私情協ニュース5
21世紀における高等教育と情報との係わり合い、およびその中での私情協の役割等について述べられた。最近出された大学審議会の中間報告が指摘する問題点、すなわち学生に付けさせるべき能力、学生に対する成績評価、教育方法の改革、教育活動に対する教員の評価等を取り上げ、これらに対する考え方を示した。それに基き、今後の大学改革の方向性として、情報化の果たす重要性を指摘した。特に情報機器を活用することにより、個別学習や双方向授業の実現、大学間や大学と企業間との連携や共同の授業の推進、教材の電子化に対する支援体制の確立、マルチメディアを意識した教育環境の整備等が熱く語られた。
高度情報化推進のための私学助成の現状と方向性について、平成年度の概算要求の内の情報化関連の経費を中心に紹介された。すなわち、1) 装置・設備・工事関係、2) ソフトウェア・データベース関係、3) ネットワーク関係、4) 教育研究プロジェクト関係、の四つの分野に分類して、それぞれの具体的な補助内容について、実際の要求額や手続きの方法等とともに示され、特に、教室のマルチメディア化やノートパソコン貸し出しの補助について詳しく説明があった。
まず、大六野教授から「学生一人一台パソコン導入の効果と課題−明治大学PCP実験授業の経験から」と題して、文系のゼミを中心に展開されているパソコンとインターネットを用いた実験授業の具体的な報告が、次に、井坂教授から「東海大学の現状報告」と題して、学部の1年生全員に1年間ノートパソコンをレンタルで貸し出して教育した経験が、最後に、若山教授からは4年間学部の学生全員にパソコンを貸与し、1、2年でリテラシー教育を必須にしている旨の報告があった。その後、全員壇上に上がり、討議が開始された。フロアからは、意義、費用、パソコンの重さ、トラブル処理、大量メール処理、受け口回線数等の実際的な多数の質問があったが、知性を高めるためにどのくらい有効かという本質的な質問には、明確に回答は見い出せず、効果をあげられるような学習環境づくりをしていくことが大学にとっての課題であることを確認した。
拓殖短期大学学長 後藤 玉夫氏
学習院大学計算センター講師 窪田 誠氏
中部大学国際関係学部助教授 尾関 修治氏
専修大学法学部教授 梅本 吉彦氏
関西大学総合情報学部教授 黒葛 裕之氏
私情協の情報倫理教育振興研究委員会が纏めた「ネットワークの運用体制に関するガイドライン」の紹介が委員長の後藤氏からなされ、その後「インターネット利用に対する大学の対応」と題して実際にあった多くの問題事例が学窪田氏から報告された。その後、尾関氏、梅本氏、黒葛氏も加えて壇上に上がり、後藤氏の司会でパネラー同士の討議とフロアからの質問とその回答等がなされた。良く纏まっているガイドラインであるという意見や、余り怖がらせるよりもまず積極的にやってみるという姿勢が大事であろうという意見等が出された。
文責: | 明治大学 向殿政男 |
A−1 | プログラミング不要のVOD・CD-ROM英語教材作成 |
CALLシステムの授業支援ソフト(Study Wave)に付随する教材作成オーサリングソフト「教材ビルダー」を用いればVOD 教材やCD-ROM英語教材をプログラミング不要で極めて容易に作成できることが紹介された。
A−2 | ネットワーク環境と語学教育−中国語学習ホームページの作成を中心として− |
ホームページ(http://www.cuc.ac.jp/〜zhao)を開設し、1)教員と生徒の双方向交流、2)授業外の予習・復習の便宜提供、3)初級履修者の苦手な発音練習の場の提供、4)語学教育の背景となる相手国(中国)の紹介、等が試みられた。
A−3 | CALL運営における支援システムの役割:その2−導入メーカとの産学協力− |
高い教育効果を目指したCALLシステムの構築と運用そして改善のためには、メーカと学校・教師との教育的観点からの緊密な産学協力体制が不可欠であること。さらには研究支援という観点からの産学共同が重要であること、等の友好的な具体例が報告された。
