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WWWの仕組を利用した履修登録システム
中央大学総合政策学部の例
平 野 廣 和(中央大学総合政策学部教授)
表1 稼働環境サーバ サーバ Windows NT Server 4.0 Internet Information Server 4.0 クライアント SQL Server 6.5 または Access97クライアント クライアント Internet Explore 3.01以上または Netscape Navigator 4.0以上
(1)マスターデータの準備
事務ホストおいて、以下の5種類のマスターデータの準備を行う。このデータはSYLK(Symbolic Link)形式で作成する。
図1 運用フロー
(2)マスターデータの一括入力
事務ホストにおいて作成したマスターデータを、FDまたはMOディスクを介してWWWサーバへ一括入力する。この入力方式もメニュー方式で簡単に入力することができる。
(3)学生利用時間の設定
学生がWWW履修登録を実行できる期間を設定する。ここで利用期間を設定するのは、学生がWWW履修登録システムにログインするときに、この日付とWWW管理者サーバシステムの日付とを比較して、学生利用期間内範囲内であれば、履修登録を行うことができるようになっている。
(4)マスターデータの編集
データベースの一括登録後にデータの変更が生じた場合を想定して、WWW履修登録サーバ内のデータを編集する機能を有している。
(5)未登録者の表示
本システムには、学籍状態が「通常」にもかかわらず、まだ履修登録を行っていない学生をリストアップする機能を有している。この機能により、未登録者をリストアップして、未登録者に登録を促することができる。
(1)ログイン
WWWブラウザから履修システムを起動すると、図2に示す利用者ログインの画面が表示される。ここに事前に付与した11桁の学籍番号とパスワードを入力する。
図2 利用者ログイン画面
(2)履修選択
WWW履修登録システムにログインすると、図3に示すように、事前登録データが取り込まれた各学生ごとの時間割表画面が表示される。この時間割表の「前期」または「後期」のボタンをクリックすることにより、履修選択を行う。ここで、ボタンがなく、かつ科目名が表示されている所が事前登録データ、それ以外は履修選択ができない所である。また、時間割表のマス目が上下に分かれているのはセメスター授業を表している。「未選択」は、科目を履修していない所を表している。
例えば、土曜日の3時限目の「前期」ボタンをクリックすると、図4の画面が表示される。リストボックスをクリックすることにより、対応する授業科目が学生年次に応じて表示されるので、この中から履修する科目を選択して「OK」ボタンをクリックする。なお、科目を取らない場合には、リストボックスの「選択しない」を選択して「OK」ボタンをクリックする。
図3 履修選択画面
図4 選択画面
(3)履修チェック
本システムには、各自の時間割を作成した後に、履修データを自動的にチェックする機能を有している。履修チェック機能を選択すると、図5の画面が表示される。ここの時間割表の左下に「教職科目単位数」、「通常科目単位数」と「最高履修単位数」をそれぞれ表示している。通常科目単位数が最高履修単位数を超えると、「エラー」の表示を出す。この場合は、図3の履修画面に戻って、取得しようとしていた授業を「選択しない」として、削除を行う。
(4)登録
履修チェックの結果問題がなければ、履修データの登録を行う。図5の左下の「登録」をクリックすることにより、登録が完了する。
図5 履修チェック画面
(1)登録準備に関わる作業の負担軽減
本システムによる履修登録に必要となる各種データは、すべて現在使用している事務ホスト内にあるものを使用している。よって従来のデータがそのまま利用できることから、あえて新システムのためにデータを作成する必要がないようになっている。よって、システム運用に関わる事前準備の負担が軽減されている。
(2)システム運用および変更に関するコスト軽減
本システムの運用開始に伴い、システムの運用および変更に関わるコストが軽減できた。これは、ソフトウェアがHTML+VBScript言語で記述されていることから、一般ユーザでもシステム変更が行え、自由度が拡大している。さらに、WWWを利用していることから、ハードウェアにまったく依存しないシステムとなっているために、情報機器リプレースの際のシステム変更費用がほとんど生じないものとなっている。
(3)登録スケジュールの柔軟化
本学部の持つ情報機器を最大限に活用できること、さらに登録後の作業時間が大幅に短縮されたことから、学生が登録を行う期間の設定が自由に行え、自由度が大きくなった。
(4)履修登録後作業の軽減
学生が自分の時間割表を直接画面上で見ながら作成することから、入力しながら自らチェックできるシステムとなっている。さらに、事前履修科目の表示、重複チェック、最高履修単位数のチェックも同時に行っている。この結果、作成された履修データは、ほとんど修正を必要としないデータとなっており、データチェックの時間が大幅に軽減された。
(5)学生の評判
当初、入力を行う演習室へは、職員が必ず数名立ち会って、かつ学生には、入力の仕方を記述したマニュアルを配布して入力を行う予定であった。しかし、本学部の学生がWWWをいつも使っていることもあり、マニュアルをほとんど参考にせず、画面に表示される手順に従って入力することができた。また、入力に関する質問もほとんどなく登録が行われた。各演習室へは1名の職員が立会するのみとなった。なお、学生が履修登録に要した時間は、事前に時間割表をある程度作成してきた学生で平均で5分程度、画面の前で考えながら入力した学生でも10分程度であった。学生には、おおむね好評であり、開発の目的も達したと考えている。