文部省ニュース
政府は、平成10年12月25日の閣議において平成11年度政府予算案を決定した。
それによると私立大学等経常費補助金は、10年度に比べ56億円増の3,006億5,000万円、私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助は、同額の188億2,000万円、私立大学研究設備整備費補助金は、7億円増の44億3,000万円となった。
概算要求の段階で財政構造改革法が凍結され、前年度同額というキャップがはずされたことにより、急遽増額という方針で概算要求が行われた。これに対して12月21日の大蔵省原案では、経常費補助金、研究設備補助とも増額はなく、前年度同額が内示された。なお、新規要求の私立大学等教育・学習方法高度情報化推進事業(11億7千万円)及び学内LAN(15億円)、私立大学ジョイント・サテライト事業(4億7,500万円)、ハイテクリサーチ、学術フロンティアの装置施設補助は、概算要求が前年度同額であったこともあり、概算要求通りの内容で先に決定した。
これを受けて、私立大学の団体は、残る経常費補助金と研究設備補助金の満額復活を図るべく、東京市ケ谷の私学会館に予算対策本部を設置して、私立大学団体連合会、私立短期大学協会と当協会が加わり、21日から24日にかけて経常費補助金の増額70億円、研究設備補助の10億円の満額獲得を目指して、精力的に与党及び関係の国会議員、文部省、大蔵省に陳情を展開した。その結果、24日の有馬文部大臣と宮沢大蔵大臣との大臣折衝において、経常費補助金56億円が復活した。内訳としては、特別補助の増額の内、高度化推進特別経費が22億9,200万円増の315億100万円、情報化推進特別経費が2億5,100万円増の141億2,700万円、大学改革推進特別経費が30億7,100万円増の134億2,600万円、国際交流特別経費が同額の106億600万円、生涯学習推進特別経費が1,400万円減額の31億4,900万円となった。特に、情報関係では、情報化推進特別経費での増額を控え目にし、大学改革推進特別経費の中で、新規要求として教育学習方法等改善支援経費として15億3,600万円、ノートパソコン貸与事業を含む特色ある教育研究の推進事業として10年度の実績に加え、8億6,800万円増の合わせて24億円程度の増額を見込むことができた。なお、「情報化推進特別経費」は、コンピュータの借入費、教育学術用ネットワーク、データベースの維持費、教育研究用ソフトウエアの購入・借入費、教育学術データベース等の開発費合わせて、総額141億2,700万円と10年度に比べ、2億5,100万円(対前年度1.8%増)が増額された。
買い取り補助の研究設備整備費補助金については、情報処理関係設備が10年度の10億円から5億8,800万円に減額されたが、新規要求の教育・学習方法高度情報化推進設備として、概算要求通り6億6,000万円満額が認められたことから、結果としてはトータルで12億4,800万円となり、2億4,800万円の増額となった。
平成11年度の目玉は、教室のマルチメディア化を通して、外部から体験情報現場情報を教室にリアルタイムで提示し、理論と実践をマッチングする授業が実現できるとともに、教室外での準備学習・復習、さらには教員とのコミュニケーション、いわゆるバー−チャルオフィスアワ−が実現できる点で画期的である。それを実現するため、以下の通り三つの補助で対応できるようにしている。一つは、1,000万円以上のマルチメディア装置の購入、施設改造工事(冷房化工事含む)は、装置施設整備費補助金の「教育・学習方法高度情報化推進事業」で補助。二つは、1,000万円以上4,000万円未満の工事を伴わない情報処理設備の購入は、私立大学研究設備補助金の「教育・学習方法高度情報化推進設備」で補助。三つは、マルチメディア機器用いて行う教育研究に必要な運営経費は、特別補助「大学改革推進特別経費」にて補助されることを特色としており、三つ合わせて総額33億6,600万円の補助が用意されている。(補助額の一覧は、次ページの表を参照。)