A−4 | 語学教育におけるインターネット対応型マルチメディア教材の導入 |
フェース・ツゥ・フェース型の語学授業を主とし、従として学習したいときに学習できるホームページ型の自主学習教材システムが作成され、さらに生徒と教師との双方向交流のため掲示板機能が活用され迅速なレスポンスにより学習意欲の向上に寄与したとの報告がなされた。
A−5 | 語学自習システム「マルチぺディア」の実験運用に関する事例報告 |
本システムでは市販と独自開発の24の教材やソフトが収納され学習者が気軽に多数の教材を利用できるよう工夫されている。アクセス数では「タイピング」「ブラウザ」「英会話」「TOEFL関連」、また利用時間では「TOEIC 教材」「百科事典、辞書系」等が、よく利用されたと報告された。
A−6 | 集団作業下におけるシステム思考の教育展開について |
ダイエット行動をテーマとして、7名程度のプロジェクトチームを構成して、集団討議を行わせ、SDダイアグラムを構築し、シミュレーションを実行させている。結果として、組織における戦術分析の重要性が実感できている。
A−7 | マルチメディアリテラシー養成のための環境探索型授業方法の開発 |
少人数からなるプロジェクトチームを構成し、ビデオカメラ、デジタルカメラ等を用いたフィールドワークを行い、演習室に戻って編集・表現しているという環境探索型の学習形態をとっているところに特徴がある。
A−8 | 販売データにおけるデータマイニングの実施を通した産学協同による情報教育の実施 |
「販売データからのデータマイニング」教育を、企業の教育のもとで、実施している。学生は、企業の現場に赴いて、現場とのディスカッションを通じて問題点を抽出していく。研究結果を、関連企業の前で発表している。
A−9 | サイバースペースサーバを使ったECシュミレーション教育について |
学生に店舗設計をさせた上で、3Dサイバースペース上に小規模店舗を経営運用させている。これを実現させるために、サイバースペースの構築、仮想通販システム、仮想マネーシステム等の統合システム環境を提供している。
A−10 | 女子大学における一般情報処理教育 |
情報処理教育の今後の方向をさぐるために、文学部の在学生が中学、高校で受けた情報処理教育を調査するとともに、企業が文学部の情報処理教育に何を要望しているかを調査している。
A−11 | 社会科学系学科における化学基礎演習問題の教育法−表計算ソフトの利用 |
社会科学系の学生に化学教育を行うにあたって、表計算ソフトを活用することがいかに有効であるかを検証している。Excelで計算させる前に電卓等を用いて手計算で解かせることが、問題の本質を理解させることにおいて重要であるということも指摘されている。
A−12 | マルチメディア表現におけるプログラミング技法−教育目的と言語仕様− |
LOGOを用いた造型処理教育を行っているが、学生が並列処理を必要する作品を企画することが多いので、擬似的なタイムスライス型にマルチタスク処理を可能とする方法を提供している。
A−13 | 講義・演習におけるインターネット利用の試み |
土木工学科の学生の卒業研究発表における「WWW閲覧用ソフト」の導入、放送大学の面接授業におけるマルティメディアを利用した教育、大学院におけるLANを利用したFortran教育の結果について報告している。
A−14 | 幼稚園児を対象とした情報リテラシー教育支援の考察 |
幼稚園児を対象とした場合には、園の先生が主体となることが重要であることが強調されている。お絵かき、ぬり絵、電子紙芝居から、園児撮影のデジタルカメラ映像をアルバムのようにみせることで、幼稚園児に自然に情報リテラシー教育を行う方法論を提供している。
A−15 | 司書コースでの情報教育の事例について |
全学部共通科目として開設された司書養成のための科目のうち「情報検索演習」の授業の実施例。日本語入力、インターネット利用などの情報リテラシー関連から、情報検索に関する内容までの内容の紹介、報告がされた。
