私情協ニュース3
第10回情報教育方法研究発表会報告
「大学・短期大学の教職員によるコンピュータ、ネットワークを活用した教育方法を促進・奨励し、ユニークな教育システム、教材開発等の成果の発表を通じて大学教育全般の質的向上をはかる」ことを目的とした第10回情報教育方法研究発表会は、平成14年7月6日(土)にアルカディア市ヶ谷(東京、私学会館)において開催された。今年度の参加者は162名(80大学、18短期大学、賛助会員4社)で、発表会は一次選考も兼ねて63件の研究発表が行われた。当日に発表された内容は以下の通りである。
その後、第二次選考会は9月4日(水)に行われた。選考結果については11月25日の私情協の臨時総会にて発表する予定である。(第2次選考結果は次号に掲載)
[ Aグループ ]
日本大学 戸塚 英臣氏、玉城 美和氏、鈴木 潔光氏
経済学部の学生を対象とするコンピュータリテラシー教育において、統計処理機能やグラフ作成機能を有する表計算ソフトを利用することにより、金利計算など学生の専攻分野に即した課題を与えて学習させる実習教育の紹介。これによって得られる教育効果を、実習課題やペーパー試験結果を踏まえて報告した。
A-2 |
コンピュータ非熟達者に対する「教示」の効果:学生の心理に配慮した効果的な情報処理リテラシー教育のための考察 |
北星学園大学 | 後藤 靖宏氏、中嶋 輝明氏 |
北海道大学 | 増地 あゆみ氏 |
札幌国際大学 | 岡田 顕宏氏 |
コンピュータにあまり触れたことのない学習者に対して、情報処理教育においてはどのような点に注意すべきか、ということに関する認知心理学的な観点からの考察。「教示」とコンピュータ受容態度との関係を確認し、そこから帰納される、学習者の「心理」に注意を払った有効な情報処理リテラシー教育のポイントを指摘する。
上智大学 音 好宏氏、金山 勉氏、藤田 高弘氏
映像メディアを取りまく大きな環境変化のなかで、映像コンテンツ制作の授業(実習を伴う講義科目)における様々な試みの紹介。従来型のテレビ放送を前提とした教育課題と教育環境から、放送メディアのデジタル化、多チャンネル化、インターネットの普及による映像配信の平易化・個人化への変化に対応した、種々の試みと課題を報告した。
A-4 |
多人数基礎情報教育授業の実施に関する工夫について |
日本大学 小林 貴之氏
多人数大規模教室におけるコンピュータリテラシー教育の効果的な実施を追求した実践報告。教室機器はWindows2000システムで運用されるが、高額費用や大規模システムを利用することは想定せず、教員個人の対応で教育効果を上げることを課題とし、そのための様々な工夫を紹介した。
兵庫大学 森下 博氏
一年生を対象とする少人数授業(基礎演習)において、C言語を用いてフラクタル図形をプログラミングすることを課題として、理論と実践を深く結びつける授業展開と、強い動機付けの学習展開方法を提案するもの。現在進行中の授業のシラバス構成と授業構想、および今後の課題を示した。
A-6 |
新しいリテラシー教育の提案−検索エンジンを利用した自己啓発の試み− |
明治大学 川島 高峰氏
人文社会科学系の教育分野においてはコンピュータの技術的使用法よりも「コンピュータで何をするのか」が課題となる、という問題意識のもとに、インターネットを前提としたリテラシー教育の可能性のなかで「思考の道具」としてネットワークを利用する方法を提唱した。具体的には、検索エンジンを利用して学習者の自己啓発を追求した。
A-7 |
理工系学生のためのコンピュータリテラシにおける取り組みと実情 |
日本大学 | 伴 周一氏、中原 明生氏、高橋 秀典氏 |
| 田中 玲子氏 |
社会の情報化のめまぐるしい変化のなかで、理工系学生のコンピュータリテラシの位置づけや取り組みも常に変化しているが、理工系学生を対象とした初級情報教育の在り方を考察し、これまでの授業実践の取り組みとその成果を、具体的な変遷を交えて報告した。
A-8 |
ネットワークを利用した感性の計量化シミュレーションについて |
