社団法人私立大学情報教育協会
第2回会計学教育IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成15年8月25日(月)午後2時から4時まで

U.場所:私情協事務局会議室

V.出席者:岸田委員長、椎名副委員長、高松、黒葛、金川委員、井端事務局長、木田

W.検討事項

(1)会計学入門教材データベースについて

 【1】会計情報システム

 金川委員より、前回委員各位からあった指摘を踏まえて作成された、会計情報システム(システム開発)の修正項目案が提示された。なお、修正箇所は下記の通りである。

  • 2章のタイトル「会計情報システムの要素」を「情報システムの要素」に修正。
  • 2章の項目「勘定コード」を「コード体系」に修正。
  • 3章タイトル「会計情報システムの開発・設計」を「経営情報システムの開発・設計」に修正。
  • 「業務システム」、「取引処理システム」を新たな項目として加える。
  • 4章の項目データベース、テーブル、フォーム、クエリ、レポートをデータベース設計に修正。
  • 新たに8章として「取引処理システム」を加える。

 会計情報システム(システム開発)の項目については、今回の案をもって確定することが承認された。それに伴い、金川委員より、会計情報システムの教材としては、他の会計分野と異なり、ビジュアル化できるものが少ないことから、今後どのようなWeb用コンテンツを収集していくか検討するべきであるとの提案があり、意見交換したところ下記の旨の意見があった。

  • バッチ処理であれば、情報処理センター等で一連の作業をビデオ化することは可能であるが、データの流れを視覚化することは困難で、CGなどを用いるしかない。
  • 実際の企業のデータなどがあれば、視覚的なものでなくても教材として有効活用できるのではないか。

岸田委員長より、実際に企業にて使用されている業務用ソフトのデータベース・フォーマットを提供可能であるとの意見があったことから、次回委員会にて委員長よりフォーマットを提示いただき、教材としてどのようにカスタマイズできるか意見交換することとした。

【2】 簿記原理

 椎名副委員長より、簿記原理に掲載する教材のサンプルの提示があった。この教材はPowerPointにより作成され、簿記原理の項目案に対応して、概念の説明や図表、フローチャートのアニメーション化がなされている。この教材は、教員が板書や口頭での説明が困難な場合に使用することを想定して作成されており、今後は手形や荷為替などの画像の掲載や、ナレーションの取り込みを計画しているとのことである。

 なお、画像に関しては、岸田委員長より数点提供可能であるとの補足説明があった。

【3】 財務会計

高松委員より、Excelを用いた一問一答形式の演習問題シートの提示があった。以前はPerlを用いて作成していたコンテンツを、Excelに移植したもので、解答欄に解答を記入すると、予めセルに入力された関数に基づき1クリックで正誤判定が可能となる。なおこのエクセルシートは、問題文を変更すれば他の分野でも活用可能である。

【4】管理会計

 岸田委員長より、前回に引き続き短期予算作成のためのプログラムについて説明があった。このプログラムは、目標利益の設定、予想損益計算書(損益分岐点分析、利益図表、損益計算書、製造原価との関連)、資本利益率(回転率×売上高利益率の関係)を自動計算により求めることが可能となり、また計算結果に対応してグラフも自動作成される。

前回では一部バグがあったため実行できなかったプログラム(数値入力によるグラフの変動)を中心として説明がなされた。以下、本プログラムの特徴ついて下記のような説明がなされた。

  • このプログラムを用いることで時間的に効率化を図ることは可能となるが、学生には計算式の理論的展開や意味の必要性を理解させることができない、と思われるかもしれないが、計算時間を効率化できる分、講義によって理論や概念を理解させることが可能となるので、その心配は無い。
  • 昨今の学生は、従来の教育方法ではなかなか興味を持たないため、興味を惹き起こすためにやむを得ずこのようなツールを使用している。また、授業時間が十分に確保できるのであれば、このようなツールを用いるよりも、一つ一つ手計算させたほうが身に付くと思う。

 次に、管理会計の項目案について説明があった。要旨は下記の通りである。

この項目案は、以前提示された岸田委員長自身の授業シラバスを、データベース向けに修正したものである。以前に比べると、標準的な管理会計の体系に近づけているが、具体的な事例を提示しないと学生が興味を持たないため、ケーススタディを1セクションとして、それを解決するために各項目があるという構成にしてもよいかもしれない。

以上、今後のスケジュールとしては、来年4月までに教材をWeb上に掲載することとし、次回委員会では継続して、委員各位登録可能な教材を持参することとした。また、教材をそのまま掲載しただけでは、誰も使わない可能性もあるので、それぞれ使用方法や使用目的なども併せて掲載することとした。

なお、「会計情報システム」のデータ解析型の項目案は、黒葛委員が作成することとした。