私情協ニュース3

第17回事務システム研修会開かれる



 今回で17回目を迎えた事務システム研修会は、10月26日から30日にかけて静岡県浜松のグランドホテル浜松にて開催された。
 参加者は132大学・8短大・賛助会員8社より合計428名(基幹業務システムコース301名、テーマ別コース127名)が参加した。
 研修は、事例発表やグループ討議を通じて大学の基幹業務システムについて相互研修を行うコースを前半の2泊3日で、また業務を横断して共通するテーマあるいは時代の要請に沿ったテーマについて、事例発表と質疑応答および意見交換などを通じて研修を行うテーマ別コースを後半の2泊3日で設定し、それぞれのグループに分かれて研修を行った。
 また、企業によるデモとして、自動証明書発行システムやグループウェア技術のデモが行われた。


基幹業務システムコース

1−1 入学業務システム
(19大学・1短大・賛助会員2社 22名)

 受験者数の減少という年々深刻な現状を踏まえ、複雑な入学試験業務システムへの対応について、システムの問題点と解決方法に関する2大学の事例を参考として、今後のシステム構築を模索した。システムを維持するには、現場担当者のコンピュータ・リテラシー能力の向上が不可欠であること、入試選択方法の多様化にシステム化が追いついていけない場合が多いこと、また、入試データの機密性確保は重要な課題であることを認識した。

1−2 学生の個人情報管理システムおよび卒業生の情報管理システム
(23大学・1短大・賛助会員1社 28名)

 学生・卒業生情報の円滑な管理運用と利活用、セキュリティー問題について、3大学のミニ事例発表と参加者から提出された討議希望課題に基づいて討議を行った。
 各大学の現状としては、情報の管理担当部署は情報の公開について抵抗があるところが多いが、学生サービスの向上を図るためには、セキュリティ技術やプライバシー保護を考慮に入れた上で、情報の公開と利活用が不可欠であり、さらに教職員の意識改革の必要性を認識した。また、大学のこれからの厳しい状況の中で、経営的にも卒業生との関わりを今後より一層大切にしていかなければならず、大学は卒業生へのサービスを考えながら、卒業生情報を収集し、大学と卒業生との協力体制を整え、活路を見出す必要があることも認識した。

1−3 履修・成績管理システム
(59大学・3短大・賛助会員3社 88名)

 「学生にやさしい履修申告システムとは〜履修科目の早期確定を目指して〜」をテーマとして討議を行った。履修システム運用については、大学規模や学生数にあわせたデータベース構築と活用、データ処理の流れや作業の見直し、学生に接する業務の職員教育の必要性を認識した。時間割編成については、大学の実状にあわせてソフトを選定し、カスタマイズし、教員の全面的協力も必要であることを認識した。イントラネットと教務システムについては、教員との情報のやり取りや、学生への情報公開についてのセキュリティ問題を解決していくことが先決であることを確認した。

1−4 学生・生活支援システム
(23大学・賛助会員1社 25名)

 学生生活支援システムのうち、今回本グループは「奨学金業務システム」の運用管理の問題点について討議することとし、4大学によるミニ事例発表を通じて、コンピュータ処理にのみとらわれることなく、情報の管理、連携・共有化について意見交換を行った。
 システムは教務や経理と連携した総合したものが望ましいが、大学内部で開発するためにはリーダーシップをとる部署が不可欠であることを確認した。また、貸与奨学金は給付に変えている大学も多く見られ、経済援助とは切り離して考えるべきという意見も出された。今後は大学生き残りの厳しい時代を迎えるため、大学の特色を生かした奨学金制度にしていくべきであり、学生サービスの一環としての奨学金システムの構築が望まれる。

1−5 企業・求人情報システム、就職活動支援システム
(31大学・2短大・賛助会員2社 37名)

 学生にとって有用なシステムとはなにか、就職部門はどのような指導を求められているかについて、大学からの事例以外に、企業就職情報を一括管理しているサイトの意見を参考に討議を行い、また、就職部門担当者の情報共有もテーマとして、その仕組と運用のノウハウについて討議した。
 就職活動支援側、企業側、学生側それぞれにおけるインターネットの占める割合は、現状では小さいが、今後、就職活動においてインターネットの割合が増加していくことは確実であり、また、就職支援に関する情報共有も考慮した上で、コンピュータネットワークをいかに利用するか具体化する必要性を認識した。

1−6 学術情報システム
(32大学・賛助会員1社 34名)

