社団法人私立大学情報教育協会 Ⅰ.日時:平成16年7月10日(土)午後6時から7時30分まで Ⅱ.場所:私情協事務局会議室 Ⅲ.出席者:北出委員長、安間副委員長、鈴木、小林、山本、田中委員、井端事務局長、木田 Ⅳ.検討事項 1.授業事例の報告 <小林委員>
小林委員より、自身が研究代表者を務められるThe SFR E-Learning Project の活動について報告いただいた。このプロジェクトは、2006年度に学部1年生の全学共通カリキュラムとして、e-Learningによる授業科目が必修化されることに伴い発足したもので、2003年より立教大学学術推進特別重点資金の助成を受けている。目的は、語学教育支援用e-ラーニング教材作成と使用のための共同利用システム開発であり、具体的には、マルチメディア教材の作成および使用、e-Learningクラスの編成を行っている。 e-Learningのシステムとしては、富士通のInternetNavigwareと独自開発によるWebASC(web based aoutmatic siken creator)を利用しているが、WebASCでは、ブラウザ上で穴埋め問題または選択式問題を出題し、自動採点が可能である。小林委員は、ビデオファイルにより学生にリスニングさせ、問題を出題するというように利用している。また、問題はブラウザ上で作成することが可能であり、学習者のログを確認することができるが、データベース等を用いて登録しているのではなく、問題ごとにIDを入力するため、成り済ましが生じる問題を孕んでいる。 InternetNavigwareは、学生個々をデータベースに登録することが可能であるため、学生の学習履歴や進捗状況の確認が可能である。また、WebASCと同様に、穴埋め問題や択一式問題の生成も可能であるほか、テストの出題回数や時間の設定も可能であり、WebASCよりも機能的には優れている。また、教員同士教材の相互参照を行うため、ダミークラスを設けている(個々のクラスにアクセスするためには、それぞれユーザー登録しなければならず、その手間を省力化するため)。 InternetNavigwareは2004年の秋より試験的に導入を予定しており、当面は教員の作成した教材により授業を行うが、教員が教材作成することには限界もあるため、将来的には市販の教材の利用や開発の委託も計画している。また、e-Learningクラスでは、2週間に一度対面による指導を行う予定であるが、立教大学の一学年の学生総数は3500人、e-Learningクラス1クラスの学生数は70名を予定しており、1週間で50コマの授業をPCの設置された教室で行う必要が生じる。現段階では教室数が足りないため、LL教室の改築やコンピュータセンターのPC教室の借用などを計画している。 【質疑】 Q:将来的に教材作成を業者に委託するという話しがあったが、大学の英語教育を業者に丸ごと委託することになるのではないか。 A:通年で4コマ英語科目が必修科目となっており、そのうちの1コマをe-Learningクラス化し、残りの3コマは少人数制の対面による授業を行う。あくまでもe-Learningクラスを設けるのは、少人数制の授業の充実化を図るための方策である。 Q:e-Learningクラスは1年生を対象に実施するとのことであったが、2年生3年生の英語科目との連携などは考えているのか。 A:2~3年生では、英語科目は必修科目ではないので、受講したい人だけが受講するようになっている。よって、特に連携は考えていない。 【意見】 ・e-Learningクラスを他の科目から独立させるよりも、例えば残りの3コマの授業でもITを導入すれば、教員―学生間あるいは学生同士のインタラクションが可能となるし、科目間での連携を図ることもできる。 ・e-Learning導入の目的が、授業の合理化を図るという印象を受けた。E-LearningやLMSの活用方法は、大学の経営戦略や教員個人の考え方に比重が置かれることを認識した。 ・ITは、物理的な障害を解消するという意味では合理的に活用できる。例えばレポートのオンライン提出などは最たる例であるが、単に労力の軽減と考えてはならない。 ・動画コンテンツを導入しても果たして本当にリスニングのシステムとしてそれを位置づけているのか、あるいはそれを活用して学習者がどのように学んでいくのかという観点がないと、単なるティーチングマシンになってしまう。 ・コンピュータを使うと多くの人々との情報共有が可能となり、また現実の世界では対応できないほどの様々な人とのインタラクションもできるが、その中で学習者は自ら主体的に学ぶようになり、教員は学習者の主体的学習を支援するような教授法に変えなければならない。従来の対面型の授業をIT化するだけでは単に労力が増すだけである。そのような発想が無い限り、英語教育のIT化は促進されないのではないか。 2.その他 次回委員会では、淡路委員、鈴木委員よりITを活用した授業事例を紹介いただくことした。 |