プ ログラム概要
事前・事後コミュニケーション
10月13日(火)より研究講習会前日まで、分科会ごとに事前の研修準備としてメーリングリストもしくはWebを利用して意見交換、 ミニレポート、情報収集等を行う。各分科会の課題は、メールにて連絡する。研修終了後は、各分科会でレポートや最終成果物の作成、行動計画の起案等を行 い、研修の成果を大学で活用できるよう、メールでコミュニケーションを継続する。
全体会
趣旨説明
研修運営委員長より本コースの開催意図、大学を取り巻く様々な課題、社会が大学教育に求めること等について解説を行い、研修を始める にあたっての基本的な認識を共有する。
講 義
本研修を進めるにあたって前提となる知識について、「大学改革と情報の活用」、「学士力の確保を支援するICT環境の構築」、 「ICTを活用した教育支援、人材育成支援に求められるもの」等をテーマに講義形式により学ぶ。
事例研究
各大学が掲げる「学士力」を育成するため、学生たちの学びに対する意識の転換を図り、自主的、創造的な学習者へと変革を促す組織的な 支援が重要課題とされている。ここでは、教員と職員が協働し、ITを効果的に活用しながら学習支援活動に取り組む優れた実践事例に学び、教育改革へ向けた 戦略的、実践的解決策を導き出す上で私たち職員に求められる視点について考えてみる。
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分科会
※いずれか一つの分科会を選んでください。
1. 学生の主体的な学びを支援するための学生情報の活用
各大学が掲げる「学士力」を学生に確実に身につけさせるためには、教職員それぞれが専門性、組織的対応力を発揮し、連携・協働する中で学生の学びを支援 し、指導や助言の質を保証する戦略が問われている。電子的な「ポートフォリオ」や「学生カルテ」などのシステムは、目的ではなく手段である。重要なこと は、学生情報の活用を通じて現状の問題を整理・分析、共有し、学びの支援を組織的に取り組めるようにする情報通信技術活用のマネジメントである。
本分科会では、学生情報を組織的に活用する事例を踏まえ、実践的な学習支援の情報活用モデルの構想作りを通じて、学生一人々の質を保 証する支援の仕組みを探究する。
討議テーマ
「学習ポートフォリオ」活用の可能性と課題
学生自ら授業の到達目標に対する学びの成果を点検・評価し、自信がない点・できない点を明ら かにする情報通信技術を活用したポートフォリオ構築の意義を確認する。その上で、大学としての補完学習、個人学習の体制など学士力の質保証支援の仕組みを 探求する。
「学生カルテ」情報の具体化と組織的な活用戦略の策定
一人々の学生を支援するため、学生の基本情報、成績・進路情報、相談・指導記録情報などの個 人情報を教職員が総合的に共有する「学生カルテ」の内容について整理し、学生情報の一元管理のあり方、組織的な活用戦略について探求する。
獲得目標
- 「ポートフォリオ」や「学生カルテ」を構築する教育的意義について理解を深める
- 「ポー トフォリオ」や「学生カルテ」を真に価値あるシステムとして活用するための組織的課題と職員の役割を認識する
- 自 大学の現状を分析し、導入によって期待される効果、その活用のための組織的な課題を整理することができる
想定される事例
- 学生自らの「Plan-Do-Check-Action」を促す「ポートフォリオ」の構築と運用
- きめ細かな個別支援を展開するための「学生カルテ」の構築と運用
- 多様な学生を層別に
分類し、それぞれに適合した学びを支援する取組
2. 教職協働で進める教育支援のマメネジメント
各大学では教育改善に向けた方策の実現に向け、中央教育審議会の提言も参照しながら、教職員が連携した新たな教育支援体制の構築と組 織的な推進が求められている。例えば、ICTを活用した入学前学習、初年次教育、キャリア形成支援教育、体験型・双方向型授業、大学間および産学連携授業 などの取組が挙げられるが、これらは教職協働による組織的なマネジメントがあってこそ実現する。
本分科会では、「教職協働で進める教育支援のマネジメント」とは何かについて、上記の取組を題材にその具体像を議論し、期待される効 果、推進する際の課題、ICTの活用などについて検討する。
討議テーマ
- 教育支援の具体例の整理
- 実践的なマネジメントモデルの構想
- 実現に当たっての課題の探求
獲得目標
- マネジメントモデルの構想を通じて、具体的なイメージや意義を理解する
- 自
大学において教育支援のマネジメントを展開する際の課題を明らかにする
想定される事例
- 職員による教育支援の企画・立案、マネジメントへの取組み
事例紹介 |
3. 大学広報におけるWebサイトの戦略的構築と差別化
私立大学の広報戦略は、教育理念および教育成果を一層明確にして、自大学の人材育成に対する取り組みを社会に強くアピールすることに ある。それには、社会の信頼に応え得る学士力の実現に向けて、学士力の公開、教育力向上への取り組みの紹介、第三者評価機関による結果の公開など、人材育 成に関する現状と課題を社会に発信し、理解と支援・協力を得るための情報のオープン化が望まれる。これには、大学からの一方的な情報発信ではなく、Web の特性である双方向性を生かした取組が不可欠である。例えば、卒業生による授業の意義や学習の重要性に関するコメントを掲載したコラムの開設、教育支援に 対する産業界等への要請、産業界等からの人材育成ニーズを把握する仕組みづくりなどが考えられる。
本分科会では、教育活動の情報公開の是非、可能性と課題を整理し、ステークホルダーに訴求する情報の内容について探求する。その上で 人材育成支援の立場から社会と相互交流する場としてのWeb 広報のあり方を模索する。
討議テーマ
- Webサイトによる教育活動オープン化の可能性と課題
