特集
ノートパソコン利用を考える(事例3)
千葉経済大学
1.ノートパソコン導入の経緯
本学は、経済学部経済学科の一学部一学科で昭和63年に開学し、2回のカリキュラム改定を経て、平成10年度から新たに経営学科を開設した。本学におけるノートパソコンの導入は平成4年度にスタートした。
従来の、「電子計算機概論」や「電子計算機実習(現在はプログラミング)」などコンピュータに関する知識の修得とは別に、コンピュータリテラシー教育として、学生がワープロや表計算ソフトの操作ができるようにするために、必修科目として「電子計算機演習」(1年次、半期2単位)を設置した。平成7年度からは、それまで半期であった「電子計算機演習」を、通年の「経済情報入門」(1年次通年4単位)に改め、ワープロ、表計算を学習した後、実際に経済学で利用する統計資料を用いて、経済学の専門科目の学習にもコンピュータを活用できるようにした。
「電子計算演習」での使用機器段階で、パソコン教室(当時25台)を使用すると、クラス数が増え、学生の自習時間が少なくなるので、ノートパソコンを導入することとした。パソコンの導入にあたっては、1)全員に購入させる方法、2)4年間貸出す方法、3)1年間貸出す方法の選択肢があった。1)、2)の方法では「電子計算機演習」以外の授業科目におけるコンピュータ利用が少なく、一部の選択科目での使用を前提としたままで全員にパソコンを持たせることは難しかったため、3)の該当科目の開講される1年次に1年間貸出を行う方法を採った。
2.パソコンの導入方法
パソコンは大学が3年リースで導入することとした。
リース期間は4、5年が一般的であったが、学生に1年間貸出し、貸出期間中は持ち運ぶことから、ハードの故障・破損等への対応面などで同一機を4年間使用することは難しいと考え3年とした。
3年リースとしたため、平成7年、平成10年というカリキュラム改革の次期に機種変更ができるという偶然も重なったが、それ以上に現在のパソコンの進歩、特にCPUの性能アップとソフトのバージョンアップについていけているようである。
3.パソコンの選定
パソコンの機種選定は、性能、使用可能ソフトウェアおよび価格から決定してきた。
学生が持ち運びできる大きさ、重量であることは重要であるが、価格を考えると小型軽量モデルを導入することが意外と困難であった。
平成4年度から利用したPC9801NVや現在使用しているDynaBookSatellite300は、A4サイズであり、重量も3kgほどに達している。一方平成7年度から使用したPC9801NL/AはB5サイズで本体重量は軽量であったが、フロッピーディスク装置が外付けであり、持ち運びが容易だったとはいえなかった。
また、OSがWindowsになってからは、ポインタデバイスの操作性も機種選択の要素になってきている。
表 ノートパソコン導入状況
|
授業科目名 |
機 種 |
OS |
ソフトウェア |
平成4年〜 6年 |
電子計算機演習 半期 2単位 |
PC9801 NV (日本電気) |
MS-DOS |
統合ソフト ハーモニー (ロータス) (ICカード版)
|
平成7年〜 9年 |
経済情報入門 通年 4単位 |
PC9801 NL/A (日本電気) |
Windows3.1 |
一太郎 Ver5.0 (ジャストシステム) Lotus 123(ロータス) |
平成10年〜 |
経済情報入門 通年 4単位 |
DynaBook Satellite300CDT (東芝) |
Windows95 |
MS-Office 97 StandardEdition |
4.授業内容及び活用効果
(1)授業科目
経済情報入門(1年生4単位、必修)
(2)授業の目的
パソコンの操作およびワープロ(MS-Word)や表計算(MS-Excel)を使って、簡単な経済計算・情報会計の基礎を習得する。
(3)授業の内容
[前期]
- パソコンの基本
パソコンの取り扱い、キータッチの練習
- ワープロソフト
・ワープロソフトと日本語変換、文書作成・保存・印刷、記号入力と編集
・ワープロソフトによる表の作成、レポートならびにビジュアル文書の作成
- 基本ソフトの応用と操作
- 表計算ソフトの基本
表の作成、表の修飾、表の作成と関数、表作成演習
[後期]
- グラフの作成
グラフの基本、グラフ作成演習、表の活用演習
- 作表・作図
(経済学科)
「家計調査データ」「法人企業統計データ」「GDP統計国際比較データ」「支出系列・生産系列データ」など経済・経営関連各種データによる作表・作図演習
(経営学科)
「法人企業統計データ」による作表・作図演習、VBAによるマクロの活用
- 活用効果
学生にはノートパソコンの貸出し制度(対象:1年生全員)を採用しているので、授業中に理解できなかった内容を在宅で復習できる。
5.パソコン環境
パソコンは貸出し期間の1年間は自由に利用できる。授業時には原則として自宅で充電をしてくることとしていたが、現在は、教室内に電源コンセントを用意しておき、ACアダプタを持ってくれば充電をしてこなくても利用できるようにしている。ソフトウェアは日本語ワープロと表計算の他にキータッチ練習用ソフト(TypeQuick)を導入しているので、キータッチの練習やレポートの作成もできる。一方、言語(Basic、C、Cobol等)はプログラミングの授業が選択であることから貸出用パソコンには組み込んでいない。なお、学生には、パソコン本体の貸出しのため、プリンタを教室に20台(当初は12台)設置している。
6.パソコンの保守管理
学生には、4月から1年間の貸出しとしているが、実際には2月上旬の後期定期試験終了までを貸出期間とし、2月中旬から4月までの1ヶ月半の間に、ハードディスクの初期化や不良個所の修理等の作業を、納入業者が一括して行っている。
また、日々に発生する故障のうち、ソフトが動作しない等の場合は、バックアップ用CD(NL/Aのときはハードディスク)を作成しておき、これを用いて復旧を行っている。一方ハードウェア障害(ハードディスク、ディスプレイ、キーボード等)の場合は、教務課で預かり修理に出し、その間は、予備用の機器(50台を用意)を学生に貸出し授業等に支障が出ないようにしている。
なお、現在使用している機種については、修理等の他、年度末の初期化作業を含めて保守契約を行っている。
7.問題点および将来への課題
現在使用中のノートパソコンには、CD-ROM装置は内蔵されているが、LAN接続やモデムの対応がされていない。情報収集や情報検索ツールとしてのパソコン利用も教育していかなければならないので、CD-ROMの活用や、インターネット接続が今後の課題である。また、電子メールの利用が広がっている中、本学では学生に対して未だそれら環境の本格的利用を支援していないので、電子メールの利用について学内委員会の最優先課題として検討しているところである。
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