社団法人私立大学情報教育協会

平成 17 年度第 5 回会計学教育 IT 活用研究委員会議事概要

 

T.日時:平成 17 年 12 月 22 日 ( 木)午後3時からより午後6時まで

U.場所:九州産業大学1号館7階中会議室

V.出席者:岸田委員長、椎名副委員長、高松、黒葛、木本、阿部、金川、福浦各委員、木田

V.検討事項

1.報告書の授業モデルについて

(1)会計学入門

はじめに、阿部委員より会計学入門コア・カリキュラム案について報告がなされた。要旨は以下の通り。

前回提出した案に対して、会計倫理と監査も学習項目として加えるべきとの意見があった。それを踏まえて、今回の案には学習項目として監査を追加した。なお、会計倫理については今回の案には含まれていないが、【 1 】会計の意義の教育目標ないしは具体的到達目標に今後加える予定である。その他には、【 4 】貸借対照表の構造と分析、【 5 】損益計算書の構造とその分析に、「実際の財務諸表を使って自分の欲しいデータを分析ができる」といった具体的到達目標も追加する予定である。

以上の報告について、委員より下記の旨の意見があった。

 

  • 会計学入門にしては、学習項目が多いと思われる。例えば今回追加された監査にしても、制度的な説明まで踏み込む必要はないと思われる。最低限必要な学習項目となると、あれもこれも付け足さなければいけないと考えがちになるので、ある程度割り切る必要があるのはないか。
  • 連結財務諸表も概念説明だけで、学習項目として立てる必要はないのではないか。
  • ここでは簿記に関する項目が一切無いが、簿記は大抵の大学では 1 年生の必修科目として配置されているので、どこかで会計学と簿記の関連性を触れる必要があるのではないか。簿記の計算方法までは含めなくても良いが、貸借対照表や損益計算書だけでは捉えきれない日々の取引を把握するためには、やはり簿記のダイナミクスを理解する必要がある。
  • 【 8 】経営管理のための会計と【 9 】原価計算は順序を入れ替えた方が適切ではないか。
  • コア・カリキュラムとシラバスを区別する必要がある。コア・カリキュラムとは、本来中核(コア)に導入教育的内容を置き、 そこから発展的内容が枝葉のように分かれていくものであり、必ずしも 15 回で講義すべき内容を集約する性質のものではない 。 ここではその枝葉からコア・カリキュラムを検討してしまった感があるが、いずれにせよコア・カリキュラムはシラバスそのものを示すものではないのであるから、多少項目が多かったり、他の分野と内容的に重複があっても構わないのではないか。

以上、今回提出いただいた案を基本的枠組みとするが、岸田委員長、椎名副委員長、阿部委員には今回の意見を反映するよう最終調整いただくことにした。

なお、授業モデルとしては、 WBT システム活用事例とすることにした。具体的には、岸田委員長のサーバー内に WBT システムを構築し、コア・カリキュラムの項目別に 5 問ずつ練習問題を掲載し、学生の予習復習用教材として活用する。

 

•(2)会計情報システム

 

 金川委員より、会計情報システムのコア・カリキュラム案、シラバス案を報告いただいた。要旨は下記の通り。

 

前回の委員会で、シラバス例の第3〜 5 回のテーマに関して「連結財務諸表」という表現は修正した方が良いとの意見があったが、それを踏まえてテーマを「 AIS アプリケーションの利用」に変更した。それに伴い、コア・カリキュラム以下のように変更した。

  1. 会計情報システムの概要
  2. ハードウェアとソフトウェア
  3. 情報システムの要素
  4. 経営情報システムの開発・設計
  5. 会計情報システムの構築・管理 ( データベース )
  6. 購買情報システム
  7. 販売情報システム
  8. 原価情報システム
  9. 取引処理システム
  10. その他の情報システム
  11. 情報ネットワーク
  12. システム監査
  13. 会計情報システムの内部統制
  14. 会計情報システムのセキュリティ対策
  15. 会計情報システムと意思決定


  1. 会計情報システムの概要
  2. AISアプリケーションの利用によるAISの理解
  3. ハードウェアとソフトウェア
  4. プログラム構造
  5. 情報ネットワーク
  6. 情報システムの要素
  7. AISシステム分析と設計
  8. 経営情報システムの開発・設計
  9. 取引処理システム(総勘定元帳・報告システム)の開発・設計
  10. AISの管理
  11. システム監査
  12. AISの内部統制
  13. AISのセキュリティ対策
  14. AISと意思決定

続けて、前回の委員会で「 必ずしも access が全大学の PC にインストールされているとは限らない」との意見があったことを受け、岸田委員長より OpenOffice Base を活用したデータ処理の方法についてプレゼンテーションがなされた。 OpenOffice はオープンソースであるが Microsoft Access と同等の機能を有し、完全とは言えないが互換性もある。

 

(3)管理会計

 岸田委員長より、一年生を対象とした教養科目の授業内容について下記の旨の報告がなされた。

 

 この授業は、一年生 25 人程度を対象とした教養演習的な授業であり、授業内容も担当教員の裁量に付託されていることから、管理会計の初級的な講義を行っている。学生の中には利益概念を知らない者もいることから、ケーキ屋のケーススタディを用いて、初歩的な利益概念、限界利益率、最終的には利益目標をシミュレートさせる。ケーススタディを用いることにより、学生の動機付けを高めることが可能となり、実際にこの授業を受講した学生は、その後も会計専門科目を履修する傾向が高い。

•2.  その他

次回委員会は、 3 月 30 日(木)午後 2 時より私情協事務局にて開催することにした。