社団法人私立大学情報教育協会


平成17年度第2回歯学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成17年7月19日(火)午後5時から午後7時まで

U.場所:私情協事務局会議室

V.出席者:神原委員長、那須、小菅、河合、上村各委員、森實アドバイザー、井端事務局長、木田


W.検討事項


1. 4大学間による遠隔授業実験について

 本年12月に東京歯科大学、日本大学松戸歯学部、愛知学院大学、大阪歯科大学間で遠隔授業実験を実施することとなったが、今回は必要となる環境及び授業実施の目的について確認がなされた。

 まず、河合委員より、15年度、16年度に遠隔授業を実施した際の環境について下記の旨の説明がなされた。
  15年度は3万円程度の安価なWebカメラ(iSight)とチャットシステムを用いて愛知学院大学と大阪歯科大学間で実施した。16年度はテレビ会議システムPolycomと即時回答テストシステムを用いて愛知学院大学、大阪歯科大学、東京歯科大学間で実施した。なお、Polycomには親機と子機の二種類あり、親機一台につき3機の子機を接続することが可能である。即時回答テストシステムは、学生に携帯電話によりテストの回答を送信させ、即時に回答結果を集計しWeb画面上に結果を表示することができる。回答結果は、CSVにより出力されるため、事後的に解析することも可能である。
  なお、愛知学院大学では、16年度にモンゴル大学との遠隔授業を実施し、その際にもPolycomを用いた。モンゴルでは、地上回線が整備されていないため、衛星を用いて米国、イギリス経由で接続した。そのため、回線速度は64kbpsと低速であったが、画質、音質はともに実用に耐えられる品質であった。
  なお、Polycomには会議の様子をリアルタイムでストリーミング配信することが可能であり、今回参加しない大学もPCを準備すれば閲覧することも可能である。

 次に、今回の遠隔授業実験の実施目的について、神原委員長より下記の旨の説明がなされた。

 今回の授業実験では、即時回答テストシステムを活用し、大学間で得点を競うことによって、学生の学習意欲を向上させること、大学間で授業内容を公開することによって、教育内容の標準化を図ることである。特に後者については、コア・カリキュラムに対応した授業科目においては必要不可欠な要素であり、また標準化のみならず、教員間が教授方法を相互に修練することよって授業内容を高度化することも可能である。さらに、授業を録画することによって、大学のOBなどを中心に第三者評価のために使用することも可能となる。
 
以上、次回委員会では、各大学の環境について検討することとした。なお、Polycom等テレビ会議システムが設置されていない日本大学松戸歯学部、東京歯科大学については、私情協の賛助会員である松下電器産業株式会社に技術提供いただくため、事前に事務局が折衝することとした。

2. 報告書の内容について

 事務局より、18年度11月に発刊を予定している学系別教育IT活用研究委員会の報告書について下記の旨の説明がなされた。

 学系別教育IT活用研究委員会では、5年に一度研究成果を集約した報告書を上梓しており、次回は18年度11月の発刊を予定している。よって、本年度の委員会活動は、報告書の作成に向けて、内容の検討や題材の収集を行うことにしている。なお、1委員会20?25ページ程度で3?4の授業事例を紹介することにしている。
  今回の報告書では、単にITを活用した授業事例の紹介に留まらず、5年先を見据えた内容としたい。具体的には、中教審大学分科会の答申「我が国の高等教育の将来像」において、今後10年?20年のうちに各学問分野別のコア・カリキュラムを作成することが提言されたことを踏まえて、コア・カリキュラムを想定し、具体的な教育目標の達成に向けて有効な教育方法を紹介することにしている。歯学分野では、既にモデル・コア・カリキュラムに基づき各大学ともコア・カリキュラムを編成していることから、各到達目標の達成に効果を挙げている授業モデルを紹介いただきたい。
  なお、授業モデルについては、極力委員が実践されている事例を紹介する方針だが、場合によっては「私立大学教員による授業改善に関する調査」回答結果より、興味深い授業を実施されている教員からヒアリングを行うことで、情報を収集されたい。
以上、次回委員会では、報告書における授業モデルを検討することとし、委員各位、実践されている授業事例がある場合には紹介いただくか、あるいは今回配布された調査結果より興味深い授業事例があった場合には、抽出いただくこととした。

3. その他

 森實委員より、British Medical JournalのABC of learning and teaching in medicineについて紹介がなされた。これは、医歯学教育におけるカリキュラム編成、PBL、教育環境、WBT、教材作成方法に関する論文が掲載されているオンラインジャーナルである。詳細は、下記URLを参照されたい。

http://bmj.bmjjournals.com/cgi/search?SERTITLE=%22ABC+of+learning+and+teaching%22&&
journalcode=bmj&&hits=20