A−16 | 司書講習における情報検索演習の実例 |
高専、大学卒業者あるいは司書補の経験者が司書の資格を取るための、学歴、経験、受講ニーズなどが多様な、講習のなかの「情報検索演習」の事例スケジュール、授業の内容の紹介に加えて、サーバへの負担、事前アンケートによる経験者のクラス分け、ティーチングアシスタントの利用などについての分析や反省などが報告された。
A−17 | 司書コースの授業「専門資料論」におけるインターネットの利用 |
平成9年度後期に実施された司書コースの科目「専門資料論」のうち前半7回が理工系分野にあてられ、そのうちの2回の実習の(1)理工系雑誌の書誌情報の収集、(2)インターネットの運用技術の習得を目的とした部分についての実施例の紹介。
A−18 | 中高新教育課程に対応した学部情報教育 |
初等・中新教育で「情報リテラシー」教育が実施されるような時代を迎つつあるなかで、大学における情報教育の在り方と1997年度以降実施されている同大学経済学部の情報教育カリキュラムがモデルケースとして紹介された。
文責: | 関西大学 東村高良、東京理科大学 平林隆一 |
文教大学 真鍋龍太郎、東海大学 高橋隆男 |
B−1 | 新入生全員を対象とした情報リテラシー入門教育の一斉実施 |
入学直後のオリエンテーション期間中に、新入生全員を対象とした、98年度より計算センターが実施している情報リテラシー入門教育に対する、受講者の反応を、アンケート調査結果に基づいて報告が行われた。
B−2 | パソコン組み立てによる情報リテラシー教育について |
パソコンのハードやネットワーク技術を習得した人材が求められていることから、情報教育としてパソコン組み立ておよびLAN構築実習を行い、実習前後のコンピュータの取り扱い技術や用語テストの比較から、その有用性について言及した。
B−3 | 100万人のための情報倫理教育実践 |
本報告は、早大で行われた近年の情報リテラシー教育の変遷について述べ、さらにいままでに発生したコンピュータあるいはネットワークの不正ないしは不適切な利用例について紹介し、これらに対応した情報倫理教育への取り組みについて述べられた。
B−4 | 全学習者の練習履歴参照機能を持つタッチタイプ練習環境 |
報告者らは、情報処理演習においてキーボード操作能力の向上が情報処理技術の習得に重要であるとの認識から、タッチタイプ練習ソフトウェアを開発した。本報告では、そのタッチタイプ練習環境や導入成果について述べたものである。
B−5 | マルティメディア・インタラクティブ教材による初心者PC教育の効率化 |
OSの基本操作などの初心者教育に際して、教育担当者の負担を少なくし、学習者の習得達成水準を上げるために自主開発したマルティメディア・インタラクティブ教材について紹介した。また、その学習効果についても言及された。
B−6 | 中高年向けインターネット講習会を利用したリテラシー教育 |
筆者らは、学生を教える立場に立たせることにより、教育効果を高める試みに取り組んでいる。その一環として、中高年向けのインターネット講習会において受講者1名に対して、学生1名を配置し受講者をアシストする方法で、教育効果を上げた実例が報告された。
B−7 | 電子メール利用の効果的教授法 |
毎回出席を電子メールでとり、学生はメールが実際に送られたかどうかを教員用PC画面のモニター装置で確認し、送られていない場合はその原因をつきとめ再送する、という方法で、一対一の教授法に近い効果を上げた例が報告された。
B−8 | 女子短期大学におけるホームページの効果とUNIX許可情報操作取得について |
HTMLによるホームページを短大1年前期に教えた結果、コンピュータに興味を持つ学生が増え、教育効果が上がったとの報告があった。さらに、UNIXのファイルアクセス許可情報までを教えたとの報告に対して、会場からUNIXまでなぜ教えるのか、との質問があった。
B−9 | メーリングリストとニュースグループを活用したリテラシー教育 |
