社団法人私立大学情報教育協会
平成17年度第1回薬学教育IT活用研究委員会議事概要
�機テ�時：平成17年7月23日（土）午後3時より午後5時まで
�供ゾ貊蝓�武庫川女子大学浜甲子園キャンパス臨床薬学教育センター
�掘ソ仞兵圈Р賄膂儖�長、松山副委員長、斎藤、黒澤、佐藤、大嶋、岩城、鈴木各委員、井端事務局長、木田
�検ジ‘せ�項
１． 薬学教育モデル・コア・カリキュラムに対応したIT活用方法について
議事に先立ち、本年度より佐藤憲一 東北薬科大学薬学部教授、鈴木茂生 近畿大学薬学部助教授が委員に就任されたことに伴い、それぞれ自己紹介があった。
16年度第3回の委員会にて、18年度に発刊を予定している報告書において、薬学教育モデル・コア・カリキュラムに対応したITを活用した授業モデルを紹介することとなった。なお、各委員の専攻を踏まえて下記の通り分担を決定した。
- A(1)･･･河島委員長、梶原委員
- C15(1)･･･山岡副委員長、鴫原委員
- C15(3)･･･齊藤委員、岩城委員
- C18(3)･･･大嶋委員
- D1(2)･･･松山副委員長、黒澤副委員長
今回は、上記分担に従い、それぞれ授業モデル案を報告いただいた。
松山副委員長
松山委員の担当は、D1(2)「処方せんと調剤」であるが、今回はさらにA（1）「生と死」に該当するケーススタディ教材も合わせて紹介いただいた。
まず、ケイティ・ワーニッキーの誘拐事件(注１)を題材とした、PowerPointによるケースステディ教材の紹介がなされた。これを用いた具体的な授業内容は、まず学生をグループ分けし、さらに主治医側と母親側のいずれかを支持する立場に分かれてディスカッションを行い、インフォームド・コンセントに対する理解を深める。最終的にはアドヒアランスに関するレポート課題や制癌剤の副作用についてプレゼンテーションさせる。
次に、サリドマイド事件を題材としたPowerPointによるケーススタディ教材について紹介がなされた。この教材を用いた授業内容も、学生をグループ分けし各種テーマ（ex. サリドマイド事件が全世界に拡大したのに、なぜアメリカでは回避されたのか）をディスカッションさせ、最終暦にはレポート課題を提出させる。
次に、D1(2)「処方箋と調剤」に対応したPowerPoint教材の紹介がなされた。この教材は、例えば処方箋と薬剤管理記録簿から患者の疾病を言い当てたり、また薬歴から疑義紹介すべき点を考えさせたりする。なお、この教材はOSCEのフォーマットに準じていることから、この教材をサンプルとして提示することにより、委員会外の教員に呼びかけてOSCE対策の教材の共有化が可能ではないか、との補足説明もなされた。
以上の松山副委員長の説明について、下記の旨の意見があった。
- 処方解析では、現場の医師から遠隔会議システムで参加いただき、助言を求めることによって、薬剤師と医師との間の差異を確認することが可能となり、より効果的ではないか。
- 教材の共有という提案がなされたが、例えば実際のOSCEに類した共有化を図るのであれば、テストをアトランダムに出題するシステムや即時回答システム、コンテンツ管理システムなどが必要となる。その場合、膨大な費用を負担しなければならず、現実的に困難ではないか。
- OSCEはCBTと異なり、問題を各大学から収集するのではなく、専門委員が作成することから、必ずしも精度の高い問題が出題されるとは限らない。このように教材の共有化すれば問題の充実化も図ることが可能となり、それを本委員会として提起することの意義は大きいのではないか。
- コンテンツを管理するシステムの構築は先の話であり、当面はコンテンツの充実化を図り、いくつか集まった時点でシステム構築を再検討すれば良いのではないか。
大嶋委員
大嶋委員の担当は、C18(3) コミュニティファーマシーである。コミュニティファーマシーについても、処方箋と同様にOSCEとの関連が高いことに鑑みて、事例の収集が不可欠であるとの説明がなされた。事例は、関係学会（ex.日本医薬品情報学会）や協会（日本薬剤師協会）に協力を求めて、特に一般市民から寄せられた事例を中心に収集を検討することにしている。IT活用方法としては、例えば薬局における処方箋の説明方法や販売方法をビデオ収録した動画の活用や、将来的には人工知能を有した模擬患者を活用することなど考えられるが、当面は、動画教材の活用することが現実的であるとの説明がなされた、しかし、SPを雇うための費用が高いので、他学部の学生から協力を得て演じてもらう必要がある。内容的には、学生間のディスカッションを可能とするためにも、失敗した場合の事例の方が望ましい。
以上の説明に対して、実際の現場の様子をビデオ撮影することが、最も容易でコストも低いのではないかとの意見があったが、大嶋委員より、プライバシー保護のために実現不可能であるとの回答がなされた。
齊藤委員、岩城委員
齊藤委員、岩城委員の担当は、C15(3)「テーラーメード薬物治療を目指して」である。はじめに齊藤委員より授業モデルを提示いただいた。テーラーメード医療を学ぶ一般的な目標は、投与量と血中濃度の関係が患者サイドの要因で様々に変化することを理解することであるが、これまでの授業内容は数式中心の理解や血中濃度グラフの単なる例示が中心であり、学生にはその重要性が伝わりづらい面がある。そこで、IT教材を活用して血中濃度の変動・推移を動的に提示することにより、学生にインパクトを与えることを狙いとした。
今回紹介いただいたのは、健常人での血中濃度推移を提示し、そこに種々のファクターを持つ患者における血中濃度推移をアニメ的に重ねる教材である。ファクターのモデル例としては、遺伝子多型による変動、高齢者での変動、肝障害患者、腎障害患者での変動、心疾患患者における変動、肥満度による変動などが挙げられた。
次に、岩城委員より投与計画におけるITモデル授業案を紹介いただいた。まず、投与計画のカリキュラムにおけるIT可能と考えられる部分として、薬動学的パラメーターの変化と血漿中薬物濃度推移シミュレーションソフト、各TDM対象薬物に関する基礎的情報、TDMに関する基本的例題データベース、TDMに関連する症例データベース、EDM収集とデータベースの活用が挙げられた。さらに、薬動学の授業を題材とした授業モデルを紹介いただいた。
以上。次回委員会では、委員各位より今回齊藤委員に提出いただいたように、A4 1~2枚程度でそれぞれ授業モデルを持参いただくこととした。また、佐藤委員、鈴木委員には、それぞれC18(3) コミュニティファーマシー、C15(3)「テーラーメード薬物治療を目指して」を担当いただくこととした。
注１：詳細は、http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2005dir/n2642dir/n2642_06.htmを参照のこと。
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