社団法人私立大学情報教育協会
平成19年度第3回経営工学教育FD/IT活用研究委員会議事概要

T.日時:平成19年11月20日(火)午後5時から午後7時まで

U.会場:私情協事務局会議室

V.出席者:渡邉委員長、越島、玉木、細野、佐々木、中島各委員、寺島氏(富士通)、玉井、千葉各氏(三菱商事)、井端事務局長、木田

W.議事進行

1. 経営工学教育における産学連携授業に向けて

 細野委員より、産学連携による業務理解の経営工学視聴覚教材の進捗状況について報告がなされた。

(1) 菱食との連携状況
  三菱商事の協力により、食品卸の株式会社菱食を紹介いただき、これまで3回のミーティングを重ねた。その結果、菱食より業務概要を紹介したビデオを3本拝借し、さらには配送センターの見学と取材も行った。取材ではセンター内のビデオ撮影も許可いただき、目下取材した素材を用いて、物流をテーマとした視覚教材を作成している。

(2) 富士通との連携状況
  これまで情報工学教材の作成に向けて1回のミーティングを行った。現在「モノ」を作成している場面を取材できるよう継続して依頼している。

次に、細野委員より菱食の協力により作成している視覚聴教材の概要について説明がなされた。以下に6つの個別テーマを掲げるが、詳細は前回配布された資料を参照されたい。

・ 教材No.1「卸売業の物流業務」
・ 教材No.2「物流で活用されるバーコード」
・ 教材No.3「物流と在庫管理業務」
・ 教材No.4「倉庫システム」
・ 教材No.5「自動倉庫と投資問題」
・ 教材No.6「物流における配送計画業務」

 次に、菱食より拝借したビデオのうち、「進化するロジスティクス」を視聴した。ビデオに対する主な意見は以下の通り。

  • 経営工学も物流業界についてもっと紹介したほうが良い。業務プロセス、ハードウェアの仕組み、受発注の仕組み、情報管理システムを取り上げるべき。コンビニのように学生にとって身近な素材もある訳だから、関心は高いはず。
  • 経営工学出身者で物流業界に就職する者は少ないが、物流業界は大卒者の人材を求めている。学生に対して将来の就職先候補として考えさせるためにも物流業界の紹介は必要。
  • 事業概要のビデオだけでも、我々の生活が物流によって支えられていることがよくわかる。自分の生活に関わる素材は、学生の興味を喚起するための良い材料となるのではないか。
  • 場内物流の仕組み、つまり倉庫システムやフィッティングに関する技術的な方法や情報の流れなども整理できると良い。
  • 映像では細かいデータを取得することには向いていない。このような映像を素材として個々の先生が補助資料やデータを用意したり演習したりする必要がある。

ここで佐々木委員より、流通センターへの配送に関するシミュレーション教材についてプレゼンテーションがなされた。その後継続して意見交換したところ、以下の旨の意見があった。

  • 今回の視聴覚教材と佐々木委員のシミュレーション教材が組み合わされば、非常に効果的。
  • 今回計画している視聴覚教材は断片的な素材であるので、先生方によって様々な使い方が考えられる。佐々木委員のようなシミュレーション教材と合わせて使うのも良いし、授業テーマに合わせて自由に活用していただくのが望ましい。

 

 次に、細野委員より今後のスケジュールについて説明がなされた。要旨は以下の通り。

  • 教材自体は年内の完成を予定している。その後数人の学生を対象に実験を行い、授業効果を測定するとともに教材の修正を図る。その上で正規授業(20年度の後期)で教材を利用する予定である。

 

 この説明を受けて、井端事務局長より産学連携事業の今後のスケジュールについて説明がなされた。

  • 公益法人制度改革に関する法令が平成20年より施行されることを受けて、私情協も法人を改組しなければならない。来年(平成20年)の前半には見通しをつけて、早くて12月に改組したいと考えている。
  • 社団法人も、認定社団法人と一般社団法人の2分類化されるが、認定を受けるためにも、教育における産学連携事業が国社会にとって有益であることの根拠が欲しい。
  • そのためにも、一国も早くその根拠を集めていきたいと考えているので、現在ある教材を授業で活用し、効果が測定できるものがあれば順次試していただきたい。

 以上の説明に対して、以下の旨の意見があった。

 

  • 産学連携は、必要に応じて個々の教員が知り合いの企業に頼み込めば実現できることもあるが、大学が組織として取り組むことは難しい。そのためにも、私情協のような公的な団体が大学と企業を仲介することには大きな意義がある。
  • 今回視聴したビデオも大きな参考となったので、まずはこのビデオを授業中に学生に見せて効果を測定したらどうか。
  • 効果測定するための共通項目を作成し、それをもとに委員各自の授業でアンケートを採るのが良いのではないか。
  • ビデオの中で発注点の話があったが、発注点の安全在庫などの具体的な数字を菱食に紹介いただいて、実際の在庫の動きと授業で取り扱うモデルの動きとを対比させ、改善・効率化可能なところを議論させたりすることもできるのではないか。

 

 以上の意見を踏まえ、19年度内の授業において、委員各位ビデオ「進化するロジスティクス」を学生に視聴させた上で、授業効果を測定いただくこととなった。なお、授業効果を測定するためのアンケート項目は、渡邉委員長に作成いただくこととした。なお、在庫管理に関する数値等については、細野委員に追加取材いただくこととした。
  また、私情協より菱食サイドには教材作成協力に伴う御礼状を送付することが確認された。