社団法人私立大学情報教育協会
平成17年度第4回医学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成17年12月15日(木)午後6時から午後8時まで

U.場所:私情協事務局会議室

V.出席者:内山委員長、増田、高松、中木、渡辺各委員、井端事務局長、木田

W.検討事項
 
  1.18年度発刊予定の報告書について

18年度発刊予定の報告書の方針として、本委員会では、(1)基礎学力補充のためのIT活用授業モデル、(2)PBLにおけるIT活用授業モデル、(3)OSCEに向けたIT活用授業モデル、(4)EBMに向けたIT活用授業モデルを取り上げることにした。今回は、分担及び具体的な授業事例を選定することにした。

(1)基礎学力補充のためのIT活用授業モデル

前回報告いただいた昭和大学の渋谷まさと氏の授業事例は、基礎科目の授業時間が短縮されるなか、それを補足するためにWeb上の生理学教材を有効活用されていることから、ここでの候補とすることにした。
また、渡辺委員より、関西医科大学の「組織学」の授業にて、Web上の組織画像と教材を用いて授業を行った結果、従来のアナログ型の授業形態と比較して10%程度成績が向上した旨の紹介がなされた。これに関して、高松委員より、アナログ型の授業形態とWeb教材を活用した授業形態の授業効果を比較するため、大学間で共通テストを行い、成績を競うことによって効果はより明確化されるのではないか、との提案がなされた。
また、中木委員より、次回委員会にてこの授業モデル関する実践例を紹介いただくことにした。

(2)PBLにおけるIT活用授業モデル

東京女子医科大学ではPBLチュートリアルを伝統的かつ先進的に取り組まれていることから、次回委員会にて吉岡委員にモデル紹介を打診することにした。また、前回報告いただいた中澤委員の授業事例も、開業医や臨床医を務める卒業生の協力を得て掲示板を用いたPBLを実践されていることから、候補にすることにした。

(3)OSCEに向けたIT活用授業モデル

OSCEにおけるIT活用方法としては、「学生の臨床実技や態度をビデオ収録してフィードバックすること」、「教材の提示」などの意見があったが特色的な活用方法とは言えず、一方で「臨床手技や態度は実習や教員の直接的指導でないと習得できない性質のものなので、IT化とそぐわない面もある」との意見もあった。しかし、「東京慈恵会医科大学では、日本では他に類を見ない規模のOSCEセンターを設置しており、特色的なIT活用方法も期待できる」との意見があり、次回委員会までに東京慈恵会医科大学の福島統氏に資料提供またはヒアリングを打診することにした。

(4)EBMに向けたIT活用授業モデル

渡辺委員より、関西医科大学で実践されているEBMについて説明がなされた。
関西医科大学では、学部3年生を対象とした「医療情報学実習」のなかでEBMを指導している。具体的には、EBMのシナリオに従い実際の患者データを多変量解析するが、開講時期が3年生の前期であるため、学生は疾患を未習のまま指導を受け、十分に指導が行き届いているとは言えない。そこで、大学院1年生や研修医を対象として、改めてEBM単独の授業を実施している。
EBMでは高度な統計的手法を要するが、統計から導入すると学生の理解が望めないので、EBMの一連の流れから入り、学生の拒絶反応を解消することを心がけている。

以上の説明を踏まえて、次回委員会では渡辺委員により詳しい情報を提供いただくことにした。