原著作(権)者への許諾手続き範囲について
 
他者の著作物を複製して新たに著作物を創作した場合や、他者の著作物を加工(翻訳・編曲・変形・翻案)し新たな著作物を創作した場合、原著作者に許諾を得なければなりません。この他、他者の著作物を素材として編集したり、データベース化した場合も同様です。 しかし、利用するものが著作物とはならないもの、著作物であっても著作権の保護の対象とならないもの、引用のように著作物の自由利用が認められるものがあるので、利用者がその判断をする場合の留意事項を以下に示します。
  なお、許諾の要・不要の判断がつかない場合は、原著作者に許諾を得ることが望ましいと考えます。

I. 著作物とならないもの
 単なる事実を示したにすぎないものやデータそのものは著作物には該当しません。例えば、死亡記事がこれに該当します。

II. 著作権の保護の対象とならない著作物
憲法その他法令、裁判所の判決などは著作物ではありますが、著作権の保護の対象とはならないので、自由に利用することができます。

III. 自由利用が認められる場合
 著作権の保護の対象となる著作物で、自由に利用できる場合の代表的なものは以下の通りです。

1.引用
 引用は、他者の著作物を自己の著作物に取り入れることを言います。

1)引用する著作物が公表されたものであること
2)教育、研究において正当と認められる範囲内の利用であること
3)引用部分に括弧をつけるなどして他者と自己の著作物を明確に区別すること
4)自己の著作物が主で引用部分が従となり内容的に主従関係があること
5)著作人格権を侵害しないこと

が条件となります。また、引用の際には、必ず、著作者名、題名など「出所の明示」をしなければなりません。
 なお、引用する範囲は、著作物の種類に応じてその全部または一部となり、全部を引用する場合は絵画、写真、図表などが該当します。

*引用についての判断基準は1)から5)にありますが、それぞれのケースによって判断難しい場合があるので、許される引用に該当するか不明な場合は、権利者に許諾を得ておくことをすすめます。

2.大学の教室における複製
 <事例>教員が授業のために著作物を複製し受講生に配布
  著作権者の利益を損なわない程度とされていますが、50人程度が限度ではないかと考えられます。
  Webのように不特定多数に著作物を配信するような場合は、許諾が必要となります。

3.許諾を必要とする主な具体例
1)翻訳
2)他者が作成した文章のアニメ化
3)コンピュータプログラムの多機種への移植
4)他者のホームページに掲載されている著作物のコピーと配信
5)紙媒体の著作物のスキャニングと配信
 など


許諾手続きでの必要事項
 著作権者に著作物の利用について許諾を得る際には、以下の事項に留意する必要があります。
(1)著作権者が誰であるか確認する
(2)利用許諾契約書を作成する
ここでは、当協会の著作権処理事業で扱う利用方法に限定し、契約書で必要な事項を下記にまとめました。

1)利用目的(→教育・研究のため)
2)利用対象者(→大学・短期大学の教職員と学生)
3)利用人数(→不明。ただし、使用料の報酬あり)
4)利用範囲(→複製、公衆送信権、伝達、譲渡)
5)利用期間(4月から翌年3月までの1年度。毎年度契約更新)
6)著作物の管理、セキュリティの方法・程度
7)使用料の有無、金額、支払い方法