沖縄国際大学 安里 肇氏、平良 直之氏、大井 肇氏
意志決定の際には直感やフィーリングといったメンタルな面が大きな影響を与えることが多いが、その計量化は一般に難しい。こうした数値化しにくい判断要因を一対比較法によって数値化するAHP(Analytic Hierarchy Process)を用いて意識調査を行う演習授業を実践し、その学習効果を測定し報告した。
A-9 |
教育用マルチメディアコンテンツに関する学習者の評価測定 |
沖縄国際大学 平良 直之氏、安里 肇氏、大井 肇氏
教育用マルチメディアコンテンツに関して、学習者が主体的に学ぶことができ、学習内容に興味を抱くための要件を分析する。サンプル教材を作成して実施した授業実践により、“分かりやすさ”や“見やすさ”と同様に“臨場感”に関する工夫が重要であることが報告された。
A-10 |
マルチメディアソフトによるアニメ絵本の作成 |
愛知女子短期大学 海老原 初夫氏
マルチメディアソフトFlashによるアニメ絵本の作成とその成果に関する報告である。ホームページ上で多彩な表現が可能であること、マルチメディア操作のスキルが発見的に習得できることなどが教育効果として述べられている。学生の作品はホームページ上で公開されている。表現力の向上に効果があったことが報告された。
A-11 |
初等アセンブラプログラム評価支援システムの開発と活用 |
帝京大学 渡辺 博芳氏、荒井 正之氏、武井 惠雄氏
学生が作成したアセンブラプログラムを自動評価する独自開発の評価支援システムについて、そのシステムの効果に対する評価結果の報告である。システム導入前と導入後の授業比較から、教員の評価作業負担の軽減、学生の評価待ち時間の短縮、教員の評価ミスの軽減などが報告された。80%程度の評価作業が軽減できるとしている。
A-12 |
プログラミング教育におけるビジュアルな教材の開発とその教育効果 |
神奈川大学 内田 智史氏
アセンブラの学習環境開発とその運用実績についての報告である。エディタと実行の様子を可視化する部分およびトレースの部分で画面を構成し、初心者にもプログラムの流れが理解できることを目的としたビジュアル教材である。アンケート結果から87.5%の学生が教育効果が上がったと感じていることが報告され、改善点も述べられた。
A-13 |
ビット誤り検出・訂正技術の数式処理ソフトによる教育方法 |
日本工業大学 小林 哲二氏
ビット誤りの検出・訂正の基本を数式処理ソフトMathematicaによって教える方法の紹介とその教育効果の報告である。Mathematicaの二つの関数によって多項式計算を行うものであり、MATLAB、C言語によるプログラムとの比較が述べられた。正答率が約20%向上し、教育効果があったことが報告された。
A-14 |
Java言語における理解順序の統計的分析 |
大阪芸術大学短期大学部 | 武村 康宏氏 |
奈良先端科学技術大学院大学 | 島 和之氏、松本 健一氏、鳥居 宏次氏 |
大阪大学 | 井上 克郎氏 |
Javaプログラミングのテスト結果からJavaの知識項目間の教育順序を統計的に導出したことの報告である。まぐれ当たりとうっかりミスの補正を加えた統計的分析手法を提案している。ここでは25の知識項目によるテスト結果を因子分析して9のクラスタに分類し、クラスタ間の順序関係としてJavaの理解構造を導出した。
A-15 |
ものづくりをメインにおいた情報工学実験カリキュラムの作成 |
広島国際学院大学 神垣 太持氏
情報工学の基礎を実践で学ぶこと、グループ協力活動の体験、ものづくりの達成感の体験を目的としてロボット製作を導入したカリキュラムの報告である。学生への動機付けとして有効であったこと、もの作りの達成感が体験できたことなど当初の三つの目的が達成されたことが報告されるとともに、回路設計に難があったこと等が述べられた。
A-16 |
情報教育における“創成”演習科目の設計・運用法−成長し続けるカリキュラムの実践− |
芝浦工業大学 徳永 幸生氏、榎津 秀次氏