リテラシー教育の授業の中で、1クラス50人全員を対象としてメーリングリストを開設した事例と、学内ローカルなニュースグループを開設した事例が述べられた。若干の差異はあるが、両者とも授業の運用に対して有効な手段である旨の報告があった。
B−10 | プレゼンテーション教育とWWWを用いたCAI |
1年生を対象に、通年科目としてパワーポイントを用いたプレゼンテーション作成とHTMLによるホームページ作成を課した。環境問題をテーマにして発表させ、相互に評価させた。続いてHTMLによる教材作成を進めている。
B−11 | パスワード変更の指導法とその効果 |
セキュリティ教育の一環として、パスワード変更の重要性をどの程度認識したかを電子メール利用の際の教育法と関連づけて調べた。電子メール利用の手順として実際にやらせるようにしないと徹底しないことがわかった。
B−12 | 学生のコンピュータに関するセキュリティ意識構造の分析 |
情報倫理、リテラシー教育やセキュリティ教育に対応するため、アンケート形式で学生のセキュリティ意識を調査・分析した。因子分析の結果、ネットワーク経験の程度によるセキュリティ意識構造の差異が認められた。
B−13 | 情報処理教育の評価とその持続的効果の査定 |
1年生での情報リテラシ教育の効果が学年とともにどのように変化するかを調査した。電子メール、文書作成などの持続的利用が認められ、感覚的な面では年次とともに期待感と疎遠感が減少することがわかった。
B−14 | 授業への電子メール導入が学生の満足度と動機づけに及ぼす効果 |
電子メール教育をコマンド環境とGUI環境の2群に分けて行い、その効果をアンケート形式で調査した。メールやコンピュータ利用について、電子メール教育を行った方が、またGUI環境で行った方がより高い動機付けになることがわかった。
文責: | 中京女子大学 朝山正巳、成蹊大学 飯田善久 |
湘南工科大学 後藤宣之 |
C−1 | FDDIからスイッチド・ネットワークとVLANへの移行について |
FDDIとイーサネットによるループ型のネットワーク(HITNET)[1]をスター型のスイッチド・ネットワークに更新した。レイヤ3スイッチの導入によるVirtual LANへの移行が報告された。
C−2 | 無線LANによる学内ネットワーク環境の構築実験 |
マルチメディア・モデルキャンパス事業/移動体情報通信ネットワーク活用プログラムに応募して、無線LAN環境とマルチメディアを組み合わせたハードウェア、ソフトウェア環境を用意し、その教育効果を実験した。
C−3 | ユーザコンピューティング指向の情報教育システム |
従来のEUDの考え方を、よりネットワークへの依存性を高めたものと捉え、ネットワークトポロジとしてはLANスイッチ(Foresystem社製PowerHub)を中核としたスター型を採用した教育システムの改善強化の歩みが報告された。
C−4 | ネットワークを利用した教育支援システムの運用 |
同学メディアネットワークセンターは教育支援システムとサポート体制の強化に取り組んできた。その一部の成果として、メーリングリスト、教員用WWWサーバ、ゼミ用WWWサーバの3つのシステム紹介とサポート体制、および問題点が論じられた。
C−5 | 早稲田大学のネットワーク環境 |
5万人の学生、教職員をかかえる同大学のネットワーク環境整備の現状と今後の計画が総括された。ネットワーク利用の質(利用者のマナーやモラル)の向上とより快適な環境構築とをめざして増強が計画されている。
C−6 | サーバーサイドアプリケーションを活用した専門教育支援環境の構築 |
サーバサイドアプリケーション環境を構築して、統計解析プログラム、医師国家試験対策CAI等に適用した結果が述べられた。
C−7 | キャンパスコンピュートピアに向けて−イントラネット環境下における教育支援− |
ノートパソコン普及に伴い、時間・キャンパス・専門職による教材作成の制約からの脱却を目指す学内ネットワークについて報告された。
C−8 | 共有メモリを用いた負荷分散システムによる授業支援 |
