社団法人私立大学情報教育協会 平成18年度第2回経営学教育 IT 活用研究委員会議事概要
T.時間:平成18年年6月20日(火)午前 10 時から正午まで U.場所:私情協事務局 V.出席者:松島委員長、岩井副委員長、安田、福原、丹沢、竹田各委員、井端事務局長、木田 W.議事進行 はじめに、松島委員長より報告書の原稿締切日と担当の確認がなされた。 提出締め切り: 8 月末
4. IT を活用した授業事例の紹介 福原委員より、授業モデル事例候補として、京都産業大学の 「チャレンジ精神の源流」 と専修大学の「ベンチャービジネスコンテスト」について報告がなされた。ポイントは以下の通り。なお、詳細は配布資料を参照されたい。 京産大の事例 ・全学的なカリキュラムのもとでの一般教養科目 ・プロジェクト X に出演いただいた方に講演いただく。 ・講演に先駆けて、教員がケースメソッドにより講義を行う。 ・オムニバス形式の講義 ・評価は学生のプレゼン、レポートで行う。 専修大学の事例 ・キャリアデザインセンター主催 正規カリキュラム外の授業 ベンチャービジネス入門講義と称して、起業家による講義を実施。また、入門ワークショップでも同様に起業家を講師として迎えるが、こちらの授業はディスカッション主体の少数授業である。 これらの授業を経て、8月にベンチャービジネスコンテストを実施。審査員は学内の教員と学外の企業人から構成される。 コンテストの最優秀者には、ベンチャー企業協会主催のビジネスプランコンテストにも応募する。 ※いずれの事例もキャリア教育の一環として実施されているので、経営学の授業事例として適切であるか議論いただきたい。 以上の報告について意見交換したところ、下記の旨の意見があった。 ○仮にこの事例をモデルとして紹介する場合、どういう到達目標に位置づけるべきか。 →これまでの議論にて、アクションラーニング、経験的アプローチから導入することが学生の動機付けに有効であるとの共通認識を得られた。動機付けを目的とするのであれば、京産大の事例は導入授業として興味深い。 →京産大の事例に関して言うと、実際の企業の経営を担った人が学生の前で講義を行うことで、一つの体験教育として位置づけられる。その事前に企業についてのケース分析を教員が行うことにより、学生に対する理解を深めていると言える。また、講義終了後ベストプラクティスの一例として受け入れるだけでなく、学生がそれをディスカッションして自分なりに今後のあり方などプレゼンテーションし、経営について包括的な理解を深める。このストーリーはこれまでの議論と合致した授業展開と言えよう。 →動機付けのためには、プロジェクト X に出演した企業である必要はない。可能であればプロジェクト X である点は強調しなくても良いのではないか. IT 活用の側面があまり見受けられない。掲示板の活用やレポート提出に関しては IT を活用しているようであるが、例えば企業の方の講義を単にフローとするのではなくストックとしてビデオオンデマンドにより繰り返し閲覧するというような展開であれば理想的である。 IT 活用の点を調査する必要がある。 京産大サイドから経営学の導入授業と位置づけることに関して異議を唱えられる恐れがある。その点に付いては事前に了解を得る必要がある。
以上の意見を踏まえ、京産大の事例については、経営学の導入授業モデルとして報告書内で掲載できるよう、京産大サイドと調整することにした。なお、専修大学の事例については、 IT 活用の側面が希薄であることから、授業モデルとしての採用は見送ることにした。ただし学生の学習成果を学外の企業人に評価している点については、今後の経営学教育でも重要な要素であることから、「3.教育改善のための授業設計・開発・運営の方向性」において提起することにした。 なお、授業モデルについては、T委員会につき4モデルの紹介を目処とするが、適切なモデルがない場合には3モデルに留めても構わない、との説明がなされたが、本委員会では京産大の事例も授業モデルの候補として扱い、当面は4モデル紹介することにした。 また、岩井副委員長より、青山学院大学での MBA における授業事例についても報告がなされた。詳細は配布資料を参照されたい。 5. IT 活用に伴う課題 「5. IT 活用に伴う課題」として取り上げるトピックを自由討議したところ、下記の旨の意見があった。 インフラ整備的な全学問分野共通の話題も取り上げるのか、あるいは経営学に特化した IT 活用に伴う課題のみ取り上げるのか、共通理解を築くべき。 遠隔授業を実施するにせよ、教員一人が機材の準備をする必要があるために多大な労力を必要とする。教員の負担を軽減するためにも学内の支援組織がない点を指摘すべき。 学内のコンピュータ・サーバーは整備されても、教材コンテンツが充実していないのが現状である。 Web に教材を掲載し、授業の事前に学生に強制的に学習させる環境を構築すべき。 以上の意見を踏まえ、大学としての課題、経営学としての課題両方の側面から論じることにした。なお、執筆は安田委員に担当いただくことにした。なお、「1.コア・カリキュラムを意識した教育の到達目標」は丹沢委員に担当いただくことにした。 なお、議論の中で挙がった下記の意見については、「T.コア・カリキュラムを意識した教育の到達目標」、「2.教育現場での課題」、「3.教育改善のための授業設計・開発・運営の方向性」で採用することにした。 ○ 日本の大学では試験一発で成績評価されてしまう。形成的な成績表が必要では。 学生が、科目の系統履修せずに単位取得の比較的容易な教養科目へと逃げてしまう。 学生の取得すべき単位数が多すぎ、教員が担当すべき科目も多い。にもかかわらず非常勤教員の数も多い。 1〜2年生の基礎科目では必要とされる知識を標準化すべき。そうしないと、3年生での専門科目でどのレベルの学生に合わせた授業内容を展開すべきか悩ましい。 形式的なセメスター制を導入したことも問題がある。アメリカのセメスター制では、少数の科目を1週間に集中的に実施しているが、日本の場合には却って1週間に受ける科目数が増えただけである。
次回委員会では、分担に従い草稿を提出いただくことにした。 |