特集
ネットワークの運用・管理(事例3)
中央学院大学
1.ネットワークの概要
本学のネットワークは、256Kbpsの専用線でJOIN(東京理科大学)を経由してインターネットと接続されている。キャンパス内の教育研究用ネットワークは、パソコン教室等がある6号館と教員研究室がある研究棟とを結ぶ、100MbpsのFDDIと10Mbpsのイーサネットを基本構成としている。
1996年3月までにネットワークの配線工事と機器の調整が終了し、同年4月よりネットワークの運用を開始した。6号館は建物の建築工事と同時にネットワーク工事を行ったが、研究棟は既存の建物への付加工事であった。なお、6号館ではAV(AudioVisual)系のネットワーク工事も別途行った。
これらのネットワーク工事の結果、ケーブルの総延長はFDDIが1,320m、イーサネット(10Base-T)が30,000mとなった。また、ルータ等のLAN接続装置は14台、サーバは5台、接続されているパソコン、ワークステーションは約700台となった。
本年度のアカウント登録者総数は4,819人で、内訳は学生が4,762人、教員が40人、職員・管理者が17人である。1年生時に「情報処理論」が必修科目なので、学生は入学時のガイダンスで全員がアカウントの登録を行っている。しかし、高学年になると実際の利用は少なくなるので、実利用者数は50%程度である。研究棟の教員研究室は1教員1室で100室ある。そのうち80室にパソコンが導入されており、半数の教員がアカウント登録を行っている。また、ダイアルアップ接続を実施しており、学生教職員の約100名にアカウントを発行している。
6号館にはパソコン教室が5教室、ワークステーション教室が1教室、パソコン付LL教室が4教室、スタディルーム(自習室)が1教室あり、学生が授業で利用するパソコン台数は565台である。スタディルームには40台のパソコンがあり、授業開講日は9時から18時まで学生に解放している。
2.運営・管理要員の構成と割合
本学の情報システム部門の構成員は総員16名で、教育研究活動への支援及び事務の情報化及びAV関連機器の整備を行っている。内訳は専任職員が9名(内管理職2名)、専任嘱託職員が1名、常駐委託業者(4業者)が6名である。学生アルバイトは一時的なパソコン導入等で採用したときもあるが、継続的な仕事では採用していない。
ネットワークの運用・管理を専任で行っている者はいないが、仕事量で換算すると専任職員1名、委託職員2名で合計3名程度になると思われる。この委託業務はネットワークの運用を開始した1996年4月から実施しており、前年度にネットワークとパソコン教室のシステムデザインを委託した業者と継続して外部委託契約を結んでいる。
また、ネットワークの運用・管理に関する意思決定や連絡調整は、教授会から選出される4名の委員と事務部門の役職者3名の委員で構成される情報システム運営委員会で行われている。
3.外部委託の業務内容と役割分担
委託業者とは、次の内容で契約を結んでいる。
- ネットワーク利用者の登録/継続/削除
- 各種サーバのハードデイスクのバックアップ及び容量管理
- ネットワークの監視
- 不法アクセスの管理
- パソコン/ワークステーションのネットワークへの接続と移設
- 各種ソフトウェアのインストール
- トラブルの問い合わせ窓口とその対処
- ネットワーク資源管理の支援
この業務内容を委託職員と専任職員が相互に協力し合って行っているので、明確な役割分担はしていない。複数のサーバの管理を分担して行っている程度である。
なお、委託職員は常駐で、勤務は月曜日から金曜日の9時から17時までで、専任職員と同程度の勤務条件となっている。
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図 学内ネットワーク構成図 |
4.外部委託の今後の課題
委託業務への指示は専任職員が行うようにしている。しかし、教員等から直接委託職員へ業務依頼が行われている場合があったり、専任職員が断った個人的なサポートを委託職員に依頼するのが現実である。このような場合、基本的に委託職員は断るように指示している。
様々な問題や課題はあるが、委託業務は全体的には良好だと判断している。ネットワークを運用・管理するには高い技術力と早い判断力が必要で、専任職員が簡単に技術力と判断力を習得することはできない。そこに委託職員を採用する必然性があると考えている。
しかしながら、高額の外部委託料が必要なことや委託職員と専任職員との信頼関係や調和と言う課題もある。一方、専任職員が技術力や判断力を習得しても、人事異動や人事考課や昇格等の問題もある。
5.ネットワーク運営・管理上の問題点と課題
今年の夏休みの全休期間中(1週間)にネットワーク障害が発生し、WWWや電子メールに不都合が生じる事故があった。原因そのものは「あるボタン」を押すことで解決できたが、障害は全休期間中は解決されないでそのままであった。
また、ネットワークケーブルの側に高圧の電力ケーブルが誤って配線されて、研究棟の特定の階だけネットワークが利用できなかったこともあった。
今後は、ネットワークへの様々な要望に答えるために、次のことに取り組むことを考えている。
- インターネット接続の高速化と二重化
- ダイアルアップ接続の見直し
- 地域ネットワークへの参加
- ネットワーク運用管理技術の習得
- 学生のノート型パソコンが接続できる情報コンセントの設置
- 学校法人傘下の学校間ネットワークの構築
本学のネットワークの運営と管理は以上の通りである。文科系の中規模大学としては、ネットワーク設備の基盤整備は充実しており、その成果として利用者も年々確実に増えて、利用方法も多様化している。さらなる発展を期すためには、共同利用するネットワークを利用者個人の視点で運用管理することが大切だと考えている。
文責: | 中央学院大学 |
| 情報システム部運用課長 佐藤 弘憲 |
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