社団法人私立大学情報教育協会 T.日時:平成15年10月25日(土)午後2時から4時まで U.会場:私情協事務局会議室 V.出席者:木村委員長、今井副委員長、中原、田崎、大島、中澤各委員、井端事務局長、木田 W.検討事項 1.中原委員によるITを活用した授業事例の紹介 中原委員より、専門科目「心理学」におけるPowerPointを活用した授業事例を紹介いただいた。要旨は下記の通りである。 本科目は健康な情報ネットワーク社会の実現に向けて、情報技術者に必要とされる心理学的知見を涵養することを目的としている。授業を行う講義室は、ホワイトスクリーンを挟んで二つ投影用スクリーンが設置され、PC、書画カメラのミラーリングが可能である。座席数は150席で、椅子は折りたたみ式でメモ台が付いている。 PowerPointの活用する上での利点として、@全体の構造と部分の詳細を視覚的にメリハリよく説明できる、A多くの情報を提供できる、B動画像・音声の活用が容易であることが挙げられる。 しかし、Bについては問題点として、動画を使用する際の著作権処理が煩雑であり、また自作の動画を数多く準備することも難しいことを挙げることができる。実際に、テレビ番組を教材として使用することを考え某放送局に連絡したところ、一つの番組に対して複数の制作会社が著作権を有しているため、難しいとの回答があった。 その他に、Web上には心理学関係の画像、シミュレーション等のリソースが豊富にあるので、授業中にそれらを活用している。 マルチメディア教材を活用する上で、最も問題となるのは、著作権処理の問題である。視覚的な教材・素材を教員個人で準備するのは難しいので、既存のテレビ番組等を用いることが望ましいが、先述したような煩雑な処理が必要であるため、無断で用いているのが現状である。 以上の説明を踏まえ、著作権処理に関する意見交換がなされた。主な意見は下記の通り。
最後に事務局より、今後は各報道機関に対して、教育現場での著作物利用に関して折衝することを計画しているので、教育現場で頻繁に利用されるコンテンツに関する情報を提供いただきたいとの請願がなされた。 田崎委員より、Webを用いた動画スライド同期型教材とe-Learning教材の活用事例を紹介いただいた。田崎委員は、理学部第二部(夜間コース)に所属しているが、夜間の学生は落第率が高く、また都合により授業に出席できない学生も多いため、彼らの学習意欲の向上と学習機会を与えるために、希望者を募りWeb教材を活用している。システム環境として、サーバーは、動画を配信するためにセキュリティの都合上学内サーバーを利用できないので、別途学外にサーバーを設けている。動画・スライド配信に関しては、Dynamic CBI (ソフトウェア)を用いているが、特定のビデオプレイヤーを必要とせずブラウザ上で閲覧可能なため、ADSL程度の帯域であれば十分に再生可能である。 学生は、まず動画・スライド教材により講義(20分)を受けた上で、クイズを解答することになる。クイズの配信については、プログラミングに項目反応理論を適応しているため、学生のレベルに合った問題が瞬時に出題される。また、学習履歴も蓄積され、学生はサーバーにアクセスする度に理解度や進捗を確認することが可能である。なお、来年には全体のアクセス数やテストの平均値、学習履歴を分析する予定である。 今後の課題として、動画による講義時間が20分であるため、講義内容の導入部分やポイントを吟味すること、実際の使用者に対してアンケートを行い、改善点を洗い出すこと、大学院の授業で活用しているインターネット会議システムとの連動することなどが挙げられる。 委員各位による事例紹介が一巡したことに伴い、今後の委員会活動について意見交換した結果、今回の中原委員の事例紹介にもあった様に、インターネット上には心理学にまつわるマテリアルが多数あることに鑑みて、それらのマテリアルを分野別に階層化したリンク集を作成することとした。また、マテリアルのみならず、テスト問題をプール化することも視野に入れることとした。なお、次回委員会では階層化を行うためのたたき台として、委員各位使用されている「心理学概論」に該当する教科書の目次を持参いただき、それをもとに意見交換することとした。 |