私情協ニュース2
「私立大学・短期大学の教職員による自主的な情報教育方法の研究を促進・奨励し、研究成果の発表・評価を通じて大学教育全般の質的向上をはかる」ことを目的に設立された情報教育方法研究会の第7回発表会は、平成11年7月3日(土)にアルカディア市ヶ谷(東京、私学会館)において開催された。今年度は参加者は213名(81大学、22短大、企業2社)と昨年を上回るものであった。発表会は、第1次選考も兼ね、65件の研究発表が行われた。当日に発表されたテーマ・発表者、内容は以下の通りである。
その後、第2次選考も行われ、結果については、平成11年11月25日の私情協の臨時総会において発表される。
A-1 | 情報教育の現状と学生の意識 |
大学1年生を対象に、入学時点でのパソコンの経験の有無、経験内容を長期間のアンケートをもとに分析し、「基礎情報科学」履修前後のアンケートから、授業内容の到達度やコンピュータに対する意識の変化を検討している。
A-2 | 新設科目「情報ネットワークリテラシー基礎」と授業システム |
200名以上の大規模クラスで、マス教育の弊害を最小限に抑え、学生に講義学習と自習をさせることを狙いとしたマルチメディア教材、および全受験生が自分のノート型PCを教室内LANに接続して常時双方向で授業を受けられる、マルチメディア教室システムの開発を示している。
A-3 | 文科系短期大学における総合的な情報活用能力の育成 |
情報教育能力を総合的に駆使する自由課題研究を学生に課して、情報活用能力と問題解決能力の育成を同時に図るための指導法を工夫し、その有効性を検証している。また、入学時点でのリテラシー経験の有無がこの教育方法に及ぼす影響や、学生の意識の差異を考察している。
A-4 | 大規模一般教室の情報教育併用教室への改造 〜160人コンピュータリテラシー教育への試み〜 |
新カリキュラムに向けて、大人数の一般教室を、人数はほぼそのままでコンピュータ実習教育が可能な教室に改造した事例。開閉式天板の下にノートパソコンを設置する方式で、講義室として240人、実習室として160人の一斉授業が可能である。一般科目でもパソコンを手軽に利用できることから、学生・教員双方からの評判はよい。
A-5 | ライブラリーツアーをベースとした「情報検索演習」および「情報機器論」授業のコース的展開と想定効果 |
図書館司書教育における「情報検索演習」、および「情報機器演習」の教科内容として、図書館の館内を利用者が仮想的「ライブラリーツアー」を行い、その各場面で遭遇する情報機器を特殊な理工系の器械としてではなく、一般の利用者にも身近なものとして学習効果が期待できる。
A-6 | 教養基礎演習科目としてのネットワーク・リテラシーにおける情報倫理を重視したコンテンツ主導授業の実践 |
早稲田大学の多くの文系学部における情報処理入門科目として、「教養基礎演習的要素を含む情報倫理を中心としたリテラシー教育」を目指した科目例の紹介。情報倫理やネットワーク上の事件・事故などに関することを題材として取り上げ、学生が自らの実体験として情報倫理を学んでいくことができる。
A-7 | 「AOYAMA Cyber Campus(ACC)」プロジェクトの推進内容と組織体制 |
経営学部における研究および教育のための情報基盤を整備するためのプロジェクトの紹介。ホームページの開設と学術情報支援サービス、ネットワークの利用環境の整備、情報メディア教育システムの構築と運用、マルチメディアを利用したカリキュラムの開発、産学協同研究のプロジェクトへの取り組みについて述べている。
A-8 | ユーザー認証と教務データベースの連携による授業支援システム |
民間のブロバイダによる「Web CLUB会員制サービス」を導入し、IDを登録した学生および教職員のみがアクセス可能なページを設定し、掲示板サービスや、社会学部学生向けのきめの細かい情報提供を行えるようにした。講義内容、講義要項、講義予告、講義結果、課題、アンケート、掲示板に改善点が見られる。
A-9 | 情報教育の導入期における2段階クラス編成の実践について |
