谷 本 貞 人
(関西外国語大学理事長・学長)
情報化、国際化、高齢化が急速に進む現在、大学における研究・教育の内容・方法や施設・設備などの環境基盤は大きな変革期にさしかかっている。こうした流れのなかで関西外国語大学は、21世紀に活躍できる「国際社会人」とともに「情報社会人」の積極的な育成を目指している。
本学は、国際社会に貢献する人材を育成してきて半世紀。大学、大学院、短期大学部を合わせて学生総数は13,000人を超し、また学生の国際交流は、単位互換協定に基づく交換提携大学が24か国・地域、205校にのぼり、交流規模は年間1,500人に達している。情報化・国際化社会への対応としては、大阪府枚方市内にある二つのキャンパスのうち大学本部を置く片鉾キャンパスを、隣接地に取得した、現在の約2倍にあたる面積の新用地に移転新築するのを契機に情報基盤を整備強化するとともに、学術研究・情報拠点としての機能を充実発展させることにしている。
2000年春着工、2002年に完成を目指す新キャンパス建設計画の策定には、基本方針として「国際化」、「情報化」と「人にやさしいキャンパス」を掲げ、国際社会で活躍できる人材と、コミュニケーション能力に加え情報活用能力をもつ、いわば「国際社会人」、「情報社会人」の育成に必要な環境基盤構築をねらいとしている。これらの人材育成にはグローバルなコミュニケーション能力や外国語をコミュニケーション手段として駆使できる能力はもとより、コンピュータをはじめとする情報機器、通信システムを伝達媒体・ツールとして活用できる能力を不可欠とし、さらにその基盤に据えているのが人間尊重の精神である。自他の尊重、異文化理解における価値観の相互理解などは、すべて人間尊重の精神抜きでは考えられないからである。
新キャンパスの基盤的環境づくりは、具体的には国際交流活動を深化、拡充し、情報資料、機器・手段を活用できる情報基盤の構築と考えるが、今後の諸課題について情報関係を中心に主なものを取り上げると、次の4点に集約される。これらを基本に情報教育の改革を一層推進していきたい。
情報関連の学内組織、施設の再構築と将来構想を含む情報基盤の整備
図書館、視聴覚センター、情報教育センターの統合による「学術情報センター」的組織の設立のほか、組織・施設の見直しと再構築を図り、将来の可能性を見通した柔軟な基盤を構築する。
学生の自主的な情報活用環境の整備
学生の自学自習による情報活用や資料収集などのための施設・環境の整備を積極的に推進する。
授業における情報機器・教材資料の開発、利用環境整備とファカルティ・ディベロップメント
授業における情報機器の効果的活用が可能で、なおかつ簡便な教室の情報環境基盤の整備と、教員の主体的活用力量の充実と拡充を図る。
情報化による国際交流の拡充
派遣留学生や受け入れ留学生がインターネットを通じて派遣元大学の諸サービスを受けられるような施設・設備を設けるなど、国際交流拡充と情報化推進との相乗効果を期す。