社団法人私立大学情報教育協会 平成17年度第2回栄養学教育IT活用研究委員会議事概要 Ⅱ.場所:私情協事務局会議室 Ⅲ.出席者:中川、市丸、酒井、小野坂、石崎、室伏、井上各委員、木田 Ⅳ.検討事項
1. 報告書の方針について
(1) 管理栄養士課程におけるモデル・コア・カリキュラムとITの活用 酒井委員より、名古屋女子大学における授業録画の取組みについて紹介があった。 今回紹介いただいたのは、酒井委員が担当される授業科目「栄養教育実習」の、学生による調理デモンストレーションの録画風景である。調理デモンストレーションでは、4~5人のグループを編成し、集団栄養指導を模して、実際の調理をしながら聴衆(にここでは教員と他の学生達)に対しPowerPointを用いて献立の説明を行う。さらに、PowerPointの他にも献立の説明資料としてパンフレットの作成も行う。なお、今回紹介いただいたビデオは、固定アングルによって撮影され、収録時間は50分程度である。その他に「栄養教育自習」では、個別栄養相談の手法に関する指導も行っている。個別栄養相談のデモンストレーションもビデオ撮影しており、こちらは収録時間が20分と短いことから、授業中に視聴させて問題点などディスカッションさせている。今後の課題としては、授業の性格上やはり栄養教育の技法を教授することが中心となってしまい、検査データの測定方法や理論的な説明が弱くなってしまうことから、医師や栄養アセスメントの専門家と連携を取ることが挙げられた。 このビデオについて、質疑応答および意見交換を行った。要旨は以下の通りである。
<ビデオの公開について> Q1.このビデオは外部に公開されているか。 A1.現在は公開されていない。録画したビデオを実習室に置いて学生がいつでも観られるようしている。このビデオをFDに活用したいと考えているが、他の教員の授業内容に対して意見を述べたがる教員があまりいないことがネックである。 C1.面と向かっては意見を言い辛いから、ビデオをデジタルコンテンツ化し、サーバーから配信してメール等で意見を集めるのが適当ではないか。 C2.カメラのアングルによって、発表用のPowerPointを見ることができない。広く閲覧されることを望むのであれば、カメラは発表者に固定し、スライドはオーサリングツールを用いて動画と同期を取るような仕組みが必要ではないか。 C3.大学と比べ、保健所や健康センターではIT化の普及が遅れている。私情協を通じてこのような動画を配信することにより、社会的にIT化をアピールすることも必要ではないか。
<授業内容について> Q1.この授業の対象学年は? A1.3年生。この辞典で臨床栄養学、栄養情報学、調理学を修了しているから、それらを統括する科目と位置づけている。 C1.昨今はカリキュラム上臨床栄養学に比重が置かれ、調理が軽視されがちであるが、栄養士たる者単に献立の作成のみならず、やはり調理ができてこそアイデンティティを確立できるのではないか。その意味でこの授業内容は評価できる。
次に、石崎委員より「各科目間の関連性におけるIT活用方法」について説明がなされた。 前回の委員会で「管理栄養士要請課程におけるモデル・コア・カリキュラム(案)」に関して意見交換した際に、モデル・コア・カリキュラム(案)中の項目「教育方略を明示する」、「関連専門職種間の連携」に注目し、報告書でもこれらを実現する手法としてのIT活用方法を紹介する方針となった。それを受けて、石崎委員より、「関連専門職種間の連携」を実現するための科目関連のモデルと、それぞれの科目におけるITを活用した教育法略を提起いただいた。
まず、科目間の連関性では、基礎栄養学に始まり栄養教育論に至るまでの到達経路を意味するモデルが提示された。具体的な到達経路として掲げられた科目は、基礎栄養学→公衆栄養学、臨床栄養学→応用栄養学→栄養教育論である。 次に、各科目の教育方略が提示された。基礎栄養学、臨床栄養学、公衆栄養学、応用栄養学では、学習支援システムを活用した事前事後学習などが考案されたが、栄養教育論では学習内容の性格上、ロールプレイング、グループ学習、プレゼンテーションが主体になることから、例えばロールプレイングの様子をカメラで撮影し、遠隔教室からのリアルタイムによるモニタリングが提案された。 特に学習支援システムの活用は、学生のモチベーションを向上させることに有効であると考えられるが、教員が教材を掲載するための時間が無いことが課題として挙げられた。また、他大学でも実施されているが、武庫川女子大学では管理栄養士国家試験の過去問をWebから配信しており、自学自習を促進させるための手法として効果があるとの説明がなされた。
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