大学においてパソコン操作技能習得に関するレベル差は大きな問題である。本稿は「情報処理I」を対象として、学期途中でクラスを再編成する2段階の習熟度別クラス編成を試みている。第1段階では「キーワード認知度調査」、第2段階では「中間試験」で振り分け編成に工夫を施すことで有効な手段となった。
A-10 | レポート自動受付・公開システムの設計と適用 |
文系学生のレポートには正解はなく、多彩な回答が寄せられる。後の参考資料とするためにも、多様な形式をもつレポートを電子メール添付ファイルとして学生から自動的に受付け、コピー禁止のPDF形式に変換して、WWWで公開するシステムを試作、運用し、学生の反応も含めてその結果と課題を示している。
A-11 | ノートパソコン利用促進のための環境 |
学生各自にノートパソコンを持たせ活用するために、学科教員と情報処理センターがしてきたこと、およびブラウザで操作可能な出席管理システムとレポート管理システムを自作、運用し、その結果と現状の問題点を述べている。
A-12 | FTPを活用した課題提出システムの多機能化 |
ネットワークを利用した課題ファイル転送システムにおいて、FTPプロトコルの通信機能を用いて共有ドライブの設定なしに課題のファイル転送が実現できるシステムを開発し、課題の提出や課題提出状況が把握できるシステム。
A-13 | 「マルチウェイ学習システム」Multiway Learning System の教材開発と授業実験 |
Webを利用し、「いつでも」、「どこでも」、「だれでも」をキーワードとして、小・中学校の社会科「歴史教材」の授業の様子を紹介したもの。モバイルを導入することで教育の場と指導者、時間が広がり、従来の学校の枠組みを超えた教育環境が与えられ、学習効果が高められた。
A-14 | シラバスデータベースシステム「syllabus.sys」 |
教育の改善の基になっているシラバスに、筆者の開発したソフトウェアを無料で公開し、カスタマイズ可能としたものである。サーバ(HD:500MB+Network)にVine Linuxをインストールし、ソフトをダウンロードして運用が可能。
A-15 | 汎用教育・学習システムMELSoNEを利用した教育と学習の効果に関する評価 |
ネットワーク環境上で実現するマルチメディアを活用したリアルタイム、双方向コミュニケーションによる教育・学習システムで、実際の教育現場で運用実験を行い、教育と学習のあり方等の面から総合的な検証を試みている。学生の基礎知識やコンピュータ操作能力の較差、機器の高度化などの問題点を指摘している。
A-16 | 大教室における双方向参加型授業の試み |
学生と教員の双方向コミュニケーションを通じた相互構成的な学習機会の実現を目指し、「グループ演習とその結果に関するディスカッション」を大教室で試みている。インターネット・マルチメディア技術を活用した学習環境の構築が「予習−授業−復習」という学習プロセス自体の見直しにつながることを示唆している。
A-17 | 衛星利用非対称ネットワークによる遠隔教育システムの実験 |
通信衛星によるインターネットサービスを利用した経済的な双方向遠隔教育システムの開発と実験的な授業の中で、評価と検証を行ったもの。国内外の事例から、実用性と将来性の見通しの可能性を示唆しているが、ハードの性能が上がることが望まれている。
B-1 | 全学生への電子メールアドレス発行とWebメール運用について |
学生のメール利用を増加させるため、全学生にメールアドレスを発行した。またWebメールの利用を前提としOSの違いによる障壁を除いた。さらに、メール画面に入る前に学内情報画面を経由することにより、学生への掲示板が確立できた。
B-2 | コンピュータ実習授業におけるリアルタイム授業評価システムの開発と効果 |
Web上で利用できるリアルタイム授業評価システムを開発し、評価結果を学生と教員とが共有した。コンピュータ実習授業では、毎回の授業評価が可能であり講義内容へのすばやい反映など成果が得られた。学長の指導で評価者として他の教員も聴講している。
B-3 | 実験・演習講義支援システムの教育効果に対する評価 |
実験・演習では出席管理、進捗管理など付帯業務にさかれる時間が多く、本来の教育活動に支障をきたすことが多いので実験・演習支援システムを開発した。これにより負担軽減がはかれたため、学習意欲を喚起する授業方法を確立できた。