多数のクライアントから複数のサーバにアクセスする場合の負荷分散に関し、メモリの共有方式を応用した事例が報告された。
C−9 | マルチプラットフォーム対応型情報教育システムIII |
学生の情報リテラシレベルと過去の使用環境の相違を吸収するために、複数の環境から選択可能なシステムを開発した。
C−10 | 学内ネットワークのインターネットへの接続 |
学内ネットワークの便利さや使い易さとネットワーク・システムの安全さとは、互いに相反する。それまで安全性を重視してすべての用途のサーバ類をファイアウオールの中に入れていたが、インターネットのサーバ類を外に出して、学外から自分の電子メールを読めるようにした。この際新たなサービスポートを内部に設けて学内のネットと学外のネットが接続できるサービスとできないサービスを区別する工夫を示された。
文責: | 園田学園女子大学 棚町知彌、 |
専修大学 魚田勝臣、文教大学 真鍋龍太郎 |
D−1 | 教室管理システムの導入―インターネットによる休講情報の発信― |
パッケージソフト「クイックスタッフ」を独自にカスタマイズした教室管理システムについて紹介がなされた。現在、本システムを用いて、インターネット上に教室の使用状況および休講情報を公開しているとのことであった。
D−2 | ネットワークを利用した実験・演習講義支援システム |
WWWによるリアルタイムの双方向性を有効に活用した実験・演習講義支援システム(WELSS)について、システム構成ならびにこれまでの運用実績について報告がなされた。また、学生の本システムによる講義の感想についてもアンケート結果が紹介された。
D−3 | IIS+ASPを用いたキャンパスイントラネット情報システムの構築 |
卒業研究として取り組んできたキャンパスイントラネットのシステム事例として、WWWを基本とする就職情報検索システムならびに図書館図書検索システムについて紹介がなされた。特にシステム構築上、ASPの導入が開発環境改善に大きく寄与したことの報告があった。
D−4 | 情報収集支援ソフトウェアの開発 |
ネットワークを介したWWWシステムを基本とするアンケート調査等の情報収集支援システムについて報告がなされた。本システムは、各機能別にサーバを設置している他、移植性向上のため、ソフトウェアの記述にJAVA言語を使用するなど特徴を有している。
D−5 | World Wide Webを用いた教室予約システムの試作 |
UNIXベースでのWWWを用いた教室予約システムについて報告がなされた。本システムは、現段階ではセンター内2教室の予約システムであり、まだ実際の運用には至っていないとのことであったが、今後の改善課題等について報告があった。
D−6 | 玉川学園・玉川大学総合ホームページの構築と運営 |
1996年度から公式運用を開始した玉川学園ホームページ5年計画の中間報告で、「情報発信の場」から「教育の場」としてのホームページの構築と運営について、今までの経緯と今後の課題が報告された。
D−7 | ノートパソコンのためのLinuxシステム |
金沢工業大学人間情報工学科では教育用OSとしてLinuxを採用している。学生携帯用ノートパソコンに学生が一人で簡単にLinuxシステムをインストールできるDemu Linuxを開発したので、その概要と授業での使用状況が報告された。
D−8 | 学生にノートパソコンを持たせるときのサポート体制に関する考察 |
経営情報学科で全学生に購入させたノートパソコンに関して情報処理センターで対応した障害対応記録を分析し、障害を避けるための指導上の留意点やサポートする側の注意点等について検討結果が報告された。
D−9 | 政策系学部における情報ボランティアの育成 |
コンピュータ活用が必須となっている政策系学部で情報リテラシー教育に大きく貢献している学生ボランティア活動制度の"Computer Student Instructor"(CSI)制度について、約2年半の経験と今後の問題点等が報告された。
