文学部の史学地理学科地理学専攻へ進学してきた学生の多くは、数学が不得意であるし苦手科目である。これが理学部にある地理学科の学生と決定的に異なる点である。講義でも、できる限り数式を使わずに説明しなければならない。RSの講義をこのような前提で行うことは、非常に難しい。しかし、教員がソフトをブラックボックスとして使わせることに抵抗感があっては、文系の地理学科でRSやGISの講義など不可能である。ただ、RSを使って問題を解決するためには、とりあえず数式を理解できなくても良い。例えば最尤法分類を行う際、確率分布関数の数式を理解できなくても、画像からトレーニングデータを抽出する知識があれば、優秀なソフトの手を借りてRSを道具として使い、問題解決に取り組むことができる。
現在市販されているRS解析ソフトは10種類以上あるが、教育用ソフトとして必要なことは、操作が簡単なこと、標準的なPCでフルカラー高解像度のグラフィックを扱えること、低価格なこと、という条件の他に、一通りの解析機能も備えていなければならない。また、PCの操作に習熟していない学生の負担を軽減し、本来の目的である解析作業に没頭できるような優れた操作性も必要である。
このような条件を示しながら、ソフトの開発は沢瀉電子(株)(http://www2u.biglobe.ne.jp/~omdec/)に依頼し、意見を交換しながら「OM-SAT for WIN」が完成された。