社団法人私立大学情報教育協会
平成19年度第2回会計学教育FD/IT活用研究委員会

T.日時:平成19年8月6日(月)午後2時から午後4時まで

U.会場:アルカディア市ヶ谷私学会館5階赤城

V.出席者:岸田委員長、椎名副委員長、阿部、黒葛、金川各委員、井端事務局長、木田

W.検討事項

1.会計学教育における産学連携授業に向けて
はじめに、事務局より委員会に先駆けて行った、日立製作所との産学連携に向けた協議の結果について報告がなされた。要旨は以下の通り。

  • 会計学のみならず他の分野も含めて産学連携を総合的に再検討させていただきたいということで、結論は保留となった。
  • 先方は、社内にカメラを入れて撮影すること、また財務情報の提供については躊躇していた。また、遠隔授業のように1回限りの授業であるならばまだしも、動画コンテンツのように形が残ってしまうと、公開した情報に対する責任の所在などが発生してしまうために躊躇いを覚えるとのことである。
  • 経団連でも教育プロジェクトを発足しているので、産学連携の趣旨については賛同したいが、上述した理由により、オンデマンドコンテンツについては慎重にならざるを得ない。

 報告の後に意見交換したところ、以下のような意見があった。

  • 岸田委員長の提案のような、取引先の会計情報の利用方法については、企業の手の内を晒すことにもなるから非常に難しい。仮に動画コンテンツを作成するにしても、こちらからシナリオを提示した上で同意を得てからでないと難しい。
  • 黒葛委員の提案については、例えば岸田委員長の会計事務所や、ある一社の企業だけでなく様々な企業から情報を提供してもらえる可能性がある。これは委員会レベルで解決できるのではないか。
  • 阿部委員の提案にあるような、ベルトコンベアなどの生産工程を撮影する場合は、映ってはならない機密情報までも撮影してしまう可能性があるため非常に難しい。
  • インタビュー形式で質問をいくつか用意して、答えられるものについて答えてもらうのが可能性のある方法ではないか。
  • 企業側にとっては、産学連携に協力することが直接的に収益に結びつく訳ではない。それ故協力を依頼するにしても極力先方に労力が掛からないよう努力すべき。
  • ○ 阿部委員の提案が最も汎用的な内容である。この提案をもとに、企業に対する協力事項を整理した方が良い。

 以上の意見を踏まえた結果、今回提出いただいた阿部委員の提案の項目を、報告書p.113に掲載した会計学入門授業モデルの体系に組み込んだものを、産学連携による教材作成のフレームワークとした。ただし、全ての項目について、産学連携による教材作成することは困難であることから、一部委員の作成した教材を当て嵌めることとした。フレームワークについてには以下の通り。

T 会計の意義と機能―企業会計を取り巻く環境
  @「経理課の1年(仮)」(岸田委員長が実務界関係者と下交渉または検討)
  A「日立製作所IR部門責任者のインタビュー@(仮)」(内容項目は椎名副委員長検討)
  Bその他(未定)
U 複式簿記
  @パワーポイントとナレーションが入った簿記の基本構造(黒葛委員・椎名副委員長)
  A小切手処理、手形処理、貸し倒れ処理(黒葛委員のビデオ教材)―著作権解決後―
  Bその他(未定)
V 財務諸表(B/S,P/L,C/F,連結)
  @「日立製作所IR部門責任者のインタビューA(仮)」(内容項目は椎名副委員長検討)
  A「リコー」のインタビュー@―可能性模索(椎名副委員長下交渉)
  Bその他(未定)
W 管理会計―原価計算含む
  @シミュレーシュンを利用した管理会計授業(岸田委員長モデル)
  A工場の管理と棚卸(黒葛委員のビデオ教材)
  Bその他(未定)
X 会計情報システム(U、Vと関連あるので独立かいなかの体系の検討は必要)
  @AISシミュレータを用いた会計情報論授業(金川委員モデル)
  A九州産業大学ビデオ教材(金川委員他)
  Bその他(未定)
Y 新しい会計環境
  @環境会計は「リコー」のインタビューA―可能性模索(椎名副委員長下交渉)
  A会計監査や国際税務等は専門家のインタビュー検討(未定)
  Bその他(未定)

 なお、上述したように、日立製作所IR部門担当者へのインタビュー内容と、リコーとの交渉については、椎名副委員長に担当いただくこととなった。「経理課の1年」については、岸田委員長に実現可能性を検討いただくこととなった。

2.その他
   事務局より、委員会の研究成果や議論を委員海外にも広く周知するために、2008年3月頃に研究集会を開催することが提案され、委員各位より同意が得られた。プログラムの詳細は次回以降検討することとしたが、他の委員会主催による集会と同様に、招待講演、委員会報告数件、全体討議とし、目標参加者数は50名とした。招待講演については、企業の財務・経理担当者を招聘する方向で検討することとした。開催場所については、アルカディア市ヶ谷私学会館を第一候補とした。