社団法人私立大学情報教育協会 平成10年度衛星通信授業実験
女子栄養大学 − 愛知医科大学 衛星通信授業実験
実施日時: |
平成11年2月26日(金) 13:00 〜 15:00 |
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実施場所: |
女子栄養大学...文化表現ホール |
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愛知医科大学...C−2講義室 |
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対象: |
(女子栄養大学) 学部生,大学院生,教職員,私情協加盟大学教職員 |
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(愛知医科大学) 医学部1年生,医学部3年生の一部,大学院生,教職員,私情協加盟大学教職員 |
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テーマ: |
「生活習慣病 −正しい理解と新しいアプローチ−」 |
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授業形式: |
ミニシンポジウム形式(120分) |
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生活習慣病に関する5つのテーマについて、双方の大学よりテーマ毎にミニシンポジウムの形式で講義を行い、質疑応答、討議を行う。 |
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構成: |
女子栄養大学 |
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座長 |
五明紀春 |
学部長 |
講師 |
香川芳子 |
学長 |
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佐久間慶子 |
教授 |
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愛知医科大学 |
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座長 |
宮田伸樹 |
情報処理センター長 |
講師 |
山田琢之 |
助教授 |
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山口節子 |
管理栄養士 |
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山之内国男 |
助教授 |
授業内容:
シンポジスト1 山田琢之(愛知医科大学産業保健科学センター助教授)
働く人たちと生活習慣病
朝食を取らない人が多くなった。最近の調査では、二十才代の男性で「毎日必ず朝食をとる」と答えた人は半数にも満たなかった。朝食は英語でブレックファスト(breakfast)。断食(fast)をやめる(break)ということである。
朝食をとらずに会社に行くことは、断食したまま仕事をすること。血糖値が低く、脳が活動せず、筋肉の動きも悪い。おまけに、生活習慣病に関係することもわかっている。
アメリカの医学者「ブレスロー」らが1965年から30歳以上の成人男女七千人について7つの健康習慣を調査し、死亡率との関係を検討した。朝食をとることは、7つの健康習慣のトップバッターにあげられている。
1:朝食をきちんと食べる
2:間食をしない
3:喫煙をしない
4:毎日適度な運動をする
5:適正な体重を維持する
6:酒を飲みすぎない
7:睡眠は7,8時間とる
研究の結果、例えば45歳の人が7つの健康習慣のうち六項目以上守っていれば、平均余命は33年(つまり 45+33で、78歳まで生きることができる)である。これに対して、三項目しか守っていなかった人の平均余命は21年(45+21=66歳)と短いことを明らかにした。
加齢に着目していた病気を、生活習慣に目をむけたのが「生活習慣病」。栄養や運動などに少しのヒントがあれば、自分の努力で予防できるのも生活習慣病である。
シンポジスト2 山口節子(愛知医科大学管理栄養士)
働く人たちのための在宅生活習慣改善支援システム −アイライフの紹介−
生活習慣病は食生活、運動不足、仕事のストレス、嗜好品などの生活習慣に関連して発症する。一般的に生活習慣病の症状の有無に関わらず、働く人たちは生活習慣の改善には消極的である。なぜかといえば、健康教育に行く時間がないこと、改善の方法が分からない、継続できない等が理由である。
愛知医科大学では、生活習慣を改善しそれを持続して自己管理するための在宅支援システムとアイライフを考案開発した。これは高血圧、糖尿病を対象にしたもので、臨床試験の結果は良好であった。
