社団法人私立大学情報教育協会
平成１６年度第１回薬学教育IT活用研究委員会
�機テ�時：平成１６年９月１６日（木）午後３時から午後５時まで
�供ゾ貊蝓Щ箴雍┿�務局会議室
�掘ソ仞兵圈Щ害�、松山副委員長、黒澤、鴫原、梶原、大嶋、岩城各委員
井端事務局長、木田
�検ジ‘せ�項
1.
薬学教育６年制化に対する取り組みについて
平成１８年度より薬学教育6年制が義務付けられることから、委員各位より自大学における6年制教育あるいはコア・カリキュラムに対する取組みについて意見交換したところ、下記のような意見があった。
《コア・カリキュラムについて》
- 薬学教育のコア･カリキュラムには、日本薬学会の作成した薬学教育モデル・コアカリキュラムと文科省の小委員会によって作成された実務実習モデル・コアカリキュラムがあるが、前者は薬学に必要とされる理論、知識の獲得を目的とした専門科目主体に構成されており、後者は文字通り実務において必要とされる知識・態度を主体とした学習項目によって構成されている。また、医学・歯学と異なり、医師として身に付けるべき最低限の知識・技能・態度が明確化されていない。
- 内容的に、薬剤師育成を目的とした学習項目と研究者育成を目的とした学習項目が混在していることから、全体的に学習項目が膨大となったが、そのため各大学は教育目標によってカリキュラムを調整することが可能である。
- しかしながら、学習項目が混在していることから、大学によっては薬剤師の育成のための科目主体でカリキュラムを編成使用とするにもかかわらず、基礎系の教員の反発にあい、従来通り基礎系の科目を設置するケースもある。
- 米国では、医療コスト抑制のため、薬剤師の担う職務範囲・権限が拡充し、一部の薬剤師の社会的地位も高い。日本においても、厚生労働省が医療費の抑制を図る意味も含め、薬剤師の職務拡充を意図しているが、コアカリではそこまでは踏み込んでいない。
- 6年制教育を実施するためには、概ね５年以上の経験を有する薬剤師を専任教員中６分の１占めなければならないため、人員の不足している大学は病院等から薬剤師を教員として迎える必要があるが、現実的に厳しい。
- 不況を反映して、私立大学では薬学部を新設する大学が増加しているが、現状でも病院実習のための受け入れ先が確保できない状況であり、これ以上人員が過剰になれば薬学教育の充実どころではない。また、薬剤師の学生数が増加すればするほど、将来薬剤師になれない学生数も増加する。
次に、授業におけるIT活用方法も含め、さらに継続して意見交換した。
- 病院実習を行う場合、教員が付き添いで病院に行くことはかなり負担が大きいことから、自学自習用のケーススタディや処方解析のコンテンツをサーバーに蓄積し、学生がいつでもどこでも学習できるような環境を整備する必要があるのではないか。さらに学校間でコンテンツを共有すれば、教員の負担は軽減するのではないか。
- できれば病院にノートPCを持ち込むか設置して、その場で学習するのであれば効果はあると思われるが、その場合に回線の問題が絡み等現実的に難しいのではないか。
- 処方解析は答えを出すことよりも、考えるプロセスが重要である。それゆえ、学生に情報収集させ、導出した答えをもとに、スモールグループディスカッションを行い、論理力を身に付けさせるべきである。
- ITは教育を行うためのツールとしては不可欠であるが、薬学独自の用法を考えることは難しい。薬剤師は対面のコミュニケーションを行うことが不可欠であり、薬学教育においても人手を掛けて実施すべきである。
- 処方箋の疑義照会できる能力の育成や、ケーススタディの疾患別コンテンツを用意して自習させることは、教員の時間をセーブする意味でも、また国家試験の総合問題対策としても重要ではないか。
- 処方解析では、ここの処方に対する解析方法を覚えることよりも、如何なる処方に対しても問題解決できる能力を育成することが重要である。だから、一つの解を予め用意することよりも、学生とともにより良い答えを議論していくことが求められるのではないか。
- 全てにおいてIT を活用する必要はない。例えばOSCEのテストのために、テレビ会議システムを用いて遠隔地にいる第三者より評価いただいたり、CBTに向けて練習問題を共有したりすることは有効であるが、コミュニケーションの不可欠な部分にまでITを応用する必要はない。
- ITは確かにツールに過ぎないが、実際に行うことは難しいがツールだからできること、例えば投薬量を過剰に投与した場合の患者の反応等をシミュレーションで体感させ、危険性を認識させることはできるのではないか。
以上を踏まえ、次回委員会では、松山副委員長より、処方解析のIT活用事例を紹介いただくとともに、OSCE、CBTにおけるIT活用の可能性も併せて検討することとした。 |