社団法人私立大学情報教育協会
平成17年度第3回会計学教育IT活用研究委員会議事概要
T.日時:平成17年9月22日(木)正午より午後2時まで
U.場所:私情協事務局会議室
V.出席者:岸田委員長、椎名副委員長、高松、黒葛、阿部、金川各委員
井端事務局長、木田
W.検討事項
1. 会計学教育におけるコア・カリキュラムについて
はじめに、椎名副委員長、阿部委員より会計学入門のコア・カリキュラム案について報告いただいた。前回まで椎名副委員長、阿部委員は一般学生を対象とした財務会計を担当されていたが、カリキュラム案を検討していくにつれ、一般的な会計学の内容に近似したことから、新分野として「会計学入門」を設け、両委員に担当いただくこととなった。
今回の案では、下記の学習項目に対して、具体的な到達目標と関連するキーワードを付与いただいた。詳細は、前回配布された資料を参照されたい。
会計学入門(または教養としての財務会計論)コア授業内容モデル(案)
【1】 会計の意義
【2】 企業会計の特徴(企業における会計の意味)
【3】 複式簿記の構造の理解
【4】 貸借対照表の構造とその分析
【5】 損益計算書の構造とその分析
【6】 キャッシュ・フロー計算書とその分析
【7】 連結財務諸表のしくみ
【8】 その他
なお、先述した通り、当初は一般教養としての財務会計を考案していたため、高松、河崎委員の財務会計案が会計専門職を目指す者を対象としたカリキュラムであるのと対称に、会計情報を利用する側に必要な知識体系を取りまとめていることが特徴である。
本案について、椎名副委員長自身より、ITを活用した教育方法の教育効果をどこまで計測できるか懸念があるとの意見があったが、岸田委員長より、自身が名古屋学院大学で会計学入門を担当しており、実際に教育効果を測定していることから、今後必要に応じて助言を得ることとなった。
次に、高松委員より、財務会計のコア・カリキュラム案について報告がなされた。今回の案は、前回提出いただいた案に修正を加えたものであるが、さらに今回は米国の財務会計テキストの目次を抽出いただき、比較検証を行った。
カリキュラム案については、「会計学入門のカリキュラムとの連関性と境界を明確化するためにも、用語や概念の見取り図を作成することも検討すべきである」と説明がなされた。
また、米国では、アメリカ会計学会の会計教育改善委員会による提言に則った教科書が複数出版されており、内容的にはキャッシュ・フローを中心に構成されている。それを受けて、財務会計カリキュラム案でも意思決定に役立つ会計情報を意識して整理がなされているが、「他の会計分野でもこのような国際的な会計教育の変容を取り入れるべきか否か検討すべきである」との説明がなされた。
次に、財務会計コア・カリキュラムにおけるITを活用した教育方法について下記の旨の報告がなされた。
コア・カリキュラムのような授業モデルに基づき、学生の要望に応えるための創造的な教育を行うためには、授業モデルに適合した教科書である。しかし、学生は年々教科書を買わなくなりつつあるため、それを補足するための予習、復習、対面授業用のIT教材が必要である。IT教材としては、Web上に講義資料(PowerPoint、動画)、関連資料(有価証券報告書、財務報告書など)、クイズ、Q&A、用語解説、リンク集、さらには教科書本文も掲載することが考えられるが、教員個人で全てを賄うことは困難であり、どのように効率化を図るか検討すること課題である。
以上の高松委員の報告について、下記の旨の意見があった。
・学生が教科書を買わなくなった理由として、教科書の内容と教員の話す内容に連関性が無いので、購入する意味がないと学生自身が述べている。
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