情報教育における創成科目の試みとしてロボットを教材とした結果の報告である。課題としてコミュニケーション、ハード製作、ソフト制作を取り上げ、英語マニュアルの翻訳、ロボット組み立て、マニュアル制作、Light Tracker競技、物語映像制作を課し、その教育効果が報告された。創成課題設計の要件が三つ指摘された。
Bグループ
B-1 |
インターネットによる中国語音声教育システム−中国語音声教育データベースシステム− |
成蹊大学 | 湯山 トミ子氏、土屋 肇枝氏、根岸 宗一郎氏 |
| 武田 紀子氏、虻川 誉一氏、沈 暁文氏 |
| 余 瀾氏、田 禾氏 |
インターネット上で随時、自由に中国語学習を行い、言語学的研究を行える、中国語音声教育データベースを制作し、その機能・利用方法についての報告である。8万語の語彙データ、10万語の模範音声データがデータベース化されている。また、波形学習機能も付加されていることから、今後の中国語教育に利用できることを示した。
B-2 |
マルチメディアデータベース型語学教育のシステムの開発 |
明海大学 | 石毛 文茂氏、竹田 晃氏、遊佐 昇氏 |
| 市川 桃子氏 |
音声データと映像データを中心にしたデータベースを作成し、場面、文法文型、発音表記、単語の中国語漢字と日本語の意味のカテゴリーによる検索をして、教材を作成するシステムの開発についての報告である。作成できる教材は決められたコースにしたがって学習する自動進行型と、学生が必要な情報を参照する自由参照型の二種類が可能となっている。
B-3 |
中国語学習支援ツールの開発と運用−汎用的なCALL教材作成システムの構築をめざして− |
広島工業大学 中島 吾妻氏、内本かおり氏、脇坂憲太郎氏
初級中国語学習のための支援ツールの開発についての報告であり、教科書の文字、発音、語彙の学習を支援するためのシステムとなっている。本文、進出語句、関連語句に関して音声再生や表示形式(日本語、漢字、ピン韻等を組み合わせて表示)が選択可能になっている。さらに、音声付の語句データベースがあり、約1,000語の語句が登録されている。
B-4 |
英語運用能力を高めるための教授法と口頭英語実力テストによる効果測定 |
明海大学 川成 美香氏
英語口頭表現力の学習到達度を客観的に測定・評価する方法として、Ordinate社のPhone Passの概要とその実施および結果を報告した。また、アンケートを実施して、Phone Passのスコア向上に影響を与えた要因をSPSSにより分析し、授業以外の英語学習・学習履歴などの要因を顕在化するための統計処理の検討を提議した。
B-5 |
インターネットを活用した米ラジオ局の体験学習型英語教育 |
九州女子大学 佐藤 美惠子氏
インターネットの活用が新たな英語教育方法の改善につながるという考えから、米国のラジオ局と教室を結び、五つのフェイズ(ヒアリング力向上・表現力習得・討論・電子メールによるコミュニケーション・番組制作の疑似体験)を実践・報告した。同時に、このような手法を大学の英語教育に取り入れるべきとの提案があった。
B-6 |
Web ExplorationとCMCを柱としたインターネット英語の授業法 |
文京学院短期大学 伊東 俊一郎氏
NBC(Network Based Communication)を基本概念として、Web上でのタスクを中心とした授業と、電子メールやチャットを中心としたauthentic interactionのインターネット英語授業を担当、その授業計画・実践結果の報告である。また、テクノロジーの有効活用とコミュニケーションを重視した英語教育の重要性を提言した。
B-7 |
英文科における個別化教育−学科と教科の2つのレベルの視点から− |
神戸山手女子短期大学 緒方 隆文氏
学科ホームページに、辞書群HP、学習サイトHP(関連する専門科目・保有英語教材・図書・インターネットサイト)などを置くとともに、電子メールによるバーチャルオフィスアワーを設置し、学生の能力に応じた学習を可能にしている。また、授業では電子メール添削、音声録音ファイルの提出と発音矯正などで学習の個別化を行っていることが報告された。
