賛助会員だより
1962年に開設された北星学園大学は、札幌を代表するプロテスタント系の私立大学です。
2015年4月、新たに大谷地キャンパスのランドマークとして、「大学の管理部門の集約化と効率化」「アクティブラーニング型授業に対応したICT設備整備」「環境と省エネ」をコンセプトに新C館が竣工しました。本稿では、このコンセプトを基にICTを活用した教育課程のさらなる展開を図りたいとのご要望に、ゼネコンでありシステムインテグレータでもある当社が、建築×ICTを一体とした計画・施工によりお応えした事例をご紹介します。
大谷地キャンパスには複数の建物がありますが、各建物の設備機器を監視・制御するためには、現地に人が出向く必要があり、コストやエネルギーを抑える合理的な維持管理ができていない状況でした。
また、学生に対しては快適な学習環境を提供したい反面、経費削減や省エネルギーの推進も課題であり、学生達に暖房や冷房の運用状況を知ってもらいたいと考えていました。
さらにAV設備においては、通常、建物竣工後に備品として取り付けるため、スクリーンやプロジェクタの位置と照明やエアコンが干渉する問題がありました。
操作ミスによる多くの問い合せもありました。
建物の設計段階から建築・設備的な面に加えて、運用も考慮することにより、最適な学習環境を実現しました。
教室内のどの席からでも明るく鮮明なプロジェクタ映像が見え、明瞭に聴き取れる音響拡声の位置をシミュレーションし、検討を十分に行いました。
AV操作卓には、誰にでもわかりやすい音声ガイド付きタッチパネルを採用し、スムーズな授業準備や片付けが行える環境を提供しました。
音響シミュレーション 配置シミュレーション
視野角・最適視認距離検討
タッチパネル画面
建物に付属する電気設備や空調設備、給排水設備などの設備機器を遠隔から集中的かつ効率的に監視・制御するシステム(以下、BEMS)を導入して、設備機器のスケジュール運転や遠隔ON/OFF操作を可能とし、施設管理の効率化を図りました。
同時に、新C館の上層階教室に設置されたAV設備もBEMSで監視することで、プロジェクタのランプ切れや故障情報、電源ON/OFF状況も把握でき、AV機器の消し忘れにも遠隔にてOFF操作が可能です。
BEMSでは各建物のエネルギーデータ(使用オイル量、電力量及びガス量)をキャンパスネットワークを利用して収集し、建物別エネルギー使用状況を一元的に把握することができます。エントランスに設置されたエネルギーの見える化画面ではBEMSとデータ連携を図ることで自動的にエネルギーの使用量を表示し、学生や学校関係者への啓蒙活動に役立っています。
エネルギーの見える化画面
仕様検討の様子
エントランスには65インチモニタを学部別に5台設置し、教学システムとデータ連携を図ることで自動的に「休講・補講」「教室変更」情報を表示します。
新たな入力手間もかからず、掲示作業がなくなり、学生支援課の業務効率が図れました。
導入前 導入後
ゼミ室には様々な利用形態にフレキシブルに対応できるアクティブラーニング仕様のAV設備を導入しました。
当社オリジナルの90度回転式プロジェクタにより、ホワイトボードにもロールスクリーンにもデジタル教材の投影が可能です。
例えば授業では、廊下側にロールスクリーンを下降し、90度回転式プロジェクタを使って教材をロールスクリーンに投影しながらホワイトボードにて解説を行うことができます。
ホワイトボード投影 ロールスクリーン投影
今回のBEMS及びAV設備等の一連のシステム構築においては、BEMSとAV設備の連携や、教務システムとデータ連携したデジタルサイネージの構築など新たな試みもあり、北星学園大学の皆様にも計画段階から多大な協力をいただきました。紙面を借りて御礼申し上げます。
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TEL:03-3561-4322 |
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