B-4 | ホームページを活用した情報科学入門コースの開発と実践 |
ホームページを利用し、情報科学入門コースにおいて教材のマルチメディア化、オープン化、教材の共有化などを試みた。期待した効果は得られたものの、教材開発を個人で行うには限界があり、教育支援部門の整備が求められる。
B-5 | インターネット環境を利用した教育システム 〜システム開発と専門科目教育への応用〜 |
経済学部など受講生の多い授業を支援するためWebを利用したシステムを開発した。学習者のレベルに合わせた教材提供、分散するサーバを利用するネットワークの構築、学生の発する情報や教材のデータベース化などを試みたが、教材開発支援で解決すべき事項がある。
B-6 | イントラネット支援学習・オーサリングシステムの開発と実践 |
サーバにホームページを生成するプログラムを置き、各種の問題ページを専用辞書を利用して作成し、それぞれの学生のブラウザに提示するようにした。また、学生の学習状況は教員側のブラウザで把握できる。C/C++プログラミングの演習で効果があがっている。
B-7 | WWWを用いたプログラム言語学習支援システム |
Webで作動するPascalシミュレータとプログラム言語学習支援ページとを作成した。学習支援ページでは学生のレベルチェックを行い、適切な開始ページを示すことができるように配慮している。
B-8 | WWWを用いた統合環境型プログラミング教育システム |
平均的なパソコン上のWWWサーバで動作するC/C++、Fortran、JAVA、PerlおよびGnuplotを開発した。140名程度の学生がブラウザ上で作成したプログラムを受け取り、処理結果とプログラムソースをブラウザに送り返す機能を有している。
B-9 | 第2言語としてのJavaを利用したプログラミング言語学習システムの試作 |
Javaを利用し、コンピュータグラフィックスについての演習を実施している。学生が興味を示すようなカオスやジュリア集合などの多種類のプログラム、およびCG画面を準備する。これにより多くの学生がプログラミングに興味を示した。
B-10 | デバック能力の育成を目的としたゲーム型学習環境 |
プログラム開発とデバッグ能力を育成するため、格闘型ゲームの枠組を用意した。選手の行動を学習者がプログラムし、教師が作成した標準プログラムと対戦させる。対戦結果から相手のプログラム内容を推定し、自分のプログラムを改造するプロセスを繰り返すことにより、問題の発見と解決の能力を育成する。
B-11 | コンパイラ理解のための情報工学実験における教育方法 |
コンパイラは様々なプログラミング技法を多用する複雑なシステムであり、これを理解することはいろいろな応用性・発展性に結びつく。簡単な言語を定義し順次機能を拡張させながら、それを実現するコンパイラを作成しているが、学習意欲や基礎能力のばらつきが問題である。
B-12 | ハイパーリンクによるドキュメントの制作とその可能性 |
1年次生を対象のリテラシー教育として、ワープロ・表計算を中心にハイパーリンクによるドキュメントの製作をさせる。最終的には学外とのリンクへと段階的にリンク形態を上げて学習させている。学生の自発的作成意欲は強くこの後の科目への発展性も期待できる。
B-13 | ネットワーク・コラボレーションを重視した「マルチメディア入門」 |
早稲田大学メディアネットワークセンターは情報基礎教育を引き受けている。履修学生は様々な学部・学年に分かれており、互いに面識もなく資質や背景に違いがあるが、3から8人のグループワークでWebページを作成させた試みが報告された。
B-14 | 多人数対象の創造的人材育成のための情報工学実験 |
ライントレースロボットをグループ製作させることにより、学生の協調性の発揮、情報技術の修得、物作りに必要な種々の工夫や新たな発想能力の開花など多くの成果が得られる。この実験を支援するため、教室設計、プロジェクト支援プログラムを整備した。
B-15 | 各種検定試験のための独習ソフトの開発およびプログラミング独習教育の実践 |
