームページから辿ることは、この段階ではできない。本学ホームページよりリンクを張ることのできるURLは、本学教職員のURLと限定されているからである。本学教職員が自分のホームページから学生のURLへリンクを張ることについては、制限されていない。したがって、卒業研究生などのURLへは、研究室のホームページを介して、本学ホームページより到達可能な場合もある。サークルなどのホームページについては、本学インターネット・ユーザ(教職員や学生など)のホーム下に置かれている。
現在、インターネット・ユーザとして登録されている学生は約3,000名であり、そのうちホームページを開設している学生は約550名である。
■ホームページ管理上の問題点
本学では、インターネット・ユーザ登録さえすれば、教職員のみならず学生のホームページも単独で開設可能であるので、当初多くの問題が心配された。インターネット利用の普及と予想されるトラブルについて議論がなされ、現在までインターネット利用の普及を第一に管理・運営されている。本学ホームページと学生のホームページのリンクは、本学教職員のホームページを介してその教職員の管理責任のもとに行われているので、本学ホームページ下では目立ったトラブルは確認されていない。しかし、学生が単独で開設したホームページについては、十分な管理ができていないこともあって、いくつかの問題が報告されている。その多くは著作権侵害の問題である。
現在本学は、インターネット利用の普及期にあり、ホームページ開設学生も少数であるが、今後インターネット利用者の増加とともに、ほとんど全ての学生がホームページを開設することが予想されている。インターネット利用先進大学の事例を参考にして、今後の対策を検討していきたい。
人文・社会科学系大学
■内容
1)学生のホームページ作成を許可している場合、作成の目的や規模
目的: | 授業やゼミ等の学術上の利用、学外との学術的交流、クラブ活動など。 |
規模: | 学部1年生(約300人)に「コンピュータネットワーキング」という授業科目で必修させている。現在自分のホームページを自ら公開し管理しているものは、大学全体で約130人。 |
2)作成を許可するための、事前指導や手続きについて大学側の対応や組織
(ガイダンス、誓約書を書かせる等、大学の対応やその組織)
次のような規則を承諾の上で利用させている。
誓約書は書かせていない。上記の授業科目の中でネチケットの指導をしている。
■ホームページ作成の目的
学術活動(学習・教育・研究)の成果を相互に公開し交流を深めること、およびこれに関連する情報・技術等々の提供を相互に行うことで、本学の学術活動の一層の進展を図る。
本学の紹介を通じて新たな学術交流の拡がりを図る。
■利用上のルール
著作権、商標権、意匠権、肖像権、およびこれらに類する第三者の権利を侵害しないこと。
(注)コピーライトのマークがなくとも創作物が作られた時点で著作権は発生している。
- 公序良俗に反する表現物を登載したり、それらにリンクを張らないこと。
第三者を誹謗中傷したり差別するような表現物を登載したり、それらにリンクを張らないこと。
第三者のホームページをいたずらに中傷する雑言や暴言を発信しないこと。
Webサーバを始めとするコンピュータ資源にいたずらに負荷のかかる動作をしないこと。
第三者のホームページにリンクを張る際、相手の承諾が必要と考えられるときには相手の承諾を得ること。
(注)相手先への接続が過重なものとならないよう配慮するためである。
CGIおよびSSIの使用については事前に、Webmasterの承認を得ること。
学外のCGIは利用しないこと(カウンタなど)。また学内で用意したCGIやSSI以外は利用しないこと。
注)一般ユーザが作成したCGIスクリプト等は使用できないようになっている。
学術活動およびその支援、または大学紹介という目的を逸脱した目的で使用しあわないこと。
これによって生じた個別のトラブルに関し、大学としては責任を負わない。
■運営・管理上で現在抱えている問題、または過去に起きた問題
「ウェブTV」という名称と、学生が独自に考案したそのロゴマークとを使用してホームページを公開していたところ、商標権者からクレームがついた。
「ウェブTV」が商標登録されていることが周知される以前から使用していたものであり、一応、学生自身がその利用をとりさげた。
Webmasterは、学生が故意で使用したものでなく、偶然の一致であることを商標権者に説明する等のトラブル処理の仲介をした。
CGIの利用については一般的に認めていない。投稿用ホームページや、アンケート調査回答用のホームページで利用できるCGI(大学で用意したもの)だけを公開している。
