社団法人私立大学情報教育協会
平成17年度第5回物理学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成18年3月31日(土)午後1時より午後3時まで

U.場所:私情協事務局会議室

V.出席者:藤原委員長、川畑副委員長、松浦、満田、徐、太田、藤原、寺田各委員
  井端事務局長、木田
W.議事進行

1.18年度発刊の報告書について

(1)報告書の方針について
  はじめに、事務局より報告書の執筆方針について下記の旨の説明がなされた。

T.報告書のタイトル
  「大学教育への提言 〜ファカルティ・デベロップメントとしてのIT活用」

U.編集方針

 ファカルティ・デベロップメントとの視点から教育改善のための課題を整理し、解決に向けた方策を大学のガバナンス、教育政策、教員の意識改革、IT戦略など「総論」として網羅的に報告する。その上で、学系別教育におけるコア・カリキュラムを意識して、教育成果として求める能力を整理し、能力達成に必要な授業設計の在り方を概括する中で、ITを活用した授業の事例を「各論」で紹介する。

V.目次構成

<総論>「人材育成のためのIT活用」(20ページ)・・・事務局担当

1.大学教育における人材育成の課題
2.教育改革のための大学戦略
3.大学教員に求められる教育力(教育の業績評価制度の導入、望まれる教育力)
4.ファカルティ・デベロップメント改善のIT活用(教育での多様なIT活用を紹介)
5.教育の支援体制と今後の課題
※総論は大学の執行部を対象とした内容とする。

<各論>「FDとしてのIT活用授業モデル」・・・委員会担当

W.FDとしてのIT活用授業モデル(1委員会:15ページ)


1.コア・カリキュラムを意識した教育の到達目標
(学部教育を中心とするが、必要に応じて大学院教育も対象とする)
2.教育現場での課題
3.教育改善のための授業設計・開発・運営の方向性
4.ITを活用した授業モデルの事例紹介(4モデル×3ページ程度)
5.IT活用に伴う課題

X.資料

コア・カリキュラムの他、授業内容、コンテンツの一部をCD−ROMで添付。

Y.原稿締め切り

18年8月末を目途とする。(9月〜10月は編集期間)

Z.出版日程

18年11月臨時総会にて報告。


(2)対面授業における授業モデル
@ 松浦委員
  松浦委員より、「ICTを活用した初等物理学の授業モデル」について報告がなされた。前々回の報告と異なる点として、覧具教授の論考を踏まえICT活用の基本的目的として、@教員と学習者、学習者同士のコミュニケーションを支援すること、A学習内容、学習者の学習履歴、カリキュラムの中で他科目との連携などの情報環境へのインターフェースとして、
学習支援機能を提供すること、ICT活用に伴う環境的な問題点(教室設備から学生のインターネット接続環境等)、e-Learningのための学習意欲の持続・増進策に触れた点にある。詳細は、配布された資料を参照されたい。

本報告について意見交換したところ、「e-Learningを有効活用するためには、何らかの強制力を掛ける必要があり、事前学習を義務付けることによって、教員は学生一人ひとりの理解度を把握することができ、結果として学生の理解度に合わせた対面授業を運営することが可能となる。この点も課題として含めたほうが良い。」との意見があった。
松浦委員は、現状では成績評価の20%をe-Learningの活用状況によって反映しているが、学生のなかには自宅からインターネットにアクセスできない者が多く、また沼津校舎の立地条件により遅くまで学校に残ることも難しいことから、あまり強制的にe-Learningを課すことができないとの回答がなされた。よって、この点については今後の課題として触れていただくことにした。

A徐委員
  徐委員より、「『科学するこころ』の修得を目指した『Realityのある物理学教育』のために」について報告がなされた。前回との相違点として、まず「私立大学教員による授業改善に関する調査」の回答結果より今後2年間に実現したい授業形態第一位である「学習の動機付けを徹底し学生が主体的に学ぶ授業」を実現するためには、演示実験が有効であることから、演示実験を含む授業シナリオであることを強調した点にある。その他には、制度的な問題として時間割に関する問題や物理教育の継続的な改善のために授業シナリオや例題・課題を共有することが提起された点を挙げられる。詳細は配布された資料を参照されたい。
  本報告について意見交換したところ、「『Realityのある物理学教育』とは何であるか具体的に表現した方が良い」、「通年の授業運営方法を例示するのか。あるいはある1コマの授業を例示するのか明確化した方が良い」との意見があり、これらの意見を踏まえて加筆・修正いただくことにした。

(3)実験における授業モデル
  @川端副委員長
  川畑副委員長より、「ITを活用した物理学実験テキスト」について報告がなされた。前回提出いただいた草稿との相違点として、「3.今後の課題と展望」を重点的に加筆いただいた点にある。具体的には、教育効果を高める方策として(1)多様な学力レベルにあわせた工夫、(2)順を追った説明と表示、(3)学生を飽きさせず要点を伝える、(4)シミュレーションの活用、(5)モジュール化が提起されている。詳細は配布された資料を参照されたい。

なお、前回の委員会ではM2Mの掲示板システムを併用した方が、議論が深まるとの意見を踏まえ、実験的にシステムの活用を検討いただくことにしていたが、本授業の対象学年は1年生であり、彼らの情報リテラシーや学力に鑑みて、今回の授業モデルでは対象外とすることが補足説明された。

A満田委員
  満田委員より、「学生物理学実験におけるVOD型テキストの導入と対面授業(講義)との連携強化」について報告いただいた。今回は、前々回提出いただいた草稿に加え、学生アンケートの集計結果も提出いただいた。学生のアンケート結果を総括すると、実験の手順は理解しやすいものの、誘導型のコンテンツであるため、学習態度を受動的なものとして規定してしまうことに対しては不満が目立った。詳細は配布された資料を参照されたい。

2.その他
  冒頭での事務局の説明を踏まえて、授業モデル以外の報告書の執筆分担を協議した結果、以下の通りに担当いただくことになった。

1. 藤原委員長、寺田委員
2. 藤原勉委員
3. 太田委員
5. 委員全員の意見を最後に取りまとめる。

 次回委員会では、各委員より草稿をメールにて事前に提出いただき、その内容を協議することにした。また授業モデルを担当いただく委員には、今回の意見と報告書の執筆方針に記載された構成を踏まえて、メールにて事前に提出いただくことにした。