社団法人私立大学情報教育協会
T.日時:平成16年1月24日(土)午前11時から午後1時まで U.場所:私情協事務局会議室 V.出席者:北出委員長、鈴木、小林、原田、山本、ルースベン=スチュワート、田中委員 井端事務局長、木田 W.検討事項 1.今後の委員会活動について 前回の委員会にて決定した通り、委員各位より今後の活動方針案を事前にメールにて送信いただいた。今回は各委員に提案事項を説明いただいた。 <田中委員> 本委員会としても、加盟校の授業改善や教育支援に資する活動を標榜していくべきである。しかし、何か大掛かりなシステムを開発することは人的に不可能であることから、英語教育に有用な共通プラットフォーム等の情報やその他の教育サービスを提供すべきである。また、大学間でIT・マルチメディアの利用度に厳然とした温度差が存する。教員間でコラボレーションしていくには、まずその温度差を改善していくことが必要である。以上のことから、今後取り組むべき活動内容としては、以下のものが考えられる。 ・Communication(研究者間の意見交換及びソフト開発) 英語教員の教育研究内容のデータベース化や英語教員が共通して用いることのできるソフト開発の支援 複数の先進大学にソフト開発を依頼・支援するとともに、そのソフトの著作権を私情協が所有し、後発大学の教育支援に活用する2階層の支援体制が考えられる。 LL教室やCALL教室に機器やソフトを導入する際に、教員の知識不足により真に必要とされるものを導入できず、有効活用できないケースが多い。そこで委員会として情報インフラに関するガイドラインを作成する。あるいは、調査を行い、優れた大学をピックアップし広報活動や見学の照会を行う。 設備の充実と教育内容の向上に伴って、英語教員間の情報交換を目的としたネットワークの構築、ポータルサイトの設置が必要となる。優れた教育方法やソフトの情報を共有化することにより、より教育の質的向上が望めるのではないか。 <原田委員> 各大学では教員向けの情報技術の講習会など開催されているが、相変わらずワープロソフトの使い方を中心とした内容に終始している。また、CALL教室等の情報インフラを整備する時は業者主導で施設されるため、出来上がったものが教員のニーズにそぐわない場合が多い。さらに、コンピュータ教室で授業をする場合にTAや職員が授業内容を把握していないため、サポートどころか却って足手まといになり授業運営に支障を来すこともある。以上のことから、委員会として取り組むべき課題として下記のものが挙げられる。
その他に、CALL教室やITを用いて授業を行う場合、コンテンツ数が不足している問題がある。学校間で共有化することも考えられるが、CALLやLMSの仕様が異なるため、相互利用することができないケースが多い。その他に、コンテンツを大学外、例えば教科書出版社には英語テキストが多数存在しているが、未だ電子化さていないコンテンツが多いため、利用できない。そこで、コンテンツの側面からは下記の課題を挙げることができる。
<小林委員> 大学間が共通で使用できるLMSの規格化は必要であるが、仮に規格化されたと前提すると、次に必要とされるのはLMSに登録するコンテンツである。例えばビデオ動画、音声教材を考えてみると、英語教材の素材として扱えるコンテンツは多数あるものの、著作権の問題上容易に用いることは不可能であり、また一大学だけで作成するにも限度がある。そこで、大学間で共通して使用することのできる著作権フリーの英語ビデオ教材を作成し、ネットワーク上にアーカイブ化することが必要とされるのではないか。内容的には、身近な出来事(例:自分の育った環境の紹介、子供時代、学校時代、友達のこと・・・)をテーマとした3〜4分程度のビデオで、作成のための手順は、適当なテーマを決定した後に、教養ある英語母国語使用者にスクリプトを書いてもらい、それを日本人に点検してもらい、スクリプトを煮詰めた上でビデオ収録する。 <鈴木委員> IT社会化に伴い、学習者の「学び」の形態は変容を迫られている。例えばLMSを活用すれば、学生は「いつでもどこでも」学習することが可能となり、学校では学生が事前に学習した内容を確認・整理し、主体的に学ぶことを支援する場になると思われる。そのようなIT環境を前提とした英語教育のサポートを行うことはできないだろうか。教材を作る立場からすると、プリント教材を作成するようにマルチメディア教材を作成することのできる環境や、使用する側であれば、手間の掛からない使いやすいインターフェイスを検討することなど考えられる。また、大学の環境的制約や非常勤という立場から、ITを活用したくてもできない教員も多数いると思われる。そのような教員にもIT環境への参与を促すために、私情協として英語教員専用の授業ページを開設することなどできるのではないか。 <ルースベン=スチュワート委員> 現在直面する問題を大学、学生、教員の側面から考えると、まず大学は教員のニーズに注意を払わないため、自分にあったカスタマイズのできない非常に高価なシステムを導入してしまうということが挙げられる。次に、学生に関する問題点を挙げると、多くの学生は高速なインターネット回線を有せず、また情報リテラシーも低い。教員については、ITを活用することにより語学教育を改善することができると考えているものの、時間的、汽船的な制約、サポート体制の欠落のため、コンピュータを用いることができないという問題が考えられる。 以上の問題を解決するための本委員会の活動指針としては、 を考慮する必要がある。以上を考慮した上で、具体的な活動として下記の4つを提案したい。 ・インターネット上のデータベース構築 CALL関連の有益な情報はインターネット上で多数公開されているが、一つ一つを探し当てるのには手間が掛かるので、それらの情報を一括して管理するデータベースが必要。 特殊なソフトを必要とせずに、学生のニーズに合わせた演習を課すことのできるオーサリングソフトはインターネット上でも既に公開されている。(例えばHotPotates)そこで、委員会として、地域別、学生能力、学習内容のレベル別に問題作成者のグループの組織化をコーディネートし、英語教員にオーサリングソフトの使用方法を教示する。 LMSは、CALLと対面授業を融合するための可能性を有している。以前は高価なシステムを購入しなければならなかったが、最近はオープンソースで個人レベルでも運用できるLMSも出てきている(例えばMoodle)。そこで、LMSを構築し、地域別にオンラインクラスを創設し、他大学間の教員同士のコミュニケーションや、学生間で協調学習を促進することが可能ではないか。 (ルースベン=スチュワート委員には自身のホームページ並びにmoodleの操作画面と合わせてプレゼンテーションいただいた。) ※安間委員、田口委員にも事前に提案をいただいたが、当日欠席されたためここでは割愛させていただく。 以上、次回委員会では、各委員の提案を北出委員長に集約いただき、今後の活動内容・方針を決定することとした。 |