多様性のある学生に、学習にいかに興味をもたせ継続させるか。ワープロ検定などの独習ソフトを開発し、キー入力などコンピュータ学習の障害を排除しつつ、文書作成、データベース作成、VBAの理解などをさせることで効果を得ている。
B-16 | 情報関連検定試験を考慮した自己学習支援のためのシステム開発と試行 |
ブラウザで動作する情報関連検定試験のための自己学習支援システムを試作し、試用した結果について報告した。
B-17 | 資格取得を目標とした自習型学習教材の開発とその効果 |
ブラウザで動作する「初級システムアドミニストレータ試験」用の自己学習支援システムの開発し、試用した結果について報告した。質問箱掲示板機能については学生の評価があったとしている。
C-1 | 文型出身教員による工科系学生のためのCAI教材作成の経緯と今後の課題 |
筆者らは長年に亘って共同研究でCAI教材を開発し実践されてこられている。今回、学生の興味・関心を高め、実用的な基礎学力育成のために工業英語資格試験3・4級用と1・2級用のCAI教材を作成し活用された。また、2年次での専門英語教育では英語の教員と電気学科の教員と共同で授業担当し、基準点に達しない学生にはCAIシステムを活用するなどして、何度も追試験を受けさせて全員が専門の内容を英語で理解できるように教育効果を上げておられるとのことであった。
(C-2 発表中止)
C-3 | バーチャル・イングリッシュ(仮想英語学習空間) |
川学園女子短期大学榎本 正嗣氏、青木 敦男氏 英語教育の学習支援システムでは、具体的な場面の設定があって、その中でインタラクティブに活用できることが重要であり、そのような場をインターネットのWeb上に設定してマルチメディア機能を十分に活用することが求められている。筆者らは、臨場感、対話性、自律性をもつようなバーチャルなマルチメディア教材をWeb上に開発し活用された。今回の英語教材は、1)作文(writing)教材、2)初心者(beginer)向け、3)仮想的なモールの中で英語を学習する、とする自習学習にも利用できる英語学習教材ユニットであった。最終的にはVRML利用による3D空間の構築をも目指されている。
C-4 | WWWサービスによるVODを用いた語学学習環境の構築 |
語学学習ではマルチメディア教室を活用した双方向性の授業が有効である。筆者は4分割したブラウザ画面を設計して教育に利用されている。それらは、英文(原文)表示部、簡易掲示板部、テキスト入力部、VODビデオ画像部である。学生への課題は、発表者が指名されており、毎回5分程度の映画のシーンを閲覧して、英語表現を聞き取り、全シーンについての訳をその場で作成し掲示板に提出させる。教師は、授業で解説しながら学生の訳文の良い点、悪い点を指摘し指導していく。また、サーバにはStarWorksが、クライアントにはMPEG2デコーダボードが装備されいる。
C-5 | コミュニケーションWEBサイト「ヴァーチャル・オフィス・アワー」の1998年度施策報告と今後の展望 |
筆者によれば、Webと電子メールを複合的に用いることによって、大学の公的なコミュニケーションを支援することが求められている。同大学で従来から行われてきたヴァーチャル・オフィス・アワーの問題点を解決するために、教員・学生間で時間的・空間的拘束を受けずに質疑が可能な、新たなWeb版「ヴァーチャル・オフィス・アワー」システムが提案され利用され成果を上げている。今後は、さらに利用者と教員へのサービス向上を目指した運営体制の高度化が期待されている。
C-6 | インターネットを使った国際ボランティア |
インターネットを使って、ネパール北西部の山岳地帯に太陽光発電によるクリーンな電力を供給しようという学生のボランティア活動の発表であった。
C-7 | 異文化コミュニケーションBBSシステムの開発 |
電子メールやチャットによる異文化コミュニケーション活動より、掲示板(BBS)を導入することで、教育効果が向上したことを豊富な事例により、説明された。
C-8 | BBSを利用したインタラクティブなライティングの授業 |
テクニカル・ライティングの授業に、掲示板(BBS)を活用することで、対話的な学びの場、学び合う共同体が実感された事例が報告された。