B-8 |
同期型映像処理ソフトを利用したビデオ教材作成の試み |
玉川大学 和高 慶夫氏、榎本 正嗣氏
ビデオの再生タイミングと合わせて文字や画像をPowerPointやHTMLとして表示する教材を作成できる同期型映像処理ソフト(Microsoft Producer)を利用して、短いインタビュービデオを素材とした語学教材作成に関する報告である。さらに、Flashを利用したアニメーションをビデオ化した教材の作成を試みている。
B-9 |
CCDカメラ活用による英語学習での情報発信能力育成 |
国士舘大学 近藤 良子氏
双方向の英語でのコミュニケーションの前段階として、「英語での情報発信能力」の育成のために、CCDカメラをビデオクリップ作成ツールとして利用し、学生に自己アピールの映像を作成させた授業の報告である。これにより、楽しみながら学生の内的な能力を引き出すことができるとともに、コンピュータリテラシーの向上が見られた。
B-10 |
自作コーパスを利用した学生研究〜応用言語学者の養成 |
熊本学園大学 米岡 ジュリ氏
コーパス言語学分析法として、「映画台本コーパス」と「日本人大学生の英語文章コーパス」の二つの自作コーパスを活用、DDL(Data Driven Learning)の手法と実践を報告した。その活用方法は、言語分析のみならず、社会・文化・教材作成にも可能な技術ツールであることを提案した。
B-11 |
CALL教室におけるフランス語時事問題の授業とその成果 |
上智大学 井上 美穂氏
1)MPG化されたTVニュースの聞き取り演習、2)HP上での情報検索と空所補充演習、3)デジタル化された新聞記事を使った演習、の異なるメディアを活用したフランス語の授業実践の報告である。また、学生自らがエクセルファイルへ記録することにより、自分のペースで学習できる読解量向上の教育方法を提案した。
B-12 |
インターネットを利用した外国人学生のための知的な作文学習支援環境の提案 |
東洋大学 | 中挟知 延子氏、垣本 せつ子氏、高橋 直美氏 |
| 佐藤 郁氏、クレア・マリィ氏 |
外国人学生の日本語作文指導(助詞の使い方が中心)に活用できるネットワーク型学習教材「てにおはチェッカー」は、学生の入力と校正・教員の助言が入力できるシステムである。本発表では、その開発経過と授業での試用実践を報告し、言語コーパスの限界と言語リソースのシステム拡充を検証した。
B-13 |
数学科教育法における授業づくり実践を支援するためのデジタル・ポートフォリオの作成と活用 |
日本大学 鈴木 京子氏
数学科教育法において、模擬授業のデジタル・ポートフォリオ(模擬授業をビデオで撮影したものおよび、学生が創作の過程をまとめたもの)を作成した授業実践の報告である。特に、指導案や検討会の内容、授業記録、相互評価の集計などをポートフォリオとしてまとめ、デジタル化し、「先輩の授業」を教材としてオンライン上で活用している。
B-14 |
教職課程の学生が作成したマルチメディア理科教材の変遷 |
東海大学 佐藤 実氏、尾崎 浩司氏
理科教員を志望する学生に中学校理科のマルチメディア教材を作成させる、ワークショップ形式の教材作成実習を1997年度から5年間にわたって授業を行い、その教材の編成についての報告である。コンピュータリテラシーのレベルは高くなっている反面、作成したマルチメディア理科教材は他のWebページの内容を貼り付けただけで創造性がないものもあり、著作権に対する問題意識の低い学生が増えたとのことである。
神戸学院大学 山岡 由美子氏
コンピュータを活用した授業の教育のために、教育方法論の授業専用のサイトを設けて、学生自身がコンピュータを活用した授業に参加し、その利点を体感できるようにしたサイトについての報告である。サイトでは課題の提示、ファイルのダウンロード、レポート・ファイルの提出、BBSが可能になっている。実際の授業では前半は普通教室で授業や討論を行い、後半にコンピュータを利用してレポート等を提出させるようにしている。