- 情報 発信を停滞させる要因の分析と教職員連携の体制作り
- ステークホルダーに訴求する情報の収集と精選
- 社会と交流する人材育成フォーラム構想の探求
- 志願者確保のための戦略的なWebサイ
トの構築
獲得目標
- 自大学の広報戦略の現状を振り返り、教育情報オープン化の必要性を認識する
- 人 材育成支援を実現するための双方向的なWebサイトの有用性を認識する
- Webサイト構築・運用上の人的・ 組織的課題の認識と解決の視点を獲得する
想定される事例
- 先進的なWebサイトの構築に取り組んでいる事例
- 志願者確 保のための戦略的なWebサイトの事例
- 国際化、ユニバーサル化など特色あるサイト構築の事例
4. 学生の自立的な学びを支援する大学図書館の役割
教育現場の問題として、基礎学力の低下、学習意欲の低下が指摘されている。とりわけ、初年次教育の対応として自立的に学ぶ学習法の習 得が喫緊の課題となっている。例えば、専門書の読み方・要点整理の仕方、ノートのとり方、情報通信技術による調べ学習、文章構成技法などの支援がある。こ れらの支援は、専門性が要求されることから教員による学習支援センターなどの対応としている例があるが、図書館員の専門性を発揮する中で学習技法の習得を 支援する取り組みが拡大しつつある。
本分科会では、大学図書館による学びの支援について取り組むべき課題を確認し、ICTを活用した戦略的・実践的な支援策を探求する。
討議テーマ
- 図書館が備えるべき学びの支援機能の明確化
- 学びの技法を習 得させるための支援プログラム
- 他部局や教員と連携した組織的な学習支援体制
獲得目標
- 学生の自立的な学びを支援する機能と環境について課題を認識する
- 自 大学の現状を振り返り、適用可能な支援策を具体化できる
- 他部局や教員との組織的な連携を提案することがで きる
想定される事例
- 図書館による学習支援(明治大学:「教育の場」としての図書館の積極的活用 -図書館の持つ教育力を教育に活かす-)平成19年度「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」採択
- 武
庫川女子大学における教務課と連携した新入生対象オリエンテーションの実施事例や、研修参加校を中心とした国内各校の取組み事例
5. 情報活用の重要性と情報システム部門の役割
大学には、「知の拠点」として高度かつ多様な機能が求められている。このような状況の中で、情報システム部門は「システムの運用管 理」から「知の資産の運用管理」へと役割の比重を転換する必要に迫られてきている。例えば、教育コンテンツの蓄積と再利用、研究成果情報の社会還元、経営 情報の戦略的活用、生涯学習の充実などへの対応が挙げられる。このような役割を果たす上で、経営的観点から情報環境を見直し、知の資産の運用管理を合理的 に進めるための新しい取り組みの構築が要請される。
本分科会では、外部データセンターの活用を含めた情報環境のあり方について抜本的な仕組みを構想する。また、情報資産管理の基本方 針、制度、実施体制などを模索するとともに、情報システム部門に求められるマネジメントの視点を探求する。
討議テーマ
- 「知の資産の運用管理」へ比重を転換する意義
- 情報システム 部門の課題認識
- 情報資産管理のマネジメントのあり方
- 外部 データセンターなど新たなサービス利用の効果やリスク評価
獲得目標
- 情報システム部門の役割の転換を認識する
- 情報資産の全体像 を把握し、これをマネジメントする視点を獲得する
- 外部データセンターなど新しいサービス利用の効果とリス クを認識する
- 自大学の情報システム部門の将来的な役割を認識する
想定される事例
- データセンターの活用によるメリット・デメリットの事例
- 情 報資産のアーカイブ化事例
- 情報セキュリティ自己点検リストの事例
6. コミュニケーションツールを活用した学生支援体制の構築
授業についていけない、自ら学びに入れない、相談できない、友達を作れないなど、キャンパス内で孤立し、不安を抱える学生が増加してき ている。その結果として、中途退学者が顕著になってきており、教育面はもとより経営面でも深刻な問題となっている。
大学は入学した学生一人々に対する責任を持った人材育成を使命とするものであることから、学生にコミュニケーションの機会を設け、親身 になって不安を取り除く努力が求められてきている。例えば、入学前から大学とコミュニケーションをはじめる、新入生および在学生相互の交流の場を設ける、 教職協同による組織的な学生支援のコミュニティ形成への取り組み等が喫緊の課題となっている。
本分科会では、コミュニケーションツール活用の可能性と課題を確認し、取り組むべき学生支援モデルの構想および実践上の課題を探求す る。
討議テーマ
- 入学前学習から卒業後のコミュニティ形成の重要性の確認
- 「ポー タル」、「SNS」等コミュニケーションツール活用の可能性と問題点の整理
- 不安を取り除く実践的な学生支 援モデルの構想(ICTを活用したコミュニケーションシステム、教職員の連携体制、モデルを推進する組織体制、個人情報の取り扱い体制など)
獲得目標
- 学生に対して「何を」、「何のために」、「どのように」という視点からICT活用の基本的な考え方について 認識を深め、コミュニケーションツールの可能性と課題を明らかにする
- 学生支援体制を強化するための「教職 員の役割・かかわり方」について認識を深める
- 自大学における現状の課題を認識し、コミュニケーションツー ルを活用した学生支援の方向性と具体的施策を検討するにあたっての視点を獲得する
想定される事例
- 入学前教育とICTの活用について
- First Year SeminarとICTの活用について
- 職員の副担任制とICTの活用について
- ピ アサポートとICTの活用について