D−10 | 情報社会学部におけるTA制度のあゆみ−制度立ち上げから学生による自主運営まで− |
「授業補助」、「一般相談」、「生涯学習講座支援」の3種に分かれたTA制度について、発足から、社会人や他大学院生のTA採用、学生TAの育成、教員とTAとの役割分担の問題点等やTA制度の改革と今後の方向性等が紹介された。
文責: | 長崎総合科学大学 横山正人 |
東海大学 高橋隆男 |
NTTサテライトコミュニケーションズ(株) 若林 康一氏
NTTからは平成10年12月から開始される衛星インターネット接続サービス(Mega Wave)について、サービス内容をご紹介いただいた。
本サービスはJCSAT-4を利用し、下り回線に衛星通信を利用する方式で、上り回線には地上回線を利用し双方向通信を実現するものである。
当面、利用料金は定額料金制であるが、平成11年7月以降については従量料金に移行する予定とのことである。また、クライアント側の受信設備は、パソコンおよびびSkyPerfec TVの受信設備と受信ボードのみで構築することができ、ユーザにとっては容易に利用が可能なようである。学生にとっても比較的廉価なインターネット接続が可能であり、教育面においても利用が期待される。
松下通信工業(株) 尾形 芳邦氏
松下通信工業からは衛星インターネットシステムであるメディアストームと、デジタル衛星放送システムのスクランブルシステムであるMデジタルを組み合わせた衛星システムについて、システム内容ならびに遠隔教育への応用等をご紹介いただいた。この衛星インターネットシステムは、地球局として、送信設備およびMデジタルシステム、AVシステム、衛星インターネットサブシステムから構成され、かなりの設備を必要とするが、遠隔教育などにおけるマルチメディアデータの配信などに大いに期待できるシステムといえよう。
文責: | 長崎総合科学大学 横山正人 |
フェリス女学院大学国際交流学部助教授 春木 良且氏
少人数教育、情報系専門学部を持たない文科系女子大学であるフェリス女学院大学から、「可能な限り、高度な技術に基づいた高度なサービスを提供すること」を基本方針としたシステム構成のもと、「利用者のリテラシー向上のために行う管理(緩やかな管理)」を運営方針としたシステム管理について、さらに商用プロバイダ利用の現況について興味ある報告がなされた。
産能大学情報化推進室 小野寺 明氏
法人本部のWWWと大学部門の教育・研究ネットとのマルチホーム化への経緯を中心に事例紹介が行われた。ネットワークの論理的な構成と、計算機の論理的な集合(ドメインネーム)を将来にわたって変更しない「情報インフラ」と考えるという一貫性を重視した基本方針について、特に力点をおいた紹介がなされた。例えば、サブドメイン分割の基準を「将来にわたって変更が少ない、組織上の最大の単位とする4ドメイン(法人本部、大学、短大、大学院)」にし、サーバの実体は商用プロバイダの管轄するサーバ上にあっても構わないという考え方の紹介がなされた。
武蔵大学情報処理教育センター主幹 小野 成志氏
文系中小規模である同大学から、商用プロバイダへの移行の経緯とその結果もたらされたインパクトについての紹介がなされた。ネットワーク管理のゴールに「ユーザの満足度の維持」を置き、大学の経営戦略へのインターネット活用を標榜した、ネットワーク時代の諸課題(経費、アウトソーシング化とIPアドレス問題、戦略性等)について報告がなされた。
青山学院大学事務システム室長 濱中正邦氏
2000年問題の概要とその本質について、さらに青山学院大学における対応事例について、メーカー対応、費用問題(1999年度予算化、予備費対応)、スケジュール、システム・テスト対応、さらに危機管理、システム見直し問題に至る広範な取り組み姿勢について報告があり、改めて事の重大さを認識させられた。
文責: | 立正大学 山崎和海 |
「電子メディア化の現状と方向性」
獨協大学経済学部教授 立田ルミ氏