「アイライフの栄養教育について」
アイライフでの健康教育(栄養教育)はつぎのような段階で行っている。
知識の理解 Knowledge なぜ必要か具体的にどうすればよいかなどの知識や技術を身につける。
例:高血圧にはどんな食事が適当なのか。
態度の変容 Attitude 興味を持ち、意欲を持つ。
例:体重減少のためには、摂取エネルギーを減らしたい。お酒を半分にしよう。
行動の変容 Behavior 意欲をさらに持って実践し、これを身につけ習慣化する。
例:節酒が日常のものとなり、体重をコントロールする。アイライフの高血圧用支援システムは、体重減少、減塩、節酒、運動、禁煙の5項目の生活習慣の改善をサポートするシステムである。
食事については目標エネルギーの教材を使用して確認しているうちに、食品の種類や量が記憶されて(何を、どれだけ、いつ食べるか)適正な食生活に改善する。
対象者は1日毎、あるいは1週間毎に生活習慣の改善度をチェックして自己評価する。センターからもコメントを送り、食事の摂取状況や運動量、体重、血圧、血糖値などのデータを検討し、新たな指導内容を示す。教育入院のように対象者の環境を変えず、日常の生活から逸脱させずに、自己管理を支援し、長期間にわたり継続した。
この支援システムは高血圧や糖尿病以外の生活習慣病にも適応が可能である。
シンポジスト3 香川芳子(女子栄養大学学長)
生活習慣病と一次予防
栄養による健康への影響は早急には現われない。しかし、長期にわたる栄養、食生活の偏りが生活習慣病といわれる循環器疾患、糖尿病や通風などの代謝疾患、骨粗しょう症、がんに大きく関わっていることが明かになっている。これらの疾患の増加が、医療費の巨大な膨張の原因にもなっている。一方で、食生活が豊かになり栄養問題が軽視される風潮にあり、高度精製加工されたエンプテイーカロリー食品が氾濫している。飽食の時代に食生活の偏りが多くみられるようになり、一次予防としての食生活改善指導は急務になってきている。
そのための工夫のひとつとして、食品群別の栄養指導がある。栄養素別の指導は一般の人にはわかりにくく、食品群別指導は世界的趨勢になってきている。四群点数法は栄養素量を個人に合わせて調節、日本人に適した食生活ができる方法として女子栄養大学で開発され、覚えやすく使いやすい。この指導方法による肥満、高脂血症、高血圧、代謝異常などの生活習慣病のリスク低下の実績を紹介。
シンポジスト4 山之内国男(愛知医科大学助教授)
生活習慣と糖尿病 −糖尿病は怖くない!?−
近年ライフスタイルの変化に伴う身体活動性の低下と食生活の変化(脂肪、動物性蛋白質摂取量の増大)に伴い年々糖尿病人口が増大している。わが国では現在40歳以上の人口の約10%が糖尿病を有しており患者数も690万人を超えるといわれている。さらに糖尿病のハイリスクグループであり他の生活習慣病の合併頻度の高い耐糖能異常(IGT)はさらに20%に相当する数に達しているという。このように生活習慣と関連するタイプの糖尿病はインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)と呼ばれる。
NIDDMの発症には肥満と関連したインスリン抵抗性がきわめて重大な役割を果たしている。二次的な高インスリン血症が持続する中で、おそらく遺伝的素因のある人は次第に膵のインスリンを分泌するB細胞の疲弊を引き起こし、インスリン分泌の低下に伴い糖尿病を発症する。現在、網膜症による失明、腎症による透析導入、神経症害、足壊疽の他に心筋梗塞など動脈硬化性疾患が年々増加している。従って、最も大切なことは、糖尿病になる前、あるいは初期のうちにインスリン抵抗性と関連の深い肥満・運動不足を生活習慣のなかできちんと是正していく努力をしていくことであろう。
シンポジスト5 佐久間慶子(女子栄養大学教授)
遺伝子制御と栄養
ヒト遺伝子の全容解明が進むにつれ、栄養や疾患に関わる研究分野が飛躍的に展開してきている。多因子疾患である生活習慣病についても、遺伝子レベルの研究が進めば発症前診断が可能となり、効果的な一次予防対策を立てることもできる。たとえば肥満の元凶と思われていた脂肪細胞は、実は100種類以上もの生理活性ペプチドを生成分泌する内分泌細胞であることが明かになり、肥満と糖尿病の因果関係にはこの生理活性物質が関与しているという仮説も生まれている。肥満に関わる重要なホルモンであるレプチンは脂肪細胞で生成し、細胞によるエネルギー消費を調節する。食欲を調節するニューロペプチドY,メラノコルチン受容体4、オレキシンなどのホルモンが発見されている。最近、体脂肪消費に関しては、ベータ3アドレナリン受容体、UCP3が注目されている。肥満機序における遺伝子の果たす役割について、最新の研究成果を紹介。
見学者募集
本実験の見学を希望される場合は、所属大学、役職、氏名、連絡先、希望人数、見学希望地を明記の上、
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