SSIとしてはカウンタサービスのみ実施している。しかし、学外のカウンタを使用している学生も実際には存在する。止めるよう勧告しているが、効果はあまりない。
パスワード認証によるアクセス制御可能なホームページの作成は認めていない。しかし、それを発見し取り締まるスベがない。
人文・社会科学系大学
昨年まで、ホームページはテスト的に作成されていたために、その管理はセンタ部門が取り扱い、各部署が自主的に作成してきた。しかし、ここ1、2年学内外からホームページの利活用の要求が急速に高まってきた。そこで、ホームページを大学の重要な広報活動の一端として活用すべきであるとの認識から公開されるすべてのホームページは広報部の所管に移管された。
■内容と目的
現在本学では、学生個人のホームページへの公開を認めていない。その理由は、大学が学生に提供するコンピュータ環境は原則として教育・研究目的に限られるべきであること、および大学のサーバ上で公開された内容について、大学は何らかの意味での責任を免れることはできないとの考えから、学生が個人的な目的で公開するホームページを大学のサーバ上に作成することを認める必要はないとの判断となっている。学生の私的ホームページには民間プロバイダーを利用すべきであると考えている。
したがって、ゼミ、授業、クラブ等のいずれであっても、開設申請ができるのはすべて教員であって、学生は担当教員の指導のもとで作成することになっている。ゼミのページは26件、授業のページは5件が開設されているが、その内容はゼミまたは授業の紹介や受講に際しての前提情報を載せた一種のシラバス的なものと、ゼミまたは授業の学習成果を発表する場という内容の二種類に分かれている。
学習成果の発表の場的なものには、自己紹介から始まる学生個人のページの体裁をとるものもある。
■管理・運営
ホームページの開設は所定の様式に開設責任者の教員と実際のデータ作成者が別にいる場合はそのデータ管理者を明記して、広報部に申請する。
ホームページの作成に関しては広報部が制定したガイドラインに従って、教員の責任で行うこととしている。
本学においては、情報基礎教育の中で、情報倫理の問題を全学生に教育することとなっている。また、ホームページ上やセンターニュース、教室の等に指導内容を掲示するとか、ティーチングアシスタント等を通じてヘルプデスク等で周知を図るなどして、倫理教育の徹底に努めている。しかし、必ずしも徹底されているとは言えない。幸いにして、これまでホームページ上での大きな事故は発生していないが、電子メール等ではしばしばトラブルが生じている。こうした問題が今後ホームページ上で発生する可能性は極めて高いと言える。本学では、万一公開されている内容に問題があると何処からか指摘された場合は、広報部が内容を確認し、必要があると認めれば、担当教員に変更・訂正などの指導を要請する。しかし、緊急を要する場合は、センターの判断で広報部長の了解を得て、公開を停止することができる。もし、その内容が学則に反する行為と判断された場合は、学生部に処分の検討を要請することになっているが、幸いにして今日までそうした事例は発生していない。
最近は一般科目の授業で学生の学習成果を発表する場としての開設希望が急速に増加しており、また学生が就職活動などを理由に個人のホームページを開設したいという申し出も多くなっており、社会的な動向として、学生に認めて欲しいという要請が年々高まっている。こうした開設を認めた場合は、ホームページの数も管理者の規模も一気に拡大されることとなる。大学のサーバ上で公開された記事の内容について大学の責任は、最終的には免れないものと考えるが、現実問題として教育上および社会的要請によって、学生の作成するホームページは、日々急速に増加しており、その内容を大学で完全に指導・管理することは非常に困難な状況になっている。こうした状況の中で、学生がホームページを作成することについては、現在学内でも様々な意見があってなかなか明確な結論が出にくいというのが正直なところである。
CGI等の新しい技術を利用したホームページ作成の要求がだされるが、それらに対応したサーバの整備や新しい技術の持つセキュリティ上の問題点の検証が困難で十分に要望に応えられないでいる。
開設当初は意欲的な内容のページを作成しても、その後の更新が行われない場合が多くあり、開設の目的を損ないかねない場合がみられる。
今後は更新実績のないもの、または更新の意思のないものは閉鎖するなどの処理が必要になるのではないか。
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