社団法人私立大学情報教育協会
平成17 年度第5 回化学教育IT 活用研究委員会議事概要

T.日時:平成18 年3 月17 日(金)午後2 時から午後4 時まで


U.場所:私情協事務局会議室


V.出席者:小中原委員長、高野副委員長、堀合、伊藤、庄野、幅田、木村各委員、井端事務局長、木田

W.検討事項

1.報告書の授業モデルについて

(1) 産学官連携による遠隔安全教育


はじめに、高野副委員長より、産学官連携による安全教育のプログラムについて説明がなされた。
詳細は以下の通り。

授業モデル:社会と連携する大学
(産官学連携,実践的な理工学教育・人材育成)

コラボレーション講座(企画案)

安全・安心な社会形成における社会と連携する大学
コラボレーション講座「化学物質の取り扱い方法と安全教育」

<目的>化学物質の取り扱い方法と安全教育は,教育現場および生産現場において重要な課題のひとつである。
本講座は,産官学連携による共通の理解をとおして,危険予知情報を含む安全教育の標準化を議論する。ここでは,日常の安全教育を補完するコラボレーションという非日常的な手法を用いて,大学における学生および生産現場における技術者の「化学物質の取り扱いと安全教育」への理解と共通認識を深める。

<形式>音声を伴うインターネット双方向通信,1 回のみ,70 分程度
<日時> 2006年7月15日(土)10:30-11:40(未定)
<対象>私情協加盟大学の教員・学生,事業所
<後援>文部科学省,経済産業省,厚生労働省,環境省(検討中)
<内容>
キーノート:危険予知情報の標準化と産官学連携の強化 (4分)
 同志社大工学部 高野頌氏


基調講演1:安全・安心な科学技術政策における安全教育 (ビデオ出演:3分)
 文部科学省 安全・安心科学技術企画室長兼計画官付企画官岡村直子氏

基調講演2:化学物質の安全管理政策の考え方 (ビデオ出演:3 分)
 経済産業省 化学物質管理課長 獅山有邦氏


事例紹介1:化学薬品の取り扱いとMSDS情報 (5 分)
 大学工学部


事例紹介2:濃硫酸と水との瞬時反応 (5 分)
 大学理工学部


事例紹介3:実験施設における高圧ガスの安全管理 (5 分)
 大学工学部


事例紹介4:化学工場における静電気爆発の防止対策(5 分)
 関西ペイント(株)小野事業所 所長中島安男氏

事例紹介5:労働安全における有機溶媒の目でみる安全管理活動 (5 分)
  出光興産(株)愛知精油所 所長 川島 一元氏

事例紹介6:化学装置の安全生産技術活動(折衝中) (5 分)
  住友化学(株)本社生産技術部長上垣 正俊氏

総合討論 (30分程度)

<付記> 社会との連携いう意味ではもっと連携の具体的なイメージが必要だが,本企画では,教育機関としての大学の特長を生かして,学生および技術者を対象とする「安全教育」に焦点を絞る。今後,IT活用としてインターネットだけではだめで,データベース情報の共有や活用の連携網などの新たな「提案」が必要。

また,今回は「対象」を私情協の小グループによる試行に限定するが,さらにオープン化するのかは次世代学術情報ネットワーク(SINET3)整備などの動向を含め今後の検討課題。

以上の説明を受け意見交換した結果、今後の検討課題として以下のような事項が挙げられた。

 

○プログラムについて

  • 事例紹介1〜3の担当者を確定する。暫定的に、2は木村委員、3は堀合委員とした。
  • 文科省の岡村氏、経済産業省の獅山氏のビデオ撮影場所を確定する。

○接続環境・拠点数

  • テレビ会議システム等の専用機、あるいはインターネットブラウザベースの会議システムのどちらを用いるのか。いずれを用いる場合でも、大学のネットワーク環境(主にファイアウォールの設定)を変更が生じることが予測されるので、情報センターに協力を仰ぐ必要がある。
  • 参加するのは委員の大学とするが、接続拠点数が使用機器に依存する(テレビ会議専用機は4地点、インターネット会議システムでは10 地点)ので、次回までに使用機器と参加大学を確定する。


(2) 実験動画を用いた授業事例
高野副委員長より、実験動画データベースについて報告がなされた。要旨は下記の通り。


○趣旨

  • 作成した実験動画の目的は、実験テーマの内容を理解することではなく、実験する上での手順・操作方法、安全管理上習得すべき知識を理解させることにある。
  • 動画の収録時間は30〜60秒程度とし、教員誰もが自分の授業に合わせて部品的・素材的に
    使うことができるよう工夫をした。


○授業モデル

  • 同志社大学のe-ラーニングシステムに付属する動画配信機能を用いて、春学期に学内に限定して学生向けに配信する。厳密な授業効果を計測することはできないが、学生に対してアンケートを実施し、実験動画が参考になったか、または事前学習のためにアクセスしたのかどうかなど調べることにする。また、同志社大学では化学系の学科が2つあるので、一方には配信し他方には配信しないことで、効果の比較検討も予定している。また、今回欠席された及川副委員長より、実験動画を収録したDVD を事前に送付いただいたので、コンテンツの紹介がなされたとともに、高野副委員長に引き渡された。

(3) 試験問題・演習問題データベースを用いた授業事例


事務局より、試験問題・演習問題データベースのシステムについて説明がなされた。要旨は下記の
通り。

○ 担当委員より事前にWord ファイルにて送付いただいた有機化学の試験問題を、本システムを用いて伊藤委員に作成いただいたカテゴリーに振り分けWeb 上にアップロードした。このシステムでは、複数の階層別にカテゴリーを生成し、各階層に該当する試験問題を登録することが可能である。また、利用者からのフィードバックを得るためのコメント機能を有している。


○ 現在http://www3.juce.jp/blog/chem/ にアップロードしているが、まだテスト運用の段階にあるので、アクセス制限を掛けている。


(4) コア・カリキュラムについて
伊藤委員より、“Core ChemistryGroup ”に関する説明がなされた。要旨は以下の通り。

このグループは、EC を中心とした大学の化学教育に関するネットワークである。このレポートは、加盟各国の大学における化学教育のカリキュラムを比較検討するために取りまとめたものである。1997年には有機化学と物理化学、1998年には分析化学と無機化学のカリキュラムを調査した。具体的なデータとしては、科目名、配当時間数、学習項目、学習内容が掲載されている。


その後、報告書でのコア・カリキュラムの扱いに関して再度意見交換したところ、事務局より下記
の旨の説明があった。

ここでのコア・カリキュラムは、コアとなる科目を抽出し、それぞれに到達目標を付与すことを想定している。委員会によっては、到達目標まで考案したところもあれば、科目の抽出に留めたところもある。報告書の本文中では、授業を通じて学生に身に付けて欲しい能力などに触れていただきたい。

(5) 報告書の執筆分担について
以上を踏まえ、報告書の執筆分担を協議した結果、下記の通りに担当いただくこととなった。

1.コア・カリキュラムを意識した教育の到達目標小中原委員長、伊藤委員
2.教育現場での課題小中原委員長、伊藤委員
3.授業改善のための授業設計・開発・運営の方向性小中原委員長、伊藤委員
4.IT を活用した授業モデルの事例紹介高野副委員長統括
○産学官連携による安全教育
○化学実験動画を用いた授業
○化学試験・演習問題データベースを用いた授業
⇒単にデータベースの紹介に留まらず、掲載された試験問題を学生の理解度把握のために実際に用いた授業事例とする。
5.IT 活用に伴う課題及川副委員長