B-16 |
幼児教育科学生のための情報教育カリキュラム「デジタル紙芝居」の実践 |
同志社大学 | 金田 重郎氏 |
常盤会短期大学 | 新谷 公朗氏、平野 真紀氏、宮田 保史氏 |
| 植田 明氏 |
甲南大学 | 井上 明氏 |
幼児教育科において、PowerPointを用いた保育教材「デジタル紙芝居」を制作し、保育活動で実践、デジタルコンテンツを利用した保育活動における幼児の様子を観察し、保育教材としての評価を行う幼児美術と保育方法の観点からなる総合演習の実践に関する報告である。この授業によって意欲を持って情報機器の操作を学習でき、紙芝居の実演・評価によって学生の自信と幼児の様子を注意深く見守る目を養成できた。
Cグループ
C-1 |
CD-ROM化画像教材とWebシステムの連携による組織学教育 |
日本大学 | 磯川 桂太郎氏、宮崎 洋一氏、大塚 吉兵衛氏 |
| 戸田 善久氏 |
歯科医学系での組織学教育のうち、顕微鏡下の実習をWebで支援するため、生体組織の標本画像データベースをCD-ROM化し、それと連携する情報や最新の画像をWebから提供する等、サーバとの役割分担を図るとともに、学生へのCD-ROM配布により在宅自習の支援をも可能とした。その結果、学生からの重複質問を回避できる教師の負担軽減と、教師からの知識伝達に深化がみられた。
C-2 |
重篤な副作用による医療事故を防ぐための医学教育:インターネットと判例を組み合わせた演習 |
帝京大学 中木 敏夫氏
薬による重篤な副作用による医療事故防止のための医学教育支援システムをWebベースで作成した。医療事故のうち薬が関与した民事訴訟判例44件をデータベース化し、教材として応用した。特に判例のうち、治療結果である患者の症状については表示せ ず、結果を考察する演習を重ねて、薬の安全性とそれに関する効率的な情報収集法、 事後的な報告技術を学ぶ。
C-3 |
マルチメディア教材を活用した食品学実験の実践 |
園田学園女子大学 | 新井 加受子氏、衣笠 治子氏、伊藤 剛和氏 |
栄養学の基礎実験と食品成分分析を対象とした実験支援のためのマルチメディア教材を作成した。この教材は、器具マップ、操作ガイド、分析機器操作ガイド、取扱説明書等から構成され、限られた器具や分析機器を同時間帯にローテーション使用する際に生じる、重複する共通の質問への対応(教師の負担軽減)、および学生の自主学習能力の向上を期して実践し、成果を得た。
日本大学 | 鈴木 潔光氏、戸塚 英臣氏、石原美由紀氏 |
| 住本 千香氏、山崎 幸子氏 |
統計熱力学を対象としてWebベースの教育支援システムを作成した。黒板のデジタル写真、講義音声のデジタル化、ノートのデジタル化、グラフの動画化等によって授業内容をWeb上に再現し、学生の学習支援と応用力(考える力)をつけるためのコンテンツを工夫した。その結果、講義と併せて補完的に用いた学生に明らかな教育効果がみられた。
C-5 |
モデルベースドラーニングに基づく工学基礎教育支援システムの開発 |
日本大学 | 青木 義男氏 |
青山学院大学 | 佐久田 博司氏 |
九州工業大学 | 小林 史典氏 |
長岡科学技術大学 | 永澤 茂氏 |
工学基礎教育支援のため「数値計算法」と「力学基礎」を対象として、Model based Learningに基づく教材をWeb上に作成した。基礎概念の理解やシミュレーションのための数学モデルや具体的構造を詳細図やアニメーションを用いて対話形式で実現するとともに、関連する資料集や応用例をリンクさせて学習の動機付けに効果を得ている。本システムは、日本大学、青山学院大学、九州工業大学、長岡科学技術大学の共同開発である。
C-6 |
実験と数値解析の実感教育におけるインターネットを利用したプログラム開発 |
名城大学 新井 宗之氏
数値解析と図形処理により「流出」と呼ばれる物理現象を視覚的に理解可能とし、そのシミュレーション実験を容易に実現できる理工学教育支援システムをWeb上に開発した。従来の教育方法に較べ、準備段階での時間節約が著しく、また実験結果の参照比較が容易で、学生が実感的に理解できることを示した。
