社団法人私立大学情報教育協会 Ⅰ.日時:平成15年9月5日(金)午後3時から5時まで Ⅱ.場所:私情協事務局会議室 Ⅲ.出席者:竹内委員長、小中原、高野各副委員長、堀合、伊藤、及川、庄野各委員 井端事務局長、木田 Ⅳ.検討事項 前回の委員会にて、委員各位による授業事例報告が一巡したことから、今回は今後の活動内容・方針について自由討議することとした。 議事に先立ち、事務局より特色ある大学教育プログラムの採択結果について説明があった。要旨は下記の通りである。 『本年度の採択結果であるが、申請件数は共同の取り組みも含め664件であり、そのうちの80件が採択された。私立大学の申請数は338件で採択件数は26件であり、申請数に比して採択率は低いものとなった。採択された取組のテーマには、チュートリアルなど学生個々の能力を引き上げるための取組が多いが、実施委員会からのコメントの通り、人文社会系、理工医学系、芸術系学部を同じ土俵で評価することの困難さから、評価基準の改良が今後求められる。また来年度からは、支援額が本年度の予算総額十六億円から二百億円に増額し、かつ3つのテーマ(①特色ある大学教育等支援プログラム ②社会・地域・大学間の連携強化 ③ITを活用した教育研究支援事業)により募集を受け付けることとなった。本委員会としても、今後基礎学力底上げをテーマとして応募することも今後の活動指針として検討頂きたい。』 上記説明基づき自由討議を行ったところ、まず個別教育に関して「私立大学では大人数の学生を対象とした講義が多いため、個別学習の実施は難しい。例えば補完的にe-Learningを活用するということも考えられるが、大学間はおろか教員単位でも授業の形式や位置づけがそれぞれ異なるので、標準化することは難しい」との意見があった。他にも「日本では学生個々の学習効果や能力を測定するにあたり、例えば知識量による測定は可能かもしれないが、化学を学ぶ上で最も必要とされる、科学的思考力を測定するための基準は確立されていない。欧米ではそのような科学的思考力を判定する試験があるので、本委員会として、その日本語版の策定を検討する必要があるのではないか」という意見があった。 その後、学生の学習意欲の低下や科学的思考力の欠如に関して意見交換がなされたが、学生に対する教育効果の測定方法と測定基準の確立が、化学教育の改善に必要とされる共通課題であることが確認された。そこで次に、上述した課題とITの活用がどのように関連付けられるか、という論点から意見交換した。 日本の大学では教員から学生への一方通行式の講義スタイルが多いが、アメリカの大学では、授業の合間にマルチメディアを用いた小テストを課すことで、学生に自主的に学習させると同時に成績評価も行うという例が挙げられたが、日本の大学では学内の支援体制や環境が充実していないため、実施は困難である場合が多いとの意見があった。ただ、環境が整備されているのであれば、例えば基礎化学分野で大学間の共通的な演習問題をデータベース化し、授業中にその問題を学生に解かせて回答結果を大学間で比較するようなことが可能とり、学生の学習意欲向上にも繋がるとの意見があった。 以上より、授業にITを活用するには、大学の支援体制や環境等の要因により、実現できないケースもあることから、環境に囚われないITの活用方法について意見交換したところ、実験に必要とされる予備知識を収録した動画や演習問題をデータベース化すれば、教員も容易に活用することが可能ではないか、との提案があった。 上述した提案に対し、実験動画に関しては、比較的内容が標準化されていることから、大学間共通で活用することが可能であり、演習問題に関しても、基礎化学分野であれば共同使用可能で、また大学間で同じ問題により試験を行えば、その回答結果を比較することで学習効果の測定に寄与する可能性もあるとの意見があった。 以上により、今後の委員会の活動としては、①実験に必要とされる予備知識の習得を目的とした動画のデータベースの構築、②演習問題、試験問題のデータベースの構築を検討していくこととした。なお、②に関しては、10分テスト、期末テスト等各種試験問題を蓄積することとし、また、複数の大学が、定期的に共通の問題によって試験を実施するなどの条件付けやシステムを構築することとした。なお、データベースのインターフェースや機能、データの整理方法については継続して検討することとした。 次回委員会では、委員各自それぞれ①グループと②グループに分かれ、データベースに登録するのに望ましいと思われるデータやその案を持参することとした。分担は下記の通り。
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