教材の電子メディア化、特にインターネット上の教材について、1992年および1994〜95年と2回にわたり、計1年9ヶ月滞在されたアメリカ・イリノイ大学の事例を中心に、教材の例、教材を電子メディア化するためのソフトの紹介、そのような教材を作成するための大学内のサポートの体制について述べられた。
「教材の作成支援技術動向」
「Internet Navigware 紹介」
(株)富士通静岡エンジニアリング 中西 一夫氏
一斉学習ではなく個人学習向きの学習者がWWWブラウザから利用できる、教材の開発、成績管理、コースウェアの提供などを含んだシステムの紹介がされた。VOD、衛星通信の利などの遠隔教育、マルチメディアの利用などを含んでいる。
「遠隔教育システムVIEW Classroomにおける教材」
広島電機大学工学部助教授 香川 修見氏
京都大学情報学研究科の上林弥彦教授と同氏が開発している遠隔教育システムVIEW Classroomを例に、ハイパーメディア教材とその活用について紹介いただいた。同システムは、コンピュータネットワークを介して地理的および時間的に分散した教師と学生の教育・学習を効果的かつ円滑に支援する仮想教室システムで、仮想対話型協調作業環境としてとらえている。ネットワーク技術とデータベース技術をコミュニケーションの基盤とし、ビデオ技術と統合して遠隔教育を支援する仕組みとなっている。教材は電子化によって、単なる伝達の側面を越え、質問や討議を引き出す起爆剤にもなりうることを述べられた。
「Web教材と相互利用に伴う問題(著作権問題等を含む)」
「インタラクティブ送信等著作権法の改正について」
文化庁長官官房著作権課マルチメディア著作権室マルチメディア企画係長 越田 崇夫氏
インターネットやLANを用いた著作物の双方向のやりとりにおける保護を中心に、平成9年6月に一部改正された著作権法について同氏より解説いただいた。改正点は、著作物をアップロードする行為については、いかなる場合でも権利が及ぶようになったこと、プログラムの著作物に関しては、サーバに置いたプログラムを端末にダウンロードして使用させる行為について権利が及ぶようになったことの2つに大別されるとのことであった。
「オンライン教材作成における問題」
武蔵野女子大学現在社会学部長 潮木 守一氏
同氏より、教育におけるオンライン教材の重要性、オンライン教材の一部分として新聞記事(報道写真をも含む)を利用する場合の権利処理問題、教育機関に対する外部機関(新聞社、放送機関、行政機関、出版社、企業等)の措置緩和とシステムづくりの必要性について、実際の教材を提示しながら具体的に述べられた。
「教材用資料の外部機関からの利用について」
社団法人私立大学情報教育協会 井端 正臣事務局長
電子教材が著作権法上、プログラムの著作物に該当するかどうかによって、教員が作成した教材の利用や、外部機関からの情報の利用に対する権利処理に影響することを指摘し、また、教育機関への措置緩和や権利処理のシステムづくりの必要性について意見を述べられた。
著作物の教育利用については、著作者の権利を制限するとあるが、現在は複製権だけが取り上げられているので、そこに、公衆送信権も含めてほしい。
A:現在は、教育利用における著作権の制限については公衆送信権は含まれておらず、これから検討していくべき課題となっている。
教員が開発した教材をWWWに掲載した場合、教員へ何も見返りがないのではないかとの危惧から、教材をWWWに掲載しない教員もいる。現在の状況のままでは、教材の電子化が進まなくなってしまうのではないか。
A:教材を作成する教員側の考え方や、教員に対する大学側の評価や権利システムを検討していく必要性がある。
著作権処理に関するデータベースを早急に作ってほしい。また、著作権処理代行機関を国としてどのように考えているのか。
A:著作権についての情報をインターネットで得られるよう著作権者データベースを現在文化庁で検討している。権利処理については、今後ネット上で行えるようなシステムを民間レベルで作られる可能性があると思われる。
文責: | 文教大学 真鍋龍太郎 |