C-7 |
新しい視点に立った情報系ハードウェア 技術演習授業の試み |
大阪電気通信大学短期大学部 | 高見 友幸氏、野村 恵章氏 |
大阪電気通信大学 | 光本 浩士氏 |
MCUを含むデジタル回路の製作を、EDAツール、プリント基板加工システム、Web上のデータシートを利用することで実施した。フリップフロップ回路で100%、MCUの制御ボードで50%の達成率を得た。
C-8 |
システム制御教育における対話型学習支援ツール |
岡山理科大学 クルモフ・バレリー氏、柴山 恵司氏
システム制御のための対話型学習支援ツールを開発した。特徴は、視覚的なインターフェイス、初歩から設計までの段階的な学習、ネットワーク上での利用などである。大学院講義と学生実験に導入した結果、理解度の向上と実験への集中などに効果があった。
C-9 |
2D・3D-CADシステムの図形科学の授業への導入とその効果 |
青山学院大学 | 香取 英男氏、佐久田 博司氏、武士俣貞助氏 |
2次元、3次元のCADを導入することにより、図学または図形科学の授業に対する学生の学習意欲向上をはかった。導入の結果、演習課題の理解度の向上、コンピュータ利用への関心の高まり、出席率の向上などに効果があった。
C-10 |
Web-Based Learning システムによる建築設計教育−Web型非常勤講師と同期・非同所による授業チャット− |
芝浦工業大学 衣袋 洋一氏
インターネット上で建築設計教育を行う手法を提案している。Web型非常勤講師、 Web Studioを準備し、「居住環境デザイン演習」に用いたところ、授業チャットや個人・エスキスチャットなどから目標とした「学ぶ教育」を実現できた。
C-11 |
eXtreme Programmingを応用した情報処理講座の運営 |
千葉商科大学 | 久保 裕也氏、井庭 崇氏、玉村 雅敏氏 |
eXtreme ProgrammingをCGIプログラミング教育へ応用することの事例紹介。XPで用いられるXUnitを拡張することで、教育手法の効果や学習者の達成度を測定し、学習者にフィードバックする。
C-12 |
エクストリーム・プログラミング手法を用いた実社会連携型情報教育 |
大学院生と企業連携による無料記事作成支援システムの開発プロジェクトを通して、 情報教育を行った。記事データをXML化し、情報の一元管理、記事配信・処理の自動化をエクストリーム・プログラミング手法を用いて行ったところ、少人数での開発とペアプログラミングに教育的効果があった。
C-13 |
初学者のための聴音用トレーニングプログラムの構築 |
武蔵野短期大学 荻原 尚氏、木川 裕氏
幼児教育学科における音楽教育のための自学自習用プログラムの紹介。譜面の読めない・書けない学生でも直感的に認識でき、興味が持続できる聴音トレーニングが可能になった。
C-14 |
メディアアーティスト育成のためのインタラクティブWeb学習環境の開発 |
金沢学院大学 高田 伸彦氏
メディアアーティストを育てるために、インタラクティブなWeb学習環境とカリキュラム開発を行った。大学の紹介メディアの制作を通して、自己表現力が増すという効果を得た。
C-15 |
Technologyは考える道具−授業はTechnology活用で変わるか− |
東海大学 渡辺 信氏
電卓などのTechnologyを学校教育でどのように利用すべきか、またどのような点に利用価値があるかについての提言。法則発見、概念理解、実体験などに十分有効性が見出せる。
C-16 |
プシュケ・ネットの今−ネット上に浮遊する学校の「命」教育− |
早稲田大学 岡田 昭夫氏
「命」の教育におけるネットワーク(プシュケ・ネット)利用の紹介。大学を超えた授業展開と実体験を通して学生の輪の広がりを得た。
Dグループ
D-1 |
オンライン教材を円滑に利用するための独自ブラウザの開発 |
日本工業大学 青木 収氏