C-9 | インターネット・コミュニケーション・情報活用リテラシーCAELL(英語教授学習システム)の研究 |
英語の授業に情報教育をリンクさせ、コンピュータ利用語学学習の事例、マルチメディアを活用したインタアクティヴな授業展開が報告された。
C-10 | 画面共有ソフトで授業の可能性を拡げる |
英語特殊研究と英語の授業で、画面共有ソフトを実験的に導入し、その効用と欠点が報告された。
C-11 | 語学授業における道具としての情報処理教育とサポート体制 |
ライティングや実務英語の授業と情報リテラシー教育をリンクさせ、教員と学生の双方が利用しやすい環境を作るため、テキストーHTML変換プログラムと電子掲示板などのアプリケーションが開発された。
C-12 | ティームティーチングの中でのCACL(コンピュータ支援の中国語教育学習システム)の研究 |
中国語の授業用に、コンピュータ支援の中国教育学習システムが作成され、実践報告がなされた。学習診断やマルチメディア化が十分に活かされていないが、可能性が実感された。
C-13 | 複数の汎用ソフトの連携によるデジタル中国語教材の開発について |
中国語発音教材の開発に、汎用ソフトの複数連携を試み、マルチメディア教材を作成したが、語学教育そのものの理念の変革、総合的な見なおしに迫られたと報告された。
C-14 | 「マルチメディア韓国語」システムの開発と実践 |
韓国語のハングル文字を学習するためのシステムである。音声、ムービー、画像を取り入れ楽しみながらハングル文字の習得と発音・会話の仕方を学ぶのにユニークなコースウェアである。筆者らのすべて自作になるシステムで大作といえる。学習の状態をチェックするための練習問題もあり、その評価もなされるので学習者は自分の進み具合を見ながら学習することができる。
C-15 | インターネットを用いた日本語の自律学習支援システムの構築 |
新聞社の提供するトピックスを題材にし、既成の辞書引きツール、ふりがなツールといったユーティリティをうまく統一的に組み合わせて構築された学習システムである。題材は毎週新しいものが発行されるので、教員が新たに教材を作る必要もないし、いろいろな面で手間を省きながら効果的教育をと考えた着想豊かなシステムといえよう。
C-16 | 日本語とPCの深くて遠くて深い関係 〜外国人留学生の日本語教育におけるマルチメディアの利用について |
外国人留学生が日本語の授業でPCを使う際の障壁として、ひらがなキーボード、全角と半角の使い分け、漢字変換での文字選択をあげ、これらを学生に理解させる工夫や、日本語による電子メール、ホームページ作成を通じての日本語学習について紹介された。
D-1 | 経済・経営専門科目の講義におけるパソコン導入の一方法 |
理論と実証の関連づけをねらいとして、Webブラウザ、音声合成ソフト、表計算ソフトを連動させて学生に統計データの加工、グラフの分析を体験させる教材を作成した。学生のPC使用のスキルアップと統計データの逐次補完・更新の必要性が報告された。
D-2 | 学生企業による実践的情報教育の試み |
学生企業「メディアウェーブ」を実際に設立し、システム開発、ホームページ作成代行、パソコン利用支援の業務を学生に行わせ、実社会が要求するコンピュータのノウハウを学ばせながら企業経営の一端にも触れさせるという試みについて報告がなされた。
D-3 | 統計・計量経済学のためのインタラクティブなインターネット教材の共同開発研究について |
学生の基礎学力と意識・意欲の差異に対応するため、Web上にキーワード検索、補足説明、実習データのダウンロード、参照サイトへのリンク、練習問題データベースの提供、Q&Aコーナーの機能を提供した教育プロジェクトについて報告された。
D-4 | ディジタル画像による心的イメージ表現・構造分析法演習 |
ディジタルカメラを活用し、イメージ調査法と画像を対象とした構造分析の方法を模索することをねらいとした構造分析演習の取り組みについて報告がなされた。本演習では感性と論理性の両面を要求した授業となっていることを強調された。
