情報教育と環境
(1)全体規模
新しい情報センターは年次進行で整備されており、1998年度一応の完成予定である。情報演習室は、7つのDOS/V教室(PCラボ)、Macintosh教室(Macラボ)とWork Station教室(WSラボ)からなり、情報教育環境として整備される。それぞれ24〜40台という少人数クラス用の情報演習室であるが、2教室の間仕切りを開放して66台の中人数教室としても運用可能となっている。さらに、授業では使用しない自由利用の空間(フリーラボ、PC・Mac・WS混在)も用意している。その他、情報センター事務室、センター長室(兼会議室)、各種サーバとネットワーク機器を備えたネットワークセンターなどがある。
(2)利用時間
午前9時から午後9時までの12時間。フリーラボのみならず情報演習室は、講義の設定がなければ学生が自由に使用できる。教室の開錠には、学生証(磁気ストライプ)による電磁ロックを使用している。
(3)視覚支援
2台の学生用PCに1台の教材提示CRTが設置されており、教卓から送信された教材を間近に見ることができる。教卓にはPC以外に、教材提示装置、ビデオがあり、1)いずれかのソースを選択提示、2)PCの画面上にビデオキャプチャー画面として提示することができる。前者は解像度、鮮明さにおいて優れているが、後者は複数情報の同時提示が可能という点で有利である。例えば、最も初期の導入教育時点で、電源の入れ方などを動画、静止画で説明するのは前者が適しており、次の段階の例えばマウス操作を教えるには、ビデオキャプチャー画面に操作する手とマウスを映しておけば、学生はPC画面上のマウスポインタと同時に見ることができるので、容易に理解できる。
(4)聴覚支援
各PCにAV対応の小型スピーカ、各教室にワイヤレスの拡声システムが設置されている。実際、小規模教室といっても機械音(PC、プリンタのファンノイズ)のレベルはかなり高い。
(5)使用科目
本学は、商学部、人文学部、法学部、経済科学部からなる文科系大学であるので、基礎情報教育のみならず、各学部の様々な専門教育科目、特にゼミナールの中でも利用される。このため、情報設備に対する整備の要望は極めて多様なものとなっている。
(6)ソフトウエア構成
MacはMac OS 7.5.x、WSはSolaris 2.5.x、PCは Windows 95を基本OSとしている。アプリケーションはMicrosoft Officeから各種言語まで多岐に亘っている。各学部からの要望を毎年反映させるように努めているが、可能な限りdefact standardな構成となるように腐心している。
OSやアプリケーションはローカルハードディスク(HDD)に置いている。サーバに置けば管理は容易であるが、ネットワークの負担になる。ローカルに置くことにより障害の発生は多くなるが、1)Local
HDDの別パーティションにBackup
fileを置く、2)HDDをリムーバブルにすることにより、迅速な復旧対応を可能とした。具体的には、1)ではFDで起動し、HDDをformatして、backup
fileからrestoreする、2)ではHDDを入れ替えて、networkの設定をするだけで殆ど数分以内に復旧できる。1)は定期的な保守に、2)はスポットな保守に使用する。また、HDDの複製を簡便にするために1:10のHDD
Duplicatorを用意した。
ユーザファイルはサーバ上の個人のホームに置くことを基本としている。勿論、ローカルフロッピーディスクにも置けるが、情報教育で使用頻度が高いMS Officeが大容量媒体でしか動作を保証していないという事情があるためである。ユーザはサーバ上のホームをネットワークドライブとして接続し利用する。ネットワークドライブの接続はTCP/IP+SMBによる。
(7)ユーザ管理
PC環境(DOS、Windows95)においてもUNIX環境においてもユーザIDとパスワードは一元化している。すなわち、MSネットワークへのログインもUNIXへのログインも全く同一であり、UNIXのホームがPCからのネットワークドライブの接続先になる。また、ユーザIDは、番号などの無意味な文字列でなく、なるべく個人名を反映するように、名(1文字)+姓(5文字)+識別子(2文字以内)としている。
(8)その他
完全なハードウエアもソフトウエアも存在しない以上、予期せぬ障害は避けられない。Hard的には同時期に導入したPCにさえBIOS等の相違があり、これが環境を脅かすことがある。Soft的にはWintelの牙城は脅威的であり、Server CPUすらもその影響を避けられない。Network的には100baseのswitchを入れても遅延や損失は避けられない。これらの障害をuserに意識させない水準に保つことは至難の業であるが、避けては通れない。
(1)学内ネットワークの概要
学内のネットワーク構成の概略(一部)を図1に示す。トポロジ的にはFDDIに対応したループ状であるが、ファイバはシングル・マルチモードの混成多芯で、次期ネットワーク(ATM?)にも対応すべく放射状の敷設となっている。研究室系のFDDIルータからは複数のイーサネットセグメントが出て、教員の教育研究のためのネットワーク需要に対応している。
(2)情報センター内のネットワーク
情報センターのネットワーク構成は、PCサーバを中心に複数台の高速スイッチングHUBによる。今年春には200台規模のクライアントPCによる一斉リード・ライトテストによって調整が行われた。情報センターのコンピュータはすべてインターネットに接続されており、学生は電子メール、ニュース、WWWなどを自由に利用できる。また、WWW、News、ftpなどの各種サーバも情報センター内(ネットワークセンター)に設置され、24時間サービスを行っている。
(3)今後の展望
増加する一方のインターネットに対する期待と需要に大学としてどこまで対応するかは、私情協の報告にもあるように、大学としての経営姿勢の問題であろう。一方、急速に充実している商用ネットワークを大学のバックボーンネットワークとしてうまく利用することを検討すべき時期に来ている。文科系大学といえども、急激に進歩するインターネットマルチメディア技術の動向には十分留意すべきであり、本学ではMBONEへ既に参加しており、今後も6BONEへの参加など次世代インターネット環境(IPv6)の動向に注視したいと考えている。
文責: | 広島修道大学 |
情報センター長・人文学部教授 阿部 耕一朗 | |
情報センター委員・人文学部教授 松田 俊 | |
情報センター次長 廣光 清次郎 |