Web上の資料を教材として利用する場合に、汎用のブラウザでは学生が授業中に必要なコンテンツに集中できないため、独自のブラウザを開発した。規制モードにより、限られたURLにのみアクセスできるなどの機能は、一斉授業におけるWeb資料の活用を円滑に実施するうえで評価できる。
D-2 |
講義用メールシステムとインテリジェントなレポート集配システムを活用した授業運営 |
活水女子大学 川場 隆氏
一般のメールシステムとは別に、学内用のWebメールシステムを作成し、講義前の課題通知、レポート提出に活用し、ペーパーレス化を目指している。学生への評価のフィードバックが担当教員により行われる度合いに応じて、学生の成績向上につながっている。
D-3 |
教育の情報化とOh-o!Meijiクラス・ウェブ |
明治大学 | 安藏 伸治氏、高村 潤氏、臼井 保恵氏 |
| 服部 裕之氏、米澤 正子氏、松崎 英樹氏 |
| 矢崎 俊彦氏、大竹 貞昭氏、田中 彰氏 |
| 神野 祥子氏 |
城西国際大学 | 中嶋 正夫氏 |
授業情報をインターネット上に公開し、授業の事前・事後の学習、討論、レポート提出が時間と場所の制約を超えて実現できるようなクラス・ウェブシステムが開発されている。セキュリティについても十分考慮され、今後のDigital Universityを目指す野心的な試みである。
D-4 |
学習履歴展示WEBの構築におけるレポート提出システムの開発と運用 |
九州東海大学 | 藤原 勉氏、永沼 晴紀氏、井手口 健氏 |
学内専用のレポート提出システムをWeb上に開発し、クラスあるいは個人単位でのレポートを時系列に蓄積することを可能としている。これにより、学習履歴カルテの作成を目標としている。開発工程のプログラミング部分を富士通南九州エンジニアリングに委託している。
(D−5 発表取りやめ)
D-6 |
一斉授業と個人学習での相互利用をめざしたスタディ・スキルズの教材−プレゼンテーション・ソフトの活用例− |
関西国際大学 上村 和美氏
大学生にとっての学習に必要な技術(スタディ・スキルズ)獲得のための学習補助教材をパワーポイントで作成している。一斉授業用と個人学習用を作成し、両タイプともに共有して活用できることが判明している。半期遅れで入学する留学生の教育にも効果的と報告された。
D-7 |
授業教材作成支援システムの開発とその成果について |
大谷女子短期大学 | 近藤 篤俊氏 |
大谷女子大学 | 大倉 孝昭氏 |
講義前にDVカメラをセットし、パワーポイントにより講義を行うと、講義終了時には自動的にパワーポイントに連動したWebコンテンツが作成されサーバにアップロードされる。欠席学生に対する自主学習支援システムとして、簡単にWebブラウザにより利用できる。
D-8 |
AMLサイバーキャンパスシステムの主要機能とeラーニングへの実用化 |
青山学院大学 | 玉木 欽也氏、田中 正郎氏、齋藤 裕氏 |
| 小酒井 正和氏 |
日本ユニシス株式会社 | 原 潔氏、白井 健一氏 |
サイバーキャンパスシステム(インターネット上での学習管理システム)を、大学の総合研究所特別プロジェクトによって開発し、eラーニングへの適用を試みたものである。2002年度には、2,500名余りの学部・大学院学生がこのシステムを利用してeラーニングを受講したが、効果についての報告はまだ具体的ではない。
D-9 |
「情報リテラシー」大規模授業のためのeラーニングメソッドと実習システム |
青山学院大学 | 齋藤 裕氏、玉木 欽也氏、小酒井 正和氏 |
日本ユニシス株式会社 | 北野 正雄氏、右近 豊氏 |
情報リテラシーなどの大規模授業の問題点解決のために、日本ユニシス制作の「dot-learning」を利用して、個別習熟度に応じたセルフラーニング実習システムを学習管理システムに組み込んだものである。このシステムの有効性についての具体的な評価は進行中である。
D-10 |
いつでもどこでも学べる個人対応型ライブ・VOD教育ツールの開発とその実践 |
日本女子大学 石川 孝重氏