D-5 | バーチャルマーケット上のビジネスゲームの構築〜多摩大式経済経営シミュレーターの基本構想〜 |
1年生全員にノートパソコンを貸与し、学生がインターネットを利用して学外からも24時間参加できるビジネスゲームの開発と実施について報告された。ソフトは初心者用であるので、今後はゲーム内容の充実が課題とされた。
D-6 | WWW環境を活用した「社会調査分析法」の授業 |
学生に調査のテーマ設定、デザイン・実施を行わせ、課題をHTMLで提出させて学内のWWWで公開することにより、学生が「作り手」「読み手」の双方を行き来し、自分の視点や視座を確認しながら分析を行うという授業について報告された。
D-7 | アプリケーションソフト開発の授業方法と有用性 |
データベース構築ソフトを用いて、料理献立の栄養価の計算などを行うプログラムを構築する。その過程で絵を描くなどの基本的事項も学ばせる。既成のソフトの利用が主な専門の学生に、リレーショナルなプログラミングまで教育することは再考を要しよう。
D-8 | 図学およびコンピュータグラフィックス教育のための3次元立体生成ソフトウエアの開発 |
市販の高価なCADに匹敵する性能を備えたCADソフトを自己開発し、学生に使用させながら、3Dグラフィックスを教えることを目的としている。優秀なソフトであり、学生の創作力を伸ばし、教育効果も好ましいものになっている。
D-9 | ネットワーク生産実習システムの構築と機械加工実習の実践的教育法 |
歯車の設計製図(CAD)から生産工程の作成(CAM)までを実践的にコンピュータを利用して作成する。最終的には数値駆動型工作機(NC)にかけて歯車を削り出し、学習の動機を高めている。表題の「ネットワーク」の部分の充実化が望まれる。
D-10 | 表計算マクロで作ったアセンブラ・シミュレータ |
表計算マクロを利用して、アセンブリ言語を学習させるマクロを構築し、技術者資格試験に対応した知識の教育を目的としている。実際には、アセンブリ言語とそれと同じ働きをするマクロを画面に示すことで理解を促す。その教育効果は示されなかった
D-11 | 統計や数学教育の創造的破壊と新しい提案 |
一般に難解で嫌われがちな統計や数学を、グラフなどの視覚的な表現を多用して教育することで、学生の意欲と理解度を増加させることを目的としている。また、その使用ソフトも機能限定ではあるが、各種の面で教育に適したものを選択している。
D-12 | 数学実験室を作ってみませんか |
現代文明論のゼミで開講しているもので、数学をコンピュータを介在した実験で規則を発見し、自分で考え、創り出すことによって、学習する内容が身近なものになることを狙っている。具体的には、微分の概念等の3例を例示している。
(D-13 発表中止)
D-14 | マルチメディアによる音響工学教育 |
音響工学の具体的事例を関連画像や音像を収録し、必要な信号処理を加え、学習者に提示する授業を展開している。板書を全く用いずに教育を行っている。板書教育に比し学生の定性的理解は向上したが、数値計算能力には変化がなかったことが報告された。
D-15 | 電気機器工学におけるコンピュータ利用教育 |
この分野における数式処理、数値計算をあるテーマに限定して言語の変遷を紹介している。プログラミング教育に多くの時間を割いている割には効果的な成果が得られていない。今後、特別なプログラムを必要としないアプリケーションソフトの利用を提示している。
D-16 | 情報システム技術 |
専門科目教育の情報特論、数値解析に特化した内容で、ウォルシュ変換について詳述しており、情報教育方法論については触れられていなかった。
D-17 | 情報化時代における情報教育授業時の打鍵教育の重要性に関して |
発表者考案のユニークな打鍵方法の提案であり、第5回に発表会している。今回は対象者が増加しており、前回を含め、最初の2コマの丁寧な打鍵授業で、学生達の打鍵経験と環境の差(パソコン保有の有無等)を克服できるとしている。
文責: 日本大学 関口 克明 名古屋学院大学 岸田 賢次 関西大学 東村 高良 早稲田大学 中野美知子 法政大学 若山 邦紘
実践女子大学 城島栄一郎 東京工芸大学 杉山精 東京女子医科大学 石島 正之