 電子情報など高度な学術情報サービスの提供という図書館の新たな役割を大学全体の視点から、どのように取り組んでいくのかをテーマに、4大学によるミニ事例を交えて討議した。図書館のホームページの管理・維持の問題、2000年に向けての図書システムの変更や新システムへの切り替え問題、学術情報センターへの新たな対応、目録作業および遡及の処理、CD-ROMの提供方法、利用者のインターネットおよびパソコン環境の改善、操作方法やセキュリティや利用マナー(ネチケット)の指導、雑誌の高騰に伴う電子ジャーナルへの対応、図書館職員の専門性・業務の特殊性と「目標による管理」・「人事考課制度」について、今後の課題とした。

1−7 人事業務システム
(27大学・賛助会員1社 30名)

 「人事制度の多様化に対応できる柔軟な人事業務システムの構築」をメインテーマに5大学によりミニ事例紹介を通じて討議を行った。ほとんどの大学がようやくシステムの再構築に向けて検討を開始したところばかりで、特に先進事例というものはなかった。パソコン、サーバやソフト環境が日々進化する中で、柔軟でかつ安定的なシステムを目指すということはかなり難しい課題であり、それ自体が自己矛盾しているとさえ感じられた。旧来のホスト中心の時代のような典型的な開発手法や経験に基づくのではなく、各大学がそれぞれのやり方で試行錯誤し、大学間で研究・交流しあいながら日常的な改善を積み上げていくという新たなスタイルの必要性を認識した。

1−8 財務業務システム
(29大学・1短大 36名)

 これからの財務システムに要求されると思われる電子伝票(決裁)とペーパーレス化、財務分析等OAソフトによる資料作成、さらには伝票入力を含めた部署においてのユーザ教育等について、事例を交えながら討議した。今後は、人件費の抑制や、業務能率アップと残業削減等システム化への要求がさらに多くなることを考慮し、システム設計・構築を行うにあたっては、業務の把握、分析、見直しを綿密に行い、導入にあたっては、各学園の状況を考慮した上での冷静な判断が求められることを確認した。


テーマ別コース

2―1 学園の情報化計画
(21大学・1短大・賛助会員3社 25名)

 「活性化を図る組織体制」、「効率的な管理運営と人的配置」、「情報化計画に必要な学内規程」を3テーマについて討議を行った。参加者の多くが、各大学ともにシステム化のための業務に忙殺されているため、本質的な検討が十分になされなかったが、今回取り上げたテーマは、システム化を成功させる上で重要な課題であり、真剣に検討していくべき問題であると深く感じられた。

2−2 統合(基幹)情報システム(データベース)の構築・運用
(17大学 18名)

 「個別業務システムから、統合情報システム」へをメインテーマとして、「一貫したシステムデザイン」、「統合データベースの構築(データモデリング)」、「データウェアハウスによる情報の利活用」、「情報・システム・業務の集中管理、分散管理」、「情報・システム・業務の集中処理、分散処理」について、大学の事例をもとに討議した。大学の個性や差別化が問われる中で、システム化の検討を通して組織を見直すことが可能であり、現場の知識の重要性を意識し、組織内で横の連絡を蜜に取りながらシステム化を進めていくことの重要性を認識した。

2−3 グループウェアを活用した業務改善
(24大学・1短大 29名)

 大学に「グループウェア」を導入し、活用していく場合の問題点や実際の導入事例を交えながら、「学園の業務改善におけるグループウェアの役割とは何か?」、「グループウェア活用上の組織的な課題」、「グループウェア導入のシステム管理・運用の課題」について討議した。業務改善における情報活用のために何が本当に必要なのか、何を目的とするのかを改めて明確にし、グループウェアや、イントラネット、クライアントサーバなどの仕組みを、各々の大学に見合った形で推進することが重要であることを確認した。

2−4 クライアントサーバ思想によるシステム構築
(17大学・賛助会員2社 22名)

 クライアントサーバシステム(以下CSS)思想によるシステム開発の考え方や諸問題について、4大学の事例を通じて討議した。業務改革などの「目的」を達成するために最適なシステムを構築することが重要であり、目的達成のためには、アウトソーシングを含めた事務情報部門の役割を明確にする中で、人事政策、研修計画、組織改革などを行っていく必要性を認識した。

2−5 インターネットによる戦略的広報活動
(28大学・1短大・賛助会員1社 33名)

 「最新の情報提供とコミュニケーションの充実に向けて」をメインテーマに、5大学からの事例を通じて討議した。ホームページの情報を逐次更新できるよう情報提供者のコンピュータの基礎知識をつけることや、情報提供は関係する部課室が責任を持って行うことの必要性を認識した。また、提供内容は各部課室が用意し、掲載に関する技術的な作業については、学生を活用するべきとの意見が出された。ホームページを大学と社会との重要な交流の場とするため、目的対象者に十分な情報提供できる活動をしていくべきことを確認した。



文責: 研修運営委員会

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