生涯学習総合センター(LCC)から、インターネットを通じて各種講座等のマルチメディア情報を配信するシステムを開発し、運用を行っている。コンテンツや受講環境に応じていくつかの画面パターンを用意したが、特に、講義映像、テキスト、板書の3画面を同期させた方式では、効率的な情報提供が行え、大きな学習効果が期待できる。
D-11 |
教材開発コラボレーションサーバ“Lissa”の開発と運用 |
青山学院大学 | 佐久田 博司氏、玉木 欽也氏 |
九州工業大学 | 小林 史典氏 |
Web教材の共同作成を効率的に行うために、「コラボレーションサーバ」を開発した。遠隔地の大学等で作成されたコンテンツがサーバ上で自動的に管理され、授業時に閲覧できるようになっている。さらに、Java Servletで記述されているため、利用者のプラットフォームを選ばないシステムになっている。
D-12 |
情報等教育用統合ソフトの作成と動画像を用いた教材データベースによる教授法の取組み |
神戸学院大学女子短期大学 | 中野 修氏、橋本 寿夫氏、アントニー・コミノス氏、劉 幸宇氏 |
姫路工業大学 | 林 治尚氏 |
麻耶兵庫高校 | 明石 雅夫氏 |
これまでに開発してきた情報リテラシーや語学、実験・実習用の各種教育用ソフトを統合し、動画像付き教材・作品や問題データベース、マニュアルなどと、実行プログラムからなる統合ソフトを作成した。学生は、授業および自学自習で学べるのみならず、教材の改善・更新に参加することで学習意欲が高められている。
D-13 |
双方向教育へのアプローチ−携帯電話メールの活用と記述問題評価のビジュアル化− |
甲南大学 長坂 悦敬氏
一般講義において、小課題を与えて解答を携帯電話メールで送信させ、即時に評価結果をスクリーンに表示するシステムを開発した。穴埋め問題では、正解との一致から自動採点の結果を表示できたが、記述式問題の場合には、テキストマイニング技術を利用して模範解答との類似度を求め、評価根拠をビジュアル化する方式を考案した。
D-14 |
携帯電話を利用したリアルタイム授業評価システムの開発と運用 |
東海大学福岡短期大学 | 八尋 剛規氏 |
長崎県立大学 | 大塚 一徳氏 |
従来より運用してきたWebによる授業評価システムを改良し、携帯電話のブラウジング機能を利用して、一般教室での講義科目でも授業中や終了時に授業評価を実施し、即時に結果を得ることができるようなシステムを開発した。実施結果は良好で、記述式の質問項目も含め、評価に要する時間や手間などには問題がないことが示された。
D-15 |
提示教材に合わせた基本システムの選択システムの構築とその運用 |
九州共立大学 守 啓祐氏
Windows環境で特定の基本システムを要求するソフトを、VMWare Ver.3.1による仮想マシン上で動作させる試みを行なった。英語学習用ソフトと辞書CDのネットワーク利用においては、若干のリソースの制約があったものの、マルチメディア教材の利用が十分に可能であることが示された。
D-16 |
表計算ソフトを使用した履修申請システムの開発 |
常磐会短期大学 藤田 裕子氏、新谷 公朗氏
学生の履修登録において、学生自らが表計算ソフト(Excel)上で科目コードを入力すれば、自動的に科目名や担当教員等が入力され、終了と同時に登録データが作成されるようなVBAマクロを用いたシステムを開発した。システム利用の効果は、教務事務の効率化のみならず、学生への情報教育の側面からも期待できる。
文責: | 情報教育方法研究会運営委員会 |
| 副委員長 | 中央大学 | 有澤 秀重 |
| 委 員 | 十文字学園女子大学 | 若山皖一郎 |
| 〃 | 国際基督教大学 | 尾崎 敬二 |
| 〃 | 創価大学 | 山中 馨 |
| 〃 | 東京理科大学 | 半谷精一郎 |
| 〃 | 東洋大学 | 大島 尚 |
| 〃 | 帝京科学大学 | 山本 涼一 |
| 〃 | 摂南大学 | 山根 敬三 |
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