社団法人私立大学情報教育協会
平成15年度第2回経営学教育IT活用研究委員会議事概要

 

T.日時:平成16年2月24日(火)午後4時から6時まで

U.場所:私情協事務局会議室

V.出席者:藏下担当理事、野澤委員長代理、安田、岩井、佐藤、松島、和泉、林委員、井端事務局長、木田

W.検討事項


(1) 今後の活動について

 前回の委員会(2003年8月)にて、野澤委員より遠隔講義の実験実施について提案がなされたが、本年度の開催が不可能であったため、来年度の実施に向け、再度野澤委員より企画いただいた。なお、企画案は下記の通りである。

テーマ・・・ネットワーク社会の新しい企業経営・ビジネスモデル

日 時・・・未定(2004年度)

講 師・・・2名 ex.國領二郎教授、

電子商取引推進協議会濱中事務局長より推薦される企業人

進め方・・・未定(多地点のシンポジウム形式、またはお二人の講演会)

技 術・・・未定(インターネット会議システムを中心に検討)

発信地・・・東京など、2〜3箇所

参加大学・・・未定

授業目標・・・@ネットワーク時代のビジネスモデルについての新しい知見の普及

     Aインターネット会議による多地点・双方向の遠隔講義の実験

     B新技術の活用可能性についての学生・教員への刺激

授業シナリオの要点(双方向性の流れ)

     @相互の挨拶野中で、数地点での双方向の遣り取りを確認する。

       司会者の呼び掛けで、各大学教員が応える。

A講師A、Bが、お話の途中で学生に質問し、集中しているか確かめる。

       各大学の学生が、順番に答える。

     B講師A,Bが、お話の途中で学生に質問し、理解しているか確かめる。

       各大学の学生が、ランダムに答える。

       発言の無い大学には、司会者が指名する。

       可能なら、携帯メールを使って感想(選択肢)を聞き、集計する。

     C二人の講師のお話が終わった後で、学生からの自由な質問を促す。

       学生から質問が無い時は、教員が感想を述べても良い?

       最後に、二人の講師から総括または補足的発言を受ける。

     D司会者:実験の感想・まとめ


次に、事務局より、遠隔授業で用いる機器、環境について説明がなされた。

(1) テレビ会議システム

遠隔授業で最も使用されるシステムであり、会場をビデオ撮影した画像、講師のモニター画面を大学間で共有することが可能である。ただし、大学間でシステムの統一を図る必要があり、また実験の新規性に欠ける感がある。

(2)インターネット会議システム

教室間を結ぶ試みはあまり実施されていないことからも、実用性を検証する意味で実験の意義はある。インターネットに接続可能なPCと音声機器を準備すれば、どこからでも使用可能であるが、インターネット回線を用いることから、音声動画の送受信が不安定(広帯域を確保できれば安定可能)。また、講師のプレゼンテーション画面を共有することが可能だが、機種によってはアニメーションが機能しなかったり、画像の劣化が生じたりする。また、動画サイズが小さいため、臨場感に欠ける。

また、インターネット会議システムは、様々な機種が市場に出ているが、Logosware社により開発されたPower‐Liveは、既出のシステムに比較して動画サイズを大きくすることが可能であり、PowerPointをFlashに変換することで画質の劣化もあまり無い。さらに、Macromedia社から発売が予定されているbreezeも、これまでのネット会議システムに比べて双方向性機能が重視されていることから期待が持てるが、両社ともに本協会の賛助会員では無いため、協力の取り付けが難しい。

以上の説明について、意見交換したところ、下記の旨の意見があった。

  • COL等でも学習方法の改善が高く評価されているが、経営学は実社会と深く結び合った学問でもあるので、授業中に沿革により企業人の現場情報を取り入れることにより、学生の理解度を促進することが可能ではないか。今回の実験でも、外部の企業人の協力を得て講演いただき、学生間でワークショップを実施するなどの運営方法を検討いただきたい。また、私情協では、産業界による大学教育支援システムへの構築に向けて、文部科学省に要望している。
  • 今回も國領教授ともう一方講師として迎えるのであれば、遠隔講義で講義を聞くだけでは学生も飽きてしまうので、20分ずつ程度でお話いただき、後は質問や議論に時間を費やしたほうが良い。
  • 遠隔講義は、技術的な問題や準備が大変であるから、オンデマンド方式で外部講師を向かい入れ、それをもとにディスカッション形式の授業を運営することもできるのではないか。
  • オンデマンド方式であれば、企業からの協力を得ることができれば、講師を迎えるだけではなく、企業現場を撮影して教材とすることも可能である。
  • 各大学ともそのようなオンデマンド教材や、企業や現場に関する教材があれば、そのデータベース化を図ることも意義があるのではないか。
  • 米国の企業では、CEOによる投資情報の説明を収録した動画をWeb上で配信している。そのようなコンテンツも授業で有効に活用することが可能である。
  • データベース化を検討するのであれば、まずは、委員の知り合いの企業の方に協力依頼して、大学教育に提供できるコンテンツの有無をアンケート調査してみる必要があるのではないか。
  • コンテンツを羅列するだけではなく、経営学も学問分野別に目次を作成し、それに準じて整理していく必要があるのではないか。
  • 経営学の分野は非常に多彩であるため、ここで一つの体系だった目次を作成することは困難であるから、学生が必要最低限学習する必要のある基礎的な体系を抑える方が良い。

以上を踏まえ、今後の委員会活動方針として、(1)経営学に関する動画、資料、データなどのコンテンツ収集、(2)遠隔授業実験の実施を目的とすることとし、(1)については、上記意見にある通り、まずは委員内外、企業人より提供可能なコンテンツを調査するため、次回委員会までに野澤委員よりアンケートフォーマットを作成いただくこととした。また、(2)については、2004年11月の開催を目処に、授業運営方法、使用機器等継続して検討することとした。

2.その他

事務局より、来年度以降の活動方針について下記の旨の説明がなされた。

「学系別教育IT活用研究委員会では、5年に一度各学問分野別にITを活用した効果的な授業モデルを取りまとめた、報告書を上梓しているが、次回は平成18年度に発刊を予定している。よって、16年度は報告書で紹介する内容をイメージしながら活動いただきたい。例えば、委員個人の取組に対して、委員会としてバックアップするとか、野澤委員に提案いただいた授業実験などを積極的に実施いただきたい。」