社団法人私立大学情報教育協会
平成15年度第3回文学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成15年10月21日(火)午後5時30分から7時30分まで

U.場所:私情協事務局会議室

V.出席者:竹本委員長、安田、佐伯、横井、西澤、板坂、浜口、原各委員、井端事務局長、木田

W.検討事項

1.サイバー・キャンパス・コンソーシアムの活動内容に関する提案

前回の委員会において、CCC日本文学グループが未だ活動できていないことに鑑み、活動を促進させるため委員会として活動指針を取りまとめることとなり、竹本委員長より下記の叩き台を提出いただいた。

1.動機付けのためのIT活用

 @学生参加を前提とするIT活用の授業モデル

 A補習授業のためのIT活用

  ・オンデマンド型授業「文法」のモデル

  ・オンデマンド型授業「作文」のモデル

2.専門教育におけるIT活用

  ・オンデマンド型授業「文学史」のモデル

3.障害者教育におけるIT活用

4.ワークショップ型授業におけるIT活用

5.新しい大学間ネットワークの構築モデル

  ・大学間ネットワーク構築の手法(複数大学間の授業および科目登録ネットワーク)

  ・特定同一分野の専門研究者によるモデル授業

  ・資料所蔵者との共同授業

  ・異分野の研究者による統一テーマを掲げたモデル授業

次に事務局よりCCCの活動に関して下記の補足説明があった。

「CCCでは、参加教員による教材の作成や共有化のための基盤整備を構築のほか、大学間連携による合同授業や講評授業を実施していくことを目的としており、授業テーマごとにグループ分担して活動していく。しかし、それらを実施するためには費用が必要となるので、サイバーキャンパス整備費等の補助金申請と連動していく必要がある。それ故、CCC参加教員の活動を大学が支援するという名目が必要となるため、大学単位でCCCに登録する必要がある。日本文学グループでは、教材のデータベースや授業の共同化が望ましいと思われる。」

以上を踏まえ、CCCへの提案に関して意見交換した。

  • 一大学だけでは、日本文学の全分野を網羅して授業を行うことは不可能と思われる。そのため、動画像やwebページを活用して参加教員の授業を電子化し、それをアーカイブかすることで自大学にはない授業を共有することはできないだろうか。
  • 授業をデジタルビデオで撮影し、コマ切れでアップロードすることは容易にできる。ビデオ撮影に伴う費用は補助金で半額カバーすることも可能である。しかし、授業風景を単に撮影しただけでは、NHKや放送大学のコンテンツと差別化できず、かつクオリティも確保できない。
  • 予備校でも同様に講義をデジタルアーカイブ化しているが、充実したコンテンツと難易度ごとに階層化がなされているため、予備校生は積極的に活用している。しかし大学で同様なものを作成するとなると、大学教員の中には授業での教授法が自分でもわからないという者が多数おり、そのような教員の授業をデジタル化しても意味がない。東京都の教育研修センターでは、小中高校の教員向けに教授法のノウハウをデジタルアーカイブ化しているが、大学でも同様なアーカイブを構築すれば、広く活用されるのではないか。
  • オンデマンド的な動画教材を作成するには、大学の講義そのものを撮影するのものと、NHKや放送大学のコンテンツと同様に、予め台本を用意して決められたタイムスケジュールの中で作成するものがある。後者は比較的無味乾燥になりがちだが、前者は実際に学生を前にして講義していることもあり、ライブ感が出て独特のコンテンツになるのではないか。
  • 実際の授業を撮影するとしても、デジタル化するのであれば講義中に教員が用いる言語をある程度制限しなくてはならない。
  • どのようなスタイルであれ、オンデマンド授業は、自宅で閲覧可能にしても脱落してしまう学生が多いので、学習意欲の向上という目的には適していない。それ故、自大学にない授業内容や高校生に大学の講義内容を知らしめる内容にすべきである。
  • 日本文学史は、どの大学でも授業科目としてあるが、一人の教員が全史を包括できないので、複数の教員が個々の専攻分野を講義して、それをデジタルライブラリー化すれば多くの賛同が得られるのではないか。

以上の意見を踏まえて、CCC日本文学グループに対して、まずは日本文学史の授業ビデオライブラリー構築を提案することとした。また、学生の基礎学力低下という問題も考慮して、基礎学力補充のための対策についても併せて提案していくこととした。なお、スケジュールとしては、年内中にメールを通じて参加教員に提案を送信し、意見を募ることとした。

2.日本文学原本画像データベースについて

事務局より、日本文学原本画像データベースの進捗について報告があった。前回の委員会にて、業者委託によるデータベース再構築が承認されたことに伴い、今回は開発中の画面イメージを基に、検索機能、管理機能を中心に説明がなされた。情報は、五十音別に階層化され、トップページから辿ることが可能である。トップページには、使用上の注意事項が記載されているほか、検索機能が設けてある。検索機能は、詳細な機能は設けずに、全文検索あるいは音別検索機能のみとしている。管理機能は、前回までの課題となっていた情報の一括登録が可能となり、第3者による情報の改竄を防止するため、事務局のみが管理者画面のURL並びにID・パスワードを管理することとした。

以上の説明に対して、委員より、リンク協力校一覧のページを作成し、トップページから閲覧できるようにすべきであるとの提案があったことから、新たに付加することとした。

3.その他

次回委員会では、来年